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【不動産投資本】芸人の矢部太郎さん書き下ろし「大家さんと僕」。大家さんは入居者との情を育めるか?

不動産投資本/書評 ニュース

2017/12/24 配信

お笑いコンビ、「カラテカ」の矢部太郎さんが書き下ろしたエッセイ漫画「大家さんと僕」(新潮社)が、10月の発売以来、好調な売れ行きを記録している。

とあるきっかけから、新宿区にある二世帯住宅の2階に住むことになった矢部さんに訪れた、87歳の女性大家さんとの出会い。

そして、戦前生まれという世代ギャップに戸惑いながらも、1階に住む彼女と次第に仲良くなり、お互い独り身の友人として、二人は温かい友情を深めていく。

お笑い芸人の矢部さんらしいコミカルなツッコミも随所に交えつつ、シンプルで優しい画風と相まって、とてもほのぼのとした気分にさせられる1冊だ。

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大家さんは、東京生まれの東京育ち。裕福な家庭に育ちながらも、戦争や疎開、そして離婚といった、さまざまな苦労を経験している。

タクシーで伊勢丹に通い、レストランから毎日の食料品まで、百貨店ですべてをまかなう豪快さを持ちつつ、派手な暮らしはしない。

「ごきげんよう」と、上品な物腰で誰にでも優しく接するが、物言いははっきりしていて、いかにも東京生まれらしい気風の良さが心地いい。

無茶な仕事をする矢部さんを心配したり、彼を家に呼んでお茶をご馳走したりと、懇意にしてくれる大家さん。それに対し、彼も屋外の電灯をつけたり、真夏に草むしりを手伝ったりと応えている。

こういった、大家さんと矢部さんの二人暮らしとも言える関係は、現代の賃貸経営では失われてしまった、何かがあるように思える。

彼女は大家として、特別なことを彼にしているわけではない。矢部さんを伊勢丹のレストランに誘い、2人で1万円以上のランチをご馳走するくだりはさすがに豪華とは思うが、それはあくまで友人としての付き合いだ。

この本を通じてそれ以上に感じるのは、大家と入居者における「距離感の近さ」である。

日本の賃貸住宅はもともと、江戸時代の長屋に端を発した仕組みと言われている。物件のオーナーは家主(やぬし)として、借主の店子(たなこ)との深いつながりがあった。

貸家の近くに住んで入居者と懇意にし、庭先で掃除をしながら挨拶しあったり、お互いに何かあれば協力しあう、という「昭和の貸家」的な距離感の近さは、戦前生まれの彼女にとっては、ごく当たり前のこととも言える。

一方、現代の賃貸経営は、昭和に比べて随分とシステマチックになった。物件管理や家賃回収、客付けまで、すべて管理会社にお任せというケースも多い。

入居者はもとより、物件を見たことがなくても賃貸経営が可能、という現代において、今さら入居者との距離感を唱えるのは、いささかナンセンスとも言えそうだ。

しかしこの本を読むと、大家と入居者という関係が、随分と素敵に感じられるのは何故だろう。

それはきっと、一流ホテルのように洗練されたホスピタリティではないものの、現代の賃貸経営や人間関係に失われがちな、地に足の着いた「心のつながり」、そして「情」を感じるからではないだろうか。

「大家さんと僕」は、エッセイ漫画としても大変読みやすく面白い。矢部太郎さんの「意外な才能」に、読者が驚かされる一冊となっている。

読みながら、大家業とは何かを改めて振り返る、いい機会にしてはいかがだろうか。

健美家編集部(協力:五位野健一)

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