• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

アメリカの不動産取引で必ず行うホームインスペクションの目的は?

収益物件購入・売却/物件選び ニュース

2017/09/29 配信

日本でもホームインスペクション(住宅診断)が注目されてきたが、アメリカでは以前からほとんどの不動産取引で実施されている。

アメリカのホームインスペクションは家の健康診断

ホームインスペクションは売買取引の契約期間中に行われるが、その目的は買主が物件の購入を意思決定する際に、建物の状態について専門家にしっかりと調べてもらい、その物件のことを充分理解、納得して購入することにある。従って費用は通常、買主が負担する。

インスペクションの料金は家の大きさや調査項目によって設定されるが、1~3ベッドルームのコンドミニアムで300~400ドル程度、3~4ベッドルームの一戸建てでは400~500ドルが目安(ロサンゼルス周辺の場合)。所用時間は1時間半くらいから大きめの物件なら2時間程度が一般的だ。

Home inspector-2Home inspector-1

調査する箇所は家の中と外の両方で、室内の設備機器、窓やドアの開閉状況、電気配線、キッチン・バスルームなどの水回りの状態、屋根裏の状態、玄関周りの地盤や舗装の状態、ランドスケープ、屋根の上の状態(梯子などで上がれる場合は屋根に上って確認)、床下の状態(床下に入れる場合は換気口から入って確認)、シロアリの痕跡などがあればそれもレポートされる。

ホームインスペクターは医療でいうとホームドクターのような立場で、物件全体を見て修繕や取り換えが必要な個所や問題があればアラームを出し、さらに専門のインスペクションを行うことを促すこともある。

ホームインスペクション以外の専門の調査としては、シロアリ(ターマイト)、下水、暖炉、屋根など。買主の希望があれば、ホームインスペクションと合わせて行うこともできる。

ホームインスペクションで見つかった不具合は修繕交渉することも

売買取引の手順を説明しておこう。買主が購入したい物件にオファーを入れ、売主がその条件に合意すると、30日間~45日間くらいの期間を設定して契約を開始する。

アメリカの多くの州では第三者であるエスクロー会社が取引きの遂行に関わる「エスクロー制度」を取り入れているため、契約を開始することを「エスクローをオープンする」とも言う。契約開始後は、買主が手付金を売主側に支払うが、このお金はいったんエスクローが管理する銀行口座で保管される。
◆物件探しのプロセス
スクリーンショット 2017-09-28 18.33.01

契約期間中、買主はその物件について様々な方面から調査をする権利が与えられ、建物の状態についてはホームインスペクションを実施する。

それ以外にも登記情報の書類、自然災害に関する危険度の調査書、売主からの建物や周辺に関する開示書類、管理組合の規約や議事録など、調べたり開示内容を確認する範囲は多岐に渡る。

インスペクションや開示情報の調査の結果、瑕疵や問題点が見つかった場合、買主は売主に対してその修繕の実施や修繕費用負担について要望することができる。

もし売主とその交渉について合意形成できなかった場合は、買主から取引をキャンセルすることが可能となるが、これが契約開始時に取り決めた一定期間(コンティンジェンシー期間)に行われる場合においては、買主が支払って保管されていた手付金は全額、買主に返金されることになる。

つまり不動産取引では、買主はインスペクションと開示書類の調査を終えるまでは、違約金の徴収なしにキャンセルができるという、守られた立場となっている。

買主の調査の権利と購入決定に対する自己責任

このように、ホームインスペクションは買主にとって、物件を購入する際の判断材料として重要な位置付けにある。

ただ同時に、買主は物件の不具合や修繕が必要な項目をわかった上で購入したと見なされるので、売主が既に開示している情報について、購入後に修繕などを求めることはできない。売主が開示していなかった情報について問題が起こった場合は、紛争の焦点となることが多い。

アメリカの不動産取引は中古物件が中心で、膨大な数の売買が行われてきたが、これらをベースに合理的でフェアなルールが整備されてきたと言えるだろう。

※上記はカリフォルニア州における住居物件の売買における情報を前提とします。

西川ノーマン裕子

【プロフィール】
京都出身。大阪外国語大学卒業。元住宅情報誌編集長。2004年に渡米。地元向けの日本語情報誌『Lighthouse』の編集長として、南カリフォルニアの日系コミュニティーでのビジネス交流、生活支援に従事。現在はロサンゼルス在住で不動産関連のコンサルティングに携わる。ビバリーヒルズ・ロサンゼルス不動産協会グローバル評議会委員、NAR公認国際不動産スペシャリスト、シニア不動産スペシャリスト、全米アジア不動産協会サウスベイ支部役員。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