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小児IC運賃50円だけじゃない、鉄道会社の取組が沿線価値、不動産価値を左右する

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2021/12/13 配信

2021年11月に小田急電鉄株式会社が打ち出した小児IC運賃の一律低廉定額化は大きな話題になった。1乗車につき50円とし、さらに今後も通学定期乗車券、フリーパスなどの企画券についても、一部を除いて小児運賃・料金の改定を予定しているという。

コロナ禍で苦戦続く鉄道会社

鉄道各社はコロナ禍で苦戦を強いられている。2021年8月に日本経済新聞が鉄道大手16社の2021年4〜6月期の連結決算を伝えているが、前年同期は全社が最終赤字。その後も新型コロナウイルス禍は引き続き重荷となっており、不動産事業などが回復に寄与した東急など9社は最終損益が黒字に浮上しているものの、それ以外の7社は赤字が続く。

また、全体として黒字になってはいても運輸系事業だけでみると減価償却費が減った東急と電気料金の見直しで動力費などを圧縮した東武鉄道を除く14社は赤字になっている。今後、コロナ禍から経済が回復するとしても、リモートワークを続ける企業などが出ていることや進む高齢化を考えると、今後も難しい状況が続く。小田急の小児運賃低廉定額化はそれを見越した模索のひとつというわけである。

鉄道会社の取組が沿線価値を左右する

それは同時に沿線価値を左右する問題でもあり、単に鉄道会社の収支という問題に留まらない。長く選ばれる沿線、価値を維持する街に投資したいと考えるのであれば、鉄道会社の取組も参考にすべきだと思うのだ。

今回は小田急の取組が話題になったが、同社では以前から様々な子ども向けの施策に取り組んでおり、地道に実績を積み上げてきてもいる。子育て世帯にアピールするなら小田急線沿線であることは売りになるというわけだ。

では、それ以外でどのような取り組みがあるか。子育て関連でいえば駅型保育園がある。これは保育園不足を意識、駅の近く、場合によっては高架下などを利用して保育園を作るというもので、2010年に初めて駅型保育園について記事を書いた時には沿線による差が非常に大きかった。

JR東日本では早い時期から沿線に子育て支援施設を作り続けてきている
JR東日本では早い時期から沿線に子育て支援施設を作り続けてきている

その当時、一番充実していたのはJR東日本で、2009年9月時点で保育園や送迎保育ステーションなどの子育て支援施設は合計で27ヵ所となっていた。その後、順調に数を増やし、2021年11月にホームページを確認したところ、なんと150か所にもなっている。

逆に同時期に全く子育て支援施設の無かった西武鉄道も現在では15カ所の施設を展開している。ただ、当初からの取組の違いは今もあり、数で考えるとかなりの差が出ている。

子育てに限らず、高齢者、障がい者などユーザーの多様化を考えればバリアフリー化、エレベーターの設置などにも差がある。最寄り駅の状況はチェックしたいところだ。

働く場作りにも沿線差

最近でいえば構内、駅近くに増えつつあるワークスペースでも鉄道会社ごとに取り組みはさまざま。やはり、最も進んでいるのはJR東日本でエキナカを中心にSTATION BOOTH/DESKを設置、移動ロスが少ないことを売りにしている。加えて駅の近くにある同系列のホテルをシェアオフィスとして貸し出すこともしており、他社との提携も進んでいる。

東京メトロ車中のワーキングスペースの広告。65歳以上向けの定額サービスも期間限定で行っている
東京メトロ車中のワーキングスペースの広告。65歳以上向けの定額24時間チケットも期間限定で発売。高齢者向きでは東急も同じ試みをしていた

東京メトロも個室型のシェアオフィスCocoDeskを展開。また、キッズルームを併設したroom EXPLACEというコワーキングスペースも展開している。他の鉄道会社でも東急がNew Work、東武鉄道がSolaie+Workなどとそれぞれに異なる名称で働く場を整備しており、この流れはしばらく続きそう。法人が登録して使うタイプ、個人でも使えるタイプがあるが、フレキシブルに使えるのは誰でも利用可という物件だろう。

働く場については鉄道会社の取組を押さえておくだけでなく、物件の最寄駅あるいは物件周辺にあるかどうかも今後は有用な情報。周辺環境の案内にスーパーや病院などに加えて入れておくと喜ばれるのではないかと思う。気軽に仕事場として使える施設があれば、我が家にその空間が無くても良しという判断があり得るからだ。

防犯カメラ設置は100%から4%まで

混雑度ももちろん、指標のひとつだが、それ以上に面白いと思ったのが鉄道内での刺傷事件などを受けて東京新聞が首都圏の鉄道12社にアンケートