まちの衰退が語られるようになった昨今、まちの活気、将来性を見極めることは投資家にとって重要なポイントになる。
いろいろな観点があるが、現地に行ってぜひ、確認していただきたいのは店の作りだ。

非常に簡単に、一言で言えば賑わいはオープンな雰囲気から生まれる。逆にいえば閉鎖的で、中が見えない店ばかりが並ぶまちは衰退する。
実際、赤羽や北千住、清澄白河など最近話題に上がるまちでは店はオープンである。ガラス張りになっていたり、時には道路上に席がはみ出して(!)いたりするほどで、それが賑わいを視覚で、聴覚で実感させ、そこに交じってみようという気を起こさせる。
どんなに賑わっている店でも、それが外から分からなければ、人は賑わいを実感しない。
再生が話題になっている熱海も元々は閉鎖的な雰囲気のまちだった。今も残る古くからの飲食店街に行ってみると分かるが、たいていは内部の様子が外からは伺えない店である。
ところが、最近、人通りが増えたと言われる銀座通り商店街はオープンである。再生のきっかけになった店舗、ゲストハウスは道路に繋がるように見えるほど。賑わいを目に見える形にしたことで周囲の人が変化を認識、それがさらに客を呼ぶことになったのである。

これは首都圏以外でも同様だ。以前、鹿児島県鹿屋市を訪れた際、あるレストランを見せていただいた。
ガラス張りで周辺からも目立つ建物だった。建築家によると、当初はガラス張りで店内が丸見えの店では人は来ないと言われたという。ところが周囲の声に相違して、オープン後は人気店に。
今後、もし、飲食店ビルを計画する、あるいは建物を飲食店に貸すなどの場合には作りを意識したいところ。もちろん、土地勘のないまちに投資を考えているのであれば、夕方以降でまちを歩き、飲食店街の雰囲気を見ておきたい。外に賑わいが溢れだしているまち、そんなまちに将来性がある。
健美家編集部(協力:中川寛子)