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競売で1577万円で落札した物件を倍以上の価格で転売。ただし高度な物件の見極め必要。初心者には不向きか。

収益物件購入・売却/競売 ニュース

2019/08/22 配信

定期的に競売セミナーを開催し、日々、競売の相談を受けているドクターKである。
今回、競売で公開されていた戸建の競売事例をご紹介する。

紹介する物件は、都内近郊にある戸建物件である。
今回は不動産業者が落札し、転売した事例を紹介する。また、この事例は転売の事例の中でも、非常に利益が得られた物件である。
但し、どのような競売物件でも転売すれば、今回と同様に利益が得られるとは限らない。

例えば、賃貸向けの物件を落札し、利回り20%の物件でも、転売だと利益が得られない物件もある。一方、転売の利益は得られるが、賃貸だと利回り5%前後の物件もある。

転売向けの物件を狙う場合は物件の見極めが必要である。ポイントは、所在地や築年数、建物状態など、いろいろな条件を確認する必要がある。正直、転売は初心者の方には難しく、プロの不動産業者がやるべき分野である。

読者には、今回、紹介する物件を参考に、賃貸物件を所有していても、後に転売するケースもあるので、このような競売物件もあるということをご理解頂けたらと思う。

1.物件概要
(1) 所在地
物件は南関東の大都市であり、日本で二番目の人口を持つ都市である。1位は、当然、東京都23区である。

この都市の総人口は、日本の市町村では最も多く、四国地方に匹敵するおおよそ374万人であり、1府37県の人口を上回る。
物件の所在地は最寄りの駅から1km離れたところにある。最寄りの駅は、この都市の中心部に位置する場所にあり、非常に立地条件が良い。

(2) 物件概要
物件は、土地が67㎡、建物の延べ床面積が68㎡、築26年の3階建ての戸建である。
外観は、3階建てのモダン的な建物であり、鉄骨で建てられている。土地は角地であり、日当たり良好である。

建物外観。築26年には見えない3階建てのモダンな建物
建物外観。築26年には見えない3階建てのモダンな建物

(3) 間取り、室内

間取りは3DKである。1階はキッチンと浴室、洗面所、トイレの水回りがある。2階は和室が2つある。3階は、洋室が1つとルーフバルコニーがある。ルーフバルコニーが屋上にあるので、バーベキューなど、いろいろと楽しみ方があるだろう。

間取り。狭い土地にも関わらず、スペースをうまく活用した間取り
間取り。狭い土地にも関わらず、スペースをうまく活用した間取り

以下、外観、室内の写真である。築年数は26年が経過しており、部屋の中に物は多い。転売するなら、クロス張替えなどを含め、リフォームは必要だろう。

室内。築26年が経過しているので、物は多い…。
室内。築26年が経過しているので、物は多い…。

2.物件詳細
(1) 関係者のコメント
裁判所の公開資料には、債務者や所有者などの関係者のコメントが記載されている。
そのコメントに2階の和室で雨漏りとの記載がある。3階にルーフバルコニーがあるので、リフォームでは防水工事などの対応が必要かもしれない。

関係人の陳述等。見落としなく読もう
関係人の陳述等。見落としなく読もう

(2) 執行官のコメント

裁判所の公開資料には、債務者などの関係者のコメント以外に、裁判所の執行官のコメントも記載されている。執行官とは、競売などの裁判を進め、書類作成などを行う。執行官は競売物件を確認した際、自らの意見も必ず記載されている。

そのコメントの中に「東側外壁にはクラックが多数見受けられた」との記載がある。リフォームに外壁塗装が必要かもしれない。

執行官の意見
執行官の意見

(3) 物件評価の金額
裁判所から依頼された不動産鑑定士による競売の基準価格は以下である。

7,170,000円

上記の金額は、裁判所から依頼された不動産鑑定士によって、査定される。この金額は、一般流通市場の価格よりも安く設定される。理由は、この金額が一般流通市場よりも高いと誰も入札せず、競売自体が成り立たないためである。

3.落札結果
(1) 落札結果
落札金額は以下である。

15,777,000円

入札件数は18件であり、法人が落札している。

(2) 販売価格
落札した法人は、債務者と交渉して退去させ、リフォームを行い、この戸建てを販売している。その販売価格は以下である。

35,000,000円

転売の広告。1577万円で落札した物件を3500万円で転売。利益は…
転売の広告。1577万円で落札した物件を3500万円で転売。利益は…

この戸建てを調査したが成約情報がない。しかし、販売履歴もないので、直ぐに成約されたと思われる。

落札金額と販売価格の差より、かなりの収益があったと思われる。
また、落札金額以外に要した費用は以下である。

① リフォーム代…広告内容の記載より、クロスの張替え、キッチンの交換はやっているが、外壁塗装までは行っていない。
② 税金…不動産取得税などの税金である。
③ 債務者退去費用、残置物処理費用…こちらは具体的な金額は交渉次第だろう。

いろいろと費用はかかるが、ある程度、不動産投資を経験している人が計算すれば、落札した法人がかなりの収益を得られていることがわかるだろう。

4.最後に

今回、競売で取得した戸建てを転売する事例を紹介した。このような転売は、宅建の免許が必要であり、個人向きではない。個人でも賃貸目線で競売物件を落札したが賃貸契約まで至らずに転売した場合、所有期間5年以下であれば、短期譲渡所得で約40%の税金がかかる。

また、落札しても、債務者との退室交渉、残置物処理、リフォームの依頼などがある。さらに、個人場合、自分で転売をできないので、不動産業者への仲介手数料も発生する。万が一、債務者との交渉が難航し、強制執行にもなれば、さらに費用がかかり、時間もかかる。

法人で転売を行うと、既に債務者との交渉には経験があるため、慣れたものだろう。リフォームに関しては、その地域を担当していれば、安いリフォーム業者との繋がりがあり、値段を抑えて、リフォーム工事ができる。販売は、自分でやれば良い。そのため、競売の転売は、法人向きと言えるだろう。

執筆者:ドクターK

【プロフィール】
「不動産セカンドオピニオンサービス合同会社」所属。競売コンサルタント。年に数十回の入札を行い、数件落札。競売をやりたい初心者向けに毎月競売セミナーを開催し、競売のノウハウを伝授。執筆活動も行い、著書「はじめての競売」に一部寄稿。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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