人口減少時代の日本において、賃貸住宅の空室率は年々上昇の一途を辿っている。物件の数自体はもう世の中に十分すぎるほど存在しているが、市場には次から次へと新築物件が投入され、供給が止むことはない。
そんな状況で生き残っていくためには、他との差別化という観点が欠かせない。優れた不動産投資家たちは企画力や運営力によって周辺物件との差別化を図り、満室ないし高入居率を維持している。
とはいえ、現時点で十分に差別化された物件でも、いずれは古くなり、後からやってくるライバル物件たちの存在によってコモディティ化してしまうおそれがあり、油断はできないだろう。
今後も賃貸市場で永く生き残っていくためには、より大きな差別化、強烈な個性のある尖った物件づくりがひとつのポイントとなるのではないだろうか…ということで、今回は『高い家賃なのにいつも満室になる人気物件のつくり方 一芸物件(アスコム)』という本を紹介する。
著者は不動産投資家兼キャリアコンサルタントで、”一芸物件専門家”の井上敬仁氏。
自動車メーカー勤務の普通のサラリーマン大家として2004年から不動産投資を開始。中古アパートで経験を積んだのちに新築アパート投資に移行した。こだわりの企画によって高付加価値の人気物件を次々と生み出し、2016年にFIREを達成。
その後、運営する学生アパートの入居者に就活相談を受けたことをきっかけに、就活支援をアパートの付加価値に加えることを着想。キャリアコンサルタントの国家資格を取得し、入居者に対してキャリア相談や就活セミナー等のサービス提供を開始したところ、これが見事にヒット。唯一無二の個性により、他の学生アパートより高い家賃設定でも空室知らずの人気物件となっている。
刺さる人には強烈に刺さる
一芸物件専門家が見つけたクセがすごい一芸物件の数々
すでにお分かりのことだろうが、”一芸物件”とは一芸に秀でる、尖った物件のことである。少々立地が悪くても、古くても、高くても、「絶対にここに住みたい!」と願うファンがいる、ただの人気物件を超えた”愛され物件”のことだ。
本書では著者が一芸物件の研究を通じて出会ったさまざまな物件から15の実例が登場しており、以下にその一例を紹介する。
・都心から1時間半以上、駅遠の不便な立地でも地域相場より2万円高い家賃で空室待ち200人の”愛車が主役のガレージハウス”
・人と猫の共生をテーマにした、ペット可物件ならぬ”猫専用アパート”
・カレー好きのスパイスマニアたちが集い、日夜カレーの研究が行われる”カレーシェアハウス”
・元農地に建てられた、ゴルフシミュレータやボルダリングが設置してある”趣味全開テラスハウス”
・大型水槽の設置OKで熱帯魚や爬虫類を堂々と飼育できる”アクアルームつきアパート”
いずれも明確なコンセプトがあり、決して万人受けはしないが一部の人には強烈に”刺さる”尖った物件ばかりだ。
オーナー自身の”好き”や”課題意識”にヒントあり
自分だけの一芸物件を作る方法も紹介
一芸物件で成功するためには、他人の一芸のマネではなく、オーナー自身の興味・関心や課題意識にしっかりと紐づいた「自分だけの一芸」を見つけて磨き上げ、賃貸事業に落とし込んでいくことが重要だと著者は言う。
本書では単なる事例紹介に終始することなく、一芸物件のつくり方について、架空の一芸物件「マンガ好きのためのアパート」を例としてマーケティング理論を用いながら解説しているのも見どころだ。アイディアの広げ方や深め方、どうやって事業として練り上げていくのかを、具体的にイメージすることができるだろう。これからの不動産投資の勝ち筋は、自分だけの一芸物件にあるかもしれない。
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健美家編集部(協力:
(たまあらい))