• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

「路線価否認」の最高裁判決が与える大家さんへの影響

渡邊浩滋さん_画像 渡邊浩滋さん 第92話 著者のプロフィールを見る

2022/5/2 掲載

令和4年4月19日に、相続税申告において路線価で評価した不動産を否認した国税と争っていた裁判で、最高裁判決が出ました。

結果は、納税者の敗訴。

判決の前の3月15日に口頭弁論が開かれました。最高裁で口頭弁論が開かれると、高い確率で下級審の判決がひっくり返ってきたことから、納税者の主張が認められるかもと注目されましたが、判断は変わりませんでした。

この裁判は一体何が問題だったのかを整理し、大家さんに与える影響を考えてみたいと思います。

1.事件の概要

不動産( 土地 )の評価を、路線価に基づいてするのは、通達に規定されています。路線価は時価の8割くらいで設定されています( 都心の不動産はもっと大きな開きがあることがあります )

この土地を賃貸していることで、さらに2割程度減額してもらえます。なぜそれが否認されるのか?

通達には、特例があって、
「 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する 」
と規定しています。

相続税の評価は、時価で評価することが基本です。時価の求め方を通達に規定しているのですが、この通達( 路線価 )で評価することに不都合があれば、時価で評価しなさいということです。

この裁判の事案は、

〇相続前3年半前〜2年半前までに2物件を銀行借入をし、約14億で購入
〇路線価によって約3億円で評価し、借入金を控除し、相続税を0円にして申告
〇その後税務署は、鑑定評価約13億で評価するべきとして、約3億円を追徴課税した

というものです。

過去の裁決事例では、相続直前に購入し、相続直後に売却したタワマンについて否認した例がありました。あからさまな相続対策は否認されるということで一定の理解ができます。

しかし今回は、2物件購入したうち、1物件は相続前3年以内に購入し、相続後に売却した物件。もう1物件は3年半前に購入して、売却はしていません。この両方を否認の対象にしています。

いつが「 直前 」といえるのか、売却していなくても「 相続対策 」と言われてしまうのか、基準が曖昧であることに、税理士業界からも注目されていました。

2.最高裁の判断

最高裁の判断を要約すると、次のようになります。

◯近い将来発生する相続において、相続税の軽減を記載して購入・借入を企画して実行したものであり、租税負担の軽減を意図して行った行為である
◯購入・借入れのような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と不均衡を生じさせる
◯実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、通達を上回る価額で評価をした税務署の判断は合理的な理由がある

相続直前に購入するなど、「 相続税評価を意図的に下げた 」と見られてしまったこと。大きく評価額を下げてしまったことが、「 他の納税者と不均衡 」と思われてしまったこと。これが敗因と言えます。

しかし、何をもって不均衡なのか、という点は釈然としないままです。「 資産家だから借り入れできたのでしょ? 」と言っているように聞こえます。

では、資産家とは、どの程度を指すのでしょうか? そこは税務署の主観で判断されてしまうのか、という懸念が残ります。

一方、路線価を使うことについては、
「 通達評価( 路線価 )と鑑定評価との間には大きなかい離があることだけをもって、租税負担の公平に反するというべき事情があることはできない 」
と言及しています。

この裁判によって、路線価で評価することを否認されたわけではありません。大家さんの所有している不動産の相続税評価が上がるということではありません。

しかし、相続直前に不動産を購入するなど、相続税評価を意図的に下げたと見られてしまうものは、時価評価しなければならなくなる可能性があります。

3.大家さんへの影響

@不動産の購入控え

相続対策で不動産を購入しようとする人が少なくなる可能性があります。それによって、相続目的で購入する人への高値の売却という出口が、難しくなるかもしれません。

A不動産融資への警戒

今回の事件では、銀行のアドバイスで不動産購入をしています。今後は銀行が相続対策で不動産を提案することも少なくなるでしょう。また、相続対策の融資や不動産への融資を控える傾向も出てくるかもしれません。

B不動産価格の下落

購入する人が減ったり、融資が出にくくなったりすることによって、不動産の価格にも影響があるのではないかと思います。

4.相続対策で気をつけるべきこと

@相続直前に対策をしない

相続直前に対策をしようとすると、一気に大きな対策をしなければなりません。これが税務署に目をつけられるものになるのです。前もって計画的にコツコツ対策をしていくのがよいでしょう。

A賃貸経営という意識もつ

相続対策が目的と思われてしまわないように、賃貸経営を主眼においていることが客観的にわかるようにするべきです。具体的には、空室を埋める努力をしているか、キャッシュフローを改善する対策をしているか、経営の実態が大事になってきます。

最後に、個人的な意見ですが、裁判の結果によって、不動産投資家、大家さんは萎縮する必要はないと思います。むしろ賃貸経営に興味がない、相続対策を目的とするプレイヤーがいなくなることで賃貸市場は活性化するとことを願っています。

私のYoutubeチャンネル「大家さんの知恵袋」でも、路線価否認裁判について動画で解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。



■ セミナー・相談会のお知らせ

私が登壇するセミナー情報です。両方ともセミナー後に質疑応答の時間も設けています。よろしければご参加ください。

@『大家さん専門税理士が語る!事業計画から投資戦略を考える方法』セミナー
※静岡銀行さんから今後の融資姿勢などのお話もあります
日時:5月25日(水)18:30〜
料金:無料
詳細・お申込み⇒コチラ

A不動産賃貸経営セミナー『確定申告で見る 手残り改善対策』
日時:5月21日(土) 15:00開演(14:30開場)
場所:アートホテル大分
料金:2,000円
お問い合わせ・お申し込み⇒コチラ

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」


■ 経歴

□大学在学中に司法書士試験に合格

□大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

□商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

□資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

□2011年
「行動する大家さんの会」を設立

□2013年
「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

□2017年〜
日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。


■ 主な著書

渡邊浩滋さん:著書-1
大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)

渡邊浩滋さん:著書-3
「税理士」不要時代(経営者新書)

渡邊浩滋さん:著書-4
税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営 (ぱる出版)

渡邊浩滋さん:著書-5
『 大家さんのための超簡単!青色申告 』【2021-2022度版 】

ページの
トップへ