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美術館や博物館を思わせる賃貸住宅。高い家賃も可能に。隈研吾事務所での経験を活かして【建築家と建てる賃貸住宅 押尾章治氏】

収益物件購入・売却/建築家の賃貸住宅 ニュース

2021/12/24 配信

美術館から商業施設、礼拝施設や納骨堂など幅広い建築物を手掛ける建築家、押尾章治氏。隈研吾事務所で13年の実績を積み、一級建築士事務所UAを共同設立。日本最大級の建築家ネットワーク アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社(ASJ)に登録する。

押尾氏が手掛ける賃貸住宅は、美術館や博物館を思わせる趣のあるデザインで、高い家賃設定も可能にする。魅力ある賃貸住宅を作るために心がけていることなどを取材した。

米沢格子01
2016年「第18回米沢市景観賞」を受賞した山形県米沢市の「格子の集合住宅」。美術館のような景観だが単身者向けの1DKの賃貸住宅である。
米沢半円04
2015年「第17回米沢市景観賞」を受賞した「半円の集合住宅」。豪雪地帯で雪対策を考えた敷地形状と半円の外観が特長。こちらも1DKの単身者向け賃貸住宅。

賃貸住宅を建てる上で「地域環境」を最優先に、
特異性のあるもの、建築的に面白いものを目指す

賃貸住宅は長期的、継続的な需要がなければ経営が難しい。その地域の気候や風土、賃貸需要を最優先にしながら、その地域で安く、取り入れやすい資材にも配慮する。

「地域環境を考慮しながらも、建築家として、デザインが特異なもの、建築的に面白いものを形にすることを心がけています。見た目を重視するからといって、設備面を置き去りにするようなことはせず、デザインと実用性や可変性を両立できるように意識しています」

例えば、冒頭の写真は山形県米沢市で、優れた景観の建築物に贈られる「米沢市景観賞」を2年連連続で受賞した、「格子の集合住宅」と、「半円の集合住宅」である。それぞれオーナーは異なるものの、美しい外観デザインに圧倒される。どちらも地元の大学に通う大学生をターゲットに見据えた単身者向けの1DKの賃貸住宅である。

学生向けといっても、家賃はこの近辺では、トップクラスの高さを誇る。注目すべきは、地元の資材を活用することで、建築コストを抑え、地域環境に貢献していることだ。

「格子の集合住宅は、この地域では木材が入手しやすいことから、木材を使ったモダンな縦格子の和風のデザインを考えました。またクライアントが施工会社で、庭づくりが趣味でもあり、川石と枕木をたくさんもっていたことから、それらを外構に活かせるような外構デザインを考えました」

米沢格子051
「格子の集合住宅」の外構では、川石や枕木、ケヤキなどが豊富に活用できる点を活かしながら、美しい景観を作り上げた。
米沢半円02
敷地に高低差をつけ、建物の中に地下通路を確保。建物の形状を半円にすることで、雪が積もっていても雪かきをしなくてすむ設計に。地域住民も敷地の中央の通路を通行することもできる。

景観大賞を受賞したもう1つの「半円の集合住宅」は、豪雪地帯であることから、雪対策についてもよく考えられたデザインになっている。

「地域の特性でコンクリートが安く入手できることも活かして、コンクリート造にしています。このように賃貸住宅を作る際には、地域、資材、環境、コスト、ニーズなどのパズルを埋めるような形でプラニングを行っています」

都心では高級住宅街で高級賃貸も。
エリアの特性に合わせ、人を惹きつける仕掛けを

たくさんの人が住み、情報があふれた都心と、そうではない地方や郊外では、賃貸住宅のプラニングの仕方が異なる。次は都心の例を挙げて解説する。押尾氏が手掛けた都心の賃貸住宅の例に、「神山フォレスト」がある。

神山02
1階はレストラン、2~3階が高級エステやジムが入り、3~4階が賃貸、5~6階がオーナー住居となっている「神山フォレスト」。

「神山は松濤と並ぶ、東京屈指の高級住宅街です。賃貸部分は、高所得の女性入居者をイメージし、建物全体として、レストランやエステ、ジムを併設することで、都会で働く女性に必要な質の高い『美』『食』『健康』『休息』という要素を、それぞれ単体ではなく、複合的な価値として提供することを目的としました」

神山04
エントランスホール。白を基調にしたやさしいインテリアでまとめた。

入居者によって設備やインテリアに関連する意識は異なる。
普遍的に愛されるもの、それでいて実用性も兼ね備える

「もともと美術館や博物館の設計をやっていたことから、賃貸住宅を作っても、美術館みたいだねといわれることが多いですね。そういった賃貸住宅を作りたい人の役に立てるかもしれません」

美しいデザインの賃貸住宅を作るうえで、設備の一部の配管などが見えると、デザイン性を損なうことから、設備面で欠かせないものを、いかに「隠す」かも重要になる。そのため設備をまとめて置いておけるようなスペースを確保するなどの工夫を施している。

競争が激しい賃貸住宅のなかでも、美術館や博物館のような印象的なデザインの賃貸住宅は、それだけで見る人の目に留まる。さらに実用性や可変性を伴うことで、長く愛されることにつながっていくようだ。

顔
押尾章治氏。千葉県生まれ。明治学院大学法学部法律学科卒業、1988年に隈研吾建築都市設計事務所入社、2001年同事務所退社後、一級建築士事務所UA共同設立。

●取材協力:アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社(ASJ) 約3000人が登録する日本最大級の建築家ネットワーク。全国各地のスタジオや定期的に開催するイベントで、さまざまな建築家と出逢い、話し合える場所を提供している。

健美家編集部(協力:高橋洋子(たかはしようこ))

高橋洋子

https://yo-coo.wixsite.com/home

■ 主な経歴

暮らしのジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、情報誌などの編集を経てライターに。価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、おトクなマネー情報の研究に目覚め、FP資格を取得。住宅、マネー関連の執筆活動を行う。

■ 主な著書

  • 『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)
  • 『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)
  • 『最新保険業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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