本ニュースページの執筆者の一人でもある司法書士の太田垣章子さんの最新刊が、今回紹介する「家賃滞納という貧困」だ。
不動産賃貸業を営む人たちはもちろん、不動産業界にいる人間には、身近な問題であるはずの家賃滞納。しかし、家主側の訴訟代理人として、16年間で2200件以上もの滞納案件と向きあった著者が紹介する18の滞納の現場は、あまりにも“こちら側”の世界とかけ離れている。
登場する滞納者は、元広告代理店勤務のサラリーマンから、身寄りのない高齢者まで様々だ。読み進めてわかるのは、著者が出会ったのは、悪質な滞納者よりも、「がんばっているのにお金がない人たち」が多いということ。正社員が減り、派遣社員やアルバイトで暮らす人々が増えた日本では、小さなきっかけで貧困は始まるのだ。
第5章「夢を見れない若者たち」には、昼間は工事現場で働き、夜は定時制高校に通いながら、父親の滞納した家賃を肩代わりし、心を病んだ母親の面倒を見る18歳の若者が登場する。著者はこの若者と話しているとき、何度も泣きそうになったという。
他に、両親が揃っているのに児童養護施設に入ることになった13歳の男の子、ライフラインの止まった家でカッ
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