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出口戦略について考える。『出口』は不要か?必要か?

収益物件購入・売却/物件選び ニュース

2018/01/06 配信

収益物件は基本的にずっと持ち続けるものではない。利益が最大化できる時点で売却し、資産の入れ替えを行うことになる。

この「売却」というところがその収益物件の出口となるわけだが、出口についてはその物件を購入するときに考えておかなければいけない。これがいわゆる「出口戦略」である。ただし、その物件を生涯持ち続けるという選択肢も当然あり得る。

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今回は、自身も今年物件の一部を売却した、サラリーマン投資家A氏に、出口戦略について聞いてみた。

ー 今年、物件を売却したそうですが?

「6年間保有したファミリータイプ1棟RC物件を売却しました。購入時で築18年だったので、売却時では築24年となります。」

ー 売却によりその物件の損益が確定したわけだが、結果はどうでしたか。

 「実は購入時に融資条件で苦労して、頭金と諸費用を併せて数千万円で入れる羽目になりました。結果的にトータルのCCR(Cash On Cash Return)は約300%でした。他の投資家の皆さんと比べて、決して良い数字とは言えませんが、投下資金の3倍のキャッシュフローが得られたということで、良しとしようと思っています。」

ー 物件の『出口』については購入前から意識していたそうですが、その理由は?

 「収益物件というのは、築年数が経過していくと、老朽化による修繕費の増加、家賃の下落、建物附属設備の減価償却の終了に伴う税負担の増加、元利均等返済であれば経費化できる支払利息が減少する等々の理由により、収益力が低下していきます。

また、積算価格も年々低下するため、売却可能価格も低下します。つまり損益分岐点を下回る前に、より収益力のある物件に買い替える必要があると考えていました。」

ー つまり、今回の売却も損益分岐点が近づいたからだということですか。

「ザクッと言えばそれが理由です。ただし、先ほど言った『損益分岐点を下回る前に、より収益力のある物件に買い替える必要がある』の『損益分岐点』には2つの意味があると考えてください。

1つ目は、キャッシュフローがマイナスになるという意味での損益分岐点、そしてもう1つは、物件の購入から売却までの期間全体で利益が最大化する時点という意味での損益分岐点です。購入時にはこの2つの損益分岐点をシュミレーションしていました」。

 「キャッシュフローがマイナスになれば当然物件を保有している意味がなくなりますから、売却を考えることになります。また、売却時にいくらで売れるかによっては、莫大なキャピタルロスが発生し、保有期間全体での損益を押し下げてしまいます。この2つの損益分岐点を考えるのが出口戦略の基本となります」。

ー 損益分岐点を考えるのに、具体的にはどのような項目を検討したのか。

 「出口戦略を考える上で、私は次のような項目を検討しました。

・家賃の下落
現下の人口動態、経済情勢、賃貸需給状況を考えると、残念ながら家賃は下落していくと考えざるを得ません。リフォーム等で物件のバリューアップを図れば家賃を引き上げることができるとの考えももちろんありますが、リフォームにお金をかければ当然キャッシュフローにはマイナスとなります。出口戦略を考える上では、家賃は一定の割合で下落していくと考えます。

・減価償却費の減少
減価償却費は建物の耐用年数が過ぎればゼロになります。また、建物附属設備は、最長でも15年で減価償却が終了します。減価償却の終了までに出口を迎えないと、最悪の場合黒字倒産という可能性もあります。

・支払利息の減少
元利均等返済であれば、返済金額は変わらなくても支払利息は年々減少していきます。返済予定表で経費計上できる支払利息を確認します。

・修繕費の増加
物件が古くなれば修繕費も増加していきます。私は、購入時の経費率20%で計算していますが、この比率を上げてシュミレーションする必要があります。また、大規模修繕も別途考慮する必要があります

・積算価格の下落
築年数が進むほど物件の積算価格は低下します。我々が物件購入時に積算価格を検討したように、売却時には次の購入者が積算価格を検討します。つまり積算以上の価格では基本的には売却できないと思った方が良いということです。

