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【不動産投資本】なぜ新耐震住宅は倒れたか 変わる家づくりの常識

不動産投資本/書評 ニュース

2016/10/17 配信

書籍表紙
詳細なデータなども掲載されており、専門的な1冊

2016年4月に起きた熊本地震では新耐震と呼ばれる1981年に施行された基準に基づいた住宅が倒壊したことで話題になった。1995年の阪神・淡路大震災では新耐震と旧耐震での住宅被害の差がクローズアップされ、新耐震なら大丈夫というのが常識とされてきたが、それを覆す倒壊例である。

上空からの写真
機内から撮影した熊本市上空。ブルーシートを被っているのが被災した住宅

しかも、阪神・淡路大震災後の2000年以降は2000年基準と呼ばれる接合金物補強、壁量バランスの重要性を強調した基準が施行されているのだが、その基準で施工された住宅の中にも倒壊した例があった。つまり、これまで安全とされてきた基準が役に立たないかもしれないという懸念があるわけで、それを実際の倒壊例から検証しようとしたのがこの書「なぜ新耐震住宅はたおれたか 変わる家作りの常識」(日経ホームビルダー編 日経BP社刊)である。

熊本城
実際に目にすると、熊本城内の被災状況は非常に深刻だった

専門的な内容でもあり、素人にはこれを読んで実際の建物をチェックできるかと言えば、かなり難しい。だが、いくつか、素人でも注意できそうな点があるので、ここではそうした点だけをご紹介しよう。

■盛り土と川沿いで被害が顕著だった

素人でもチェックしやすいのが立地である。熊本地震では盛り土、川沿いで被害が顕著だったという。これについては土地条件図、治水地形分類図など国土地理院が発表している地図を見ることでチェックできるので、必ず確認をする必要があろう。

加えて、大事なのが基礎の種類。阪神・淡路大震災後、ベタ基礎が一般的になっているようだが、今回の被災例では布基礎ごと壊れた住宅もあったとか。一方でベタ基礎が上部構造を支え、倒壊を免れた例があったとも。中古住宅の場合で、かつ地盤に懸念がある場合には基礎の状態も要確認というわけだ。

ちなみにベタ基礎とは建物の下全体に基礎を打つもので、布基礎は基本、1階の壁の下だけに打つもの。全体で支えるか、一部で支えるかの違いと言っても良い。

また、コンクリートブロックの積み重ねなど、古くて強度に欠ける擁壁が多かったことも被害を増大させたとあり、擁壁にも注意が必要。擁壁の改修にはお金がかかるため、住宅を新築する際も擁壁はそのままという例があるが、それでは不測の事態は防げない。できれば擁壁を必要としない土地の物件を選びたいところだ。

■直下率の低い住宅は危険

直下率とは1階と2階で繋がっている柱や耐力壁の割合のこと。簡単に言えば上下で壁、柱がどれだけ繋がっているかという意味で、その割合が低くなればなるほど倒壊の危険が増す。この割合については建築基準法、住宅性能表示制度にも規定がないものの、住宅の性能を判断するソフト「インテグラル」では耐力壁の直下率が30%以下を×、30%以上を△、50%以上を◎としている。おおよそ、そのくらいの基準で考えれば問題はないだろう。

直下率については近年低い住宅が増えているという指摘がある。特に建設時、技術、建築を知らない営業マンが窓口になっている場合、施主のすべての要望に応えようとするがために生じやすいとの指摘もある。開放的な大空間は魅力的だが、それを追求するあまりに危険な建物を作るのは本末転倒。建築時にはきちんと技術が分かっている人間を窓口に安全を確認しながらを原則としたほうが良さそうだ。

また、倒壊例では安易な増改築も挙げられていたことを考えると、増改築時、リフォーム時などにもきちんとした技術的な確認は必要だろう。

■接合部、筋交いなどの施工状況で被災に差

書籍の3分の1以上を裂いて紹介されていたのが建物の接合部、筋交いなどの施工状況が的確でないがために被災に差が出たという点。その要因としては2000年基準が出るまで、接合金物の使い方などに明確な規定がなかったことに加え、書籍ではそうとまでは書かれていないが、安全を軽視した施工が行われていたということがあるように思われる。

被災状況
市内には判定の結果、危険と判断された住宅も点在。多くは古いものだったが、3棟繋がっているうち、一部が壊れているなど、アンバランスな壊れ方もあった

たとえば、驚かされたのは釘の打ち方ひとつで強度が違うという点。たとえば厚さ9oの合板に釘が5oめり込んでいたとしたら、板の厚さは4oしかないことになり、9oを想定した強度は得られないことになる。

だが、施工のプロである大工がそのような釘の打ち方をするものだろうか。深読みすると、さほどプロとはいえない人が施工をする可能性があり、それが強度を落とす結果を招くのではなかろうか。

建物建設に当たってコストを抑えたいというニーズは確かにあるが、それがあまりに極端になると素人同然の人間が施工に携わる危険が出てくる。コストとのバランスは考えつつも、ある程度以上の技術力のある会社に依頼するようにしたいものである。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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