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これって失敗?競売でアパート落札事例。一度落札してしまったら、辞退しても保証金は返ってこないのでご注意を!

収益物件購入・売却/競売 ニュース

2018/12/27 配信

定期的に競売セミナーを開催し、日々、競売の相談を受けているドクターKである。今回、競売で公開されていた一棟マンションの競落事例をご紹介する。

今回、紹介する物件は築30年の鉄筋コンクリートの一棟マンションである。物件の場所は、南関東の比較的に大きい市町村であり、最寄りの駅から約1.6km離れたところにある。

今までの記事にした競売事例は成功事例を多く取り上げてきた。しかし、今回の競売事例は、こんな金額で落札してどうするの?と疑問がわき、「失敗でしょ!」という事例を紹介する。

今まで数百件以上の競売事例を見てきたが、正直、全ての落札事例が成功しているわけではない。

プロの不動産業者でも、誤って高額な金額で落札し、その後、利益なし、または、マイナスで売買されていることもある。

この記事の最後には、高額な金額で落札し、裁判所へ落札価額を支払わないとどうなるのか?という事も記載する。ご参考に頂けたらと思う。

1.物件概要
(1) 周辺環境
物件は南関東にある比較的大きい都市である。この市町村は人口70万人以上であり、多くの大学や企業などが点在している地域である。

2027年にはリニア中央新幹線が開設し、この市町村に停止駅が建設される予定である。将来、楽しみな都市である。物件の近くには国道が通り、国道沿いには多くの店舗がある。住む上では特に問題なく、住みやすい地域である。

(2) 物件概要
物件は、土地が94㎡、建物の延べ床面積が164㎡、3階建ての鉄筋コンクリートである。外観は下記の通りである。築30年を経過しているが、タイル張りしているマンションである。角地であり、日当たりが良く、自動販売機も設置している。

01.外観

(3) 間取り、室内
間取りは、以下である。1階から3階まで同じ間取りであり、1K×12戸である。

02.間取り

以下、室内の写真である。綺麗な部屋と汚い部屋に分かれている。裁判所の公開資料に保守状況の記述があり、以下、添付する。

この内容より、保守管理を怠っていることがわかる。物件を取得後、修繕には費用を要するだろう。通常、競売に公開される物件の多くは、保守管理が十分にされていない物件が多い。

03.室内 04.保守管理状況

2.物件詳細
(1) 賃貸契約の内容
裁判所の公開資料には賃貸契約の内容も記載され、以下、賃料である。裁判所の執行官が調査した時点の賃料合計は、18万9000円である。各部屋の賃料は1万9000円から4万円とバラツキがある。

新築後に入居した方は、4万円で契約したが、その後、年数が経過するにつれて、賃料を下げて、現時点の賃料は、1万9000円になっている。

想定満室時の賃料合計は、空き室が4戸あり、1万9000円の賃料だと想定すると、26万5000円である。しかし、高い賃料を支払いしている賃借人が退室すると賃料が下がるため、リスクはある。

(2) 関係者のコメント
裁判所の公開資料には、関係者のコメントが記載されている。3行目に「破産管財人」とのキーワードがある。このことより、この物件を所有していた法人が破産し、債務整理のため、競売になったのだろう。

06.執行官の意見(一部)

(3) 物件評価の金額
裁判所から依頼された不動産鑑定士による競売の基準価格は以下である。
1483万円
上記の金額は、裁判所から依頼された不動産鑑定士によって、査定される。この金額は、一般流通市場の価格よりも安く設定される。理由は、この金額が一般流通市場よりも高いと誰も入札せず、競売自体が成り立たないためである。

3.落札結果
(1) 落札結果
落札金額は以下である。
4400万円

入札件数は16件であり、法人が落札している。裁判所が査定した基準価格の約3倍であり、利回りを考えても、非常に高値で落札されている。正直、このような金額で落札してどうするのか?疑問に思う。どの程度の利回りなのか次に精査する。

(2) 利回り
利回りは、裁判所から公開された賃料が継続可能であり、かつ、満室になったと仮定すると、利回りは、7%である。
家賃 26万5000円/月(318万円/年)
落札金額 4400万円
諸費用 100万円(裁判所へ代金納付する際の諸費用(登録免許税など))
利回り 7%
しかし、修繕が必要であり、現在、高い賃料を払っている賃借人が退室すると、利回りは下がる。結果、利回りは約6%台だろう。

4.最後に
正直、利回り6~7%の物件を競売で落札するのは如何だろうか?それなら、一般流通で物件を購入するのと変わらない。

但し、この物件を賃貸ではなく、エアビーや旅館業として、運用するなら利益が上がるだろう。しかし、この物件の地域は、有名な観光名所があるわけでもなく、駅からも離れているので、正直、エアビーも旅館業も微妙である。結果、成功した競売事例とは言えない。

今回のように、高額な価額で落札した場合、その後に落札価額を支払わない事も可能である。

しかし、その場合、入札時に支払った基準価格の2割の保証金は返金されない。入札する際、落札金額は、しっかりと精査し、誤りがないように入札すべきである。

執筆者:ドクターK

【プロフィール】
「不動産セカンドオピニオンサービス合同会社」所属。競売コンサルタント。年に数十回の入札を行い、数件落札。競売をやりたい初心者向けに毎月競売セミナーを開催し、競売のノウハウを伝授。執筆活動も行い、著書「はじめての競売」に一部寄稿。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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