・簿価の下落
簿価とは物件の帳簿上の価格です。購入価格が当初の簿価になります。その後は減価償却した分だけ簿価は減少していきます。そして売却価格と簿価の差が固定資産売却益(売却損)となります。つまり、購入価格よりかなり安い値段でしか売却できなくても帳簿上は利益が出たことになり、譲渡所得税がかかる場合があるということです。

・時価の下落(上昇)
実勢価格と同意です。これは地域差があるので一概には言えません。価格が下落している地域では、積算や収益還元価格をかなり下回ってしか売却できないことも考えられます。」

ー 1つ目の、キャッシュフローがマイナスになるという意味での損益分岐点は、どのようにシミュレーションしたのですか。

「キャッシュフローがマイナスになる時期の計算は、検討項目のうち
・家賃の下落
・減価償却費の減少
・支払利息の減少
・修繕費の増加
が関係してきます。この中で、「減価償却費の減少」と「支払利息の減少」はあらかじめ計算ができます。それ以外は私の場合「家賃の下落」率については年2%、「修繕費の増加」率については年1%でシュミレーションしました」

「計算してみればわかると思いますが、物件購入時に収益還元価格をきちんと計算さえしていれば、キャッシュフローがマイナスになることはないと思います。

ただし、注意しないといけないのは、建物附属設備の減価償却と大規模修繕です。減価償却費というのは手元から出ていかない経費であり、キャッシュフローを生み出す最大の武器ですが、これを失うとダメージも甚大です。

築15年程度の物件が良く売りに出ていますが、これは大規模修繕の時期を迎えていることと、減価償却費の減少によるものが売却理由だと考えて間違いありません。
実は、今回私が売却を決断したのも、大規模修繕の時期が近いと判断したのが大きな理由です」。

ー 2つ目の損益分岐点、物件の購入から売却までの期間全体で利益が最大化する時点とはどういうことですか

「物件の保有期間全体での損益計算(ここで言う損益は会計上の損益ではなく、あくまでキャッシュフロー)の考え方ですが、期間損益を計算するには2種類の作業をしなくてはいけません。

1つ目は保有期間中の各年にいくらのキャッシュフローが出るかということ、これを合計して保有期間全体での合計キャッシュフローがいくらになるかを計算します。

2つ目は、出口=売却ですから、当然売却時には売却益又は売却損が発生します。そして、これは帳簿上の売却益(損)のことです。

売却益(損)には、物件の簿価を基に計算した帳簿上の固定資産売却益(損)と、物件の売却時の時価と取得価格の差額から計算した売却益(損)があります。そして、特に譲渡所得税との関係で、帳簿上の売却益(損)が売却によるキャッシュフローに深くかかわってきます。

簿価とは物件の帳簿上の価格です。購入価格が当初の簿価になります。その後は減価償却した分だけ簿価は減少していきます。そして売却価格と簿価の差が固定資産売却益(売却損)となります。つまり、購入価格よりかなり安い値段でしか売却できなくても帳簿上は利益が出たことになり、譲渡所得税がかかる場合があるということです。
例えば、
取得価格  1億円
売却価格   8000万円
売却時簿価  7000万円

である場合、時価(実際の売却額)から計算すると1億円−8000万円で2000万円の赤字です。しかし帳簿上は8000万円−7000万円で1000万円の黒字となります。

5年以上保有の譲渡所得税の税率は20%ですので、所得税・住民税で200万円の税金が掛かってくるということです。つまり2000万円損をしているにもかかわらず、税金は払う必要があるということになります。」

ー 譲渡所得税の負担は確かに大きいですね

「ここからが重要なのですが、物件を売却するときに、果たして一体いくらで売却できるのでしょうか。

これは自分が物件を購入した時のことを考えればわかると思います。即ち売却時の収益還元価格、積算価格を計算し、その低い方の金額以上では売れないと考えるのが一番合理的です。

我々が物件購入時に「積算が足りない」「収益還元価格が足りない」ので「融資が付かない」と言って値切ったことと同じことを今度はされる立場となります。

それ故、物件購入時には積算・収益還元価格を重視しなければいけないということになります。」

ー それでも高値で売れれば、譲渡所得税は増えるものの、保有期間の全体のキャッシュフローも最大化できるでしょうか?

