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来年5月には契約時の押印全面廃止。デジタルとアナログのハイブリッドで、不動産投資家のパートナーマネジメントは?

収益物件購入・売却/契約 ニュース

2021/08/18 配信

全国のオーナーセミナーで講演していると、「DXはどこまでどう対応したらいいのか」「これから業界はどこへ向かうのか」「時代遅れのアナログ経営は不安だ」という声をお聞きする。今回は、収益物件オーナーが意識すべきデジタル化と、逆張りでのアナログ化を論じる。

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デジタル改革関連法案成立。
2022年には押印も廃止。

政府は規制改革の1丁目1番地として、各種法律の「対面」や「押印」部分を見直し、デジタル改革関連法を2021年5月可決した。来年の2022年5月には宅建業法が改正され、契約時の押印を廃止し、売買契約においても重説・契約書の電子署名での交付が全面解禁となる。

デジタル化による生産性改革もひとつの目的であるが、一方で、書類の説明や捺印のために、満員電車に乗り、第三者と濃厚接触してコロナ感染リスクを高めてまで、アナログな手法にこだわる事は、社会的にも非合理であるという判断である。

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便利になる事はあっても
不便や不具合にはならない

これは、収益物件オーナーにとっては、なにか面倒な事になったり、ITリテラシーがないと困ったりするといった事にはならないからご安心頂きたい。

従来からの対面でのやり取りを否定するわけではないし、これまでの書類を郵送してほしいと言われれば、管理会社も応じるはずだ。なにしろ、収益物件オーナーには高齢者も多く、デジタル限定でやり取りを強制する法ではないからだ

デジタルオーナーでないとまずい、というわけではない
デジタルオーナーでないとまずい、というわけではない

デジタル化しても
これまでの手法も残る

例えば、契約書。デジタル化されるといっても、パソコンでの処理が不慣れなオーナーもいるはずだ。

そんなときには、

①これまで通り紙で届けてハンコをもらおうとする不動産会社もいるし、
②iPadなどを片手に、「ここのボタンを押してください」と参上する不動産会社も登場するだろう。

あくまで、デジタル化により、効率化が進むのは不動産会社であり、収益物件オーナーは、さほど心配はいらない。
とはいえ、いちいち対面説明と捺印が不要となれば、利回り計算のみで、現地を見ること無く、収益物件の売買も可能となる。そのほうが便利というオーナーもいるだろう。

これまでの紙の契約が禁止になるわけではない
これまでの紙の契約が禁止になるわけではない

エリア分散で、
リスク分散も可能に

こうしたデジタル化は、収益物件オーナーのリスク分散にも寄与する。「感染リスク」が対面接触の削減で抑えられるのはもちろん、例えば、地元以外の収益物件を所有する際にも便利である。例えば首都圏と地方に収益物件を所有する。あるいは地元の山側と海側に物件を所有する。

わざわざ対面や捺印などしなくても、エリアを越えて物件を所有する事は、例えば土砂災害や地震、台風などの自然災害で収益物件が被害を受けても、場所が異なる事でのリスク分散が可能だ。

自然災害に限らず、大学の移転や工場の移転など、外部環境変化で収益物件のエリア内入居率が悪化するという可能性を考えると、物件を分散化して所有すべき時代ともいえる。こうした際に、契約高位の合理化は追い風である

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確定申告で効率化出来るだけでなく、
家族での収支情報の共有にも寄与

また、デジタル化された書類は、そのまま確定申告などで使いやすい。税理士さんが、紙を見て、毎月の家賃の収支明細書を打ち込んでいる、といった業務は、実は経費としてオーナーに請求されている事もある。自ら確定申告しているオーナーであれば、手間もかかる。デジタル化が進むことは、オーナーの業務効率もあがる。

加えて、遠方にいるご子息などと、収益情報を共有しやすいというメリットもある。デジタルに強いオーナーは、さらに便利になるという面は朗報であろう。

デジタルデータやアプリであれば、離れた家族とも収支の共有がたやすい
デジタルデータやアプリであれば、離れた家族とも収支の共有がたやすい

一方で大事にしたいのが
管理会社とのコミュニケーション。

さて、デジタル化が進む一方で、大切にしたいのは、コミュニケーションの「頻度」と「質」だ。なんでもかんでもデジタルになって、空室が放置されていたり、家賃の下落が続いていたりでは収益物件の利益は減るばかりである。

合理化されるあまりに、管理会社の提案関与が希薄になってしまっては話にならない。

むしろ書類がデジタルになった分、空室対策などは膝を交えて、じっくり話し合い、入居者の動向などを聞きながら、冷静に判断したい。そうしたアナログは一方で大切である。面と向かったオーナーから「この空室をなんとかしてほしい」と言われれば、不動産会社も「なんとかせねば」と浪花節で汗もかくというものだ。

デジタルを進める一方で
原点には立ち返って、信頼を重視

2021年7月。大阪の管理会社であるファインマネジメントが賃貸住宅のリフォーム費用の架空請求などで損害賠償を求め、大阪地裁に不動産仲介管理大手のエイブルを提訴した。

ファインマネジメントは5棟80戸のワンルームの賃貸マンションを大阪市内に所有、エイブルに管理を委託していたものの、リフォームの架空請求で6000万の工事が行われず、派遣社員の口座に振り込まれていたもの。

エイブル側はこの6000万の支払いには応じたものの、その間の空室の損害などについては、折り合いがつかず提訴となった。

すなわち、今後オーナーと不動産会社との関係がどれだけ非対面化かつデジタル化しようとも、ちゃんと原状回復工事も行われないようでは、収益物件の運用は失敗する。

特定個社の問題、あるいは特定の従業員の不正行為と捉えるよりも、「デジタル化したとしても、このビジネスは原状回復工事ひとつとっても、信頼の積み重ねでしかない」というひとの戒めでもある。

また、手書きのフォーマットで個人口座に振り込みを指示するような、出来心で不正を起こしかねないフローのままではいけない、という警告とも取れる。

すべての原状回復工事完了後に
目視確認など出来ない

収益物件は、これまで述べたように、リスク分散を考えると、エリアの分散化が必要であり、自主管理をすべて行うには、距離的な制約を受ける可能性がある。そう考えてもデジタル化は追い風である。

一方で、どんなに大手であっても、ちゃんと壁紙一枚が張り直されているかは、丸投げでは不正やミスのリスクもある。使用前使用後の写真を送ってもらうとしても、その写真が真実かどうかはわからないからこそ、デジタルはどこまで行っても限界がある。

だからこそ、日頃のコミュニケーションが大事だ。担当者がころころ変わらず、担当者も上司もよくその人物をオーナー自身が観察し、信頼できるパートナーに委託していくことが大切である。そして、パートナーである、仲介・管理・修繕会社のモチベーションや気持ちをくみ取りながら、丁寧にマネジメントするノウハウが重要なのだ。

外部パートナーをいかにしてマネジメントすべきか。そのときの鍵は、不正を起こせないデジタルの発注フローとともに、日頃の会話や笑顔といったアナログのハイブリッドが大切なのだ。

デジタル化の一方で、アナログ対面でのパートナーシップは欠かせない。
デジタル化の一方で、アナログ対面でのパートナーシップは欠かせない。

執筆:上野典行(うえの のりゆき)

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【プロフィール】
プリンシプル住まい総研 所長1988年リクルート入社。
大学生の採用サイトであるリクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。 2008年より賃貸営業部長となり2011年12月同社を退職し、プリンシプル・コンサルティング・グループにて、2012年1月より現職。All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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