「もちろんそうです。保有期間全体のキャッシュフローの計算式は次の通りです(譲渡費用は省略)。

毎年のキャッシュフローの合計額 +(売却価格−残債)−初期投資額【頭金、諸費用など】−(売却価格−売却時簿価)× 20%【譲渡所得税】

この式をから言えることは、『毎年のキャッシュフローが出ているうちに、出来るだけ高値で売却』すればキャッシュフローを最大化できるということです。ちなみに、残債がゼロになるまで保有していれば良いようにも見えますが、長期保有は空室・家賃下落・大規模修繕負担により毎年のキャッシュフローがマイナスになるリスクが増大することから、やはり譲渡所得の税率が下がる5年を過ぎれば売却を考えるべきだと思います。」

ー シミュレーション通りの計画的な売却でしたか?

「物件購入時には、あらかじめ売却年度ごと(何年後に売却するか)の期間損益まで計算していたのですが、先ほど言ったように大規模修繕の時期が近いと判断したのが売却の大きな理由です。

シミュレーションが甘かったと言えばそれまでですが、築20年を超えて大規模修繕の見積もりを取ったところ、キャッシュフロー数年分の金額で上がってきました。購入時に躯体の状況、大規模修繕履歴はもちろんチェックしていたのですが、ここは素人の辛いところです。」

ー 空室率、家賃の下落率はどうでしたか?

「優秀な管理会社にお願いしていたおかげで、保有期間中の入居率はほぼ100%でした。家賃は近隣相場の下落に合わせ、4年目に3,000円下げましたが。」

ー 優良物件だったのでは?よく売却を決断できましたね

「売却を決めた理由はもう一つあって、取得後5年経過したのを機に売却価格の見積もりを取ったところ、購入時の表面利回り12%が8%で売れるとの結果が上がってきました。結局、将来の市況の見通し、数年ごとに訪れるであろう大規模修繕負担を考え、今が期間損益を最大化できる時期だと判断しました。」

ー 多額の譲渡所得税がかかるのでは?

 「1000万円以上かかります。ただしこれは余談ですが、多額の含み損を抱えていた区分所有物件があったので、これを慌てて売却しました。同一年に売却すれば損益通算で譲渡益を圧縮できます。約400万円の税金を圧縮できる計算です。」

ー やはり、出口を意識しておくのは重要なことでしょうか?

「これまでの話から、出口を考えれば資産価値の高い物件を買えばよいということになります。では資産価値の高い物件、即ち時価の下がらない物件とはどのようなものでしょうか。これはいわゆる人気エリアの物件、都心部の物件ということになります。

このような地域の物件は、投資家の需要が強いため、積算・収益還元価格が足りていなくても買い手が付いてしまうからです。こう考えると、人気エリア、都心部の物件の利回りが低い理由がわかると思います。それから、土地面積の広い物件も資産価値の高い物件と言えます(土地は減価しないため)。」

ー 出口戦略は不要だとの考え方もありますが?

「出口戦略が不要と考える投資家は、出口戦略自体を考えていない訳ではなく、出口を迎えた場合と、保有し続けた場合を比較検討して、その物件は出口不要と判断しているだけだと思います。築古となって収益力は落ちても、借入金の返済も終わっているでしょうからキャッシュフローは出ます。」

「要は、築浅の物件に入れ替えた方が、投資効率は上がるとは思いますが、それだけではないということです。特に大規模修繕に耐えうるだけのキャッシュフローがあるメガ大家さんなどは、長期保有も当然アリだと思います。」

 出口戦略といってもそれぞれの投資家にいろいろな考え方がある。A氏の物件ならずっと保有し続ける選択肢も当然あっただろう。

ただし、最後は投資家自身の決断となる。その決断をできる準備は常にしておくべきであるということは言えるだろう。

健美家編集部

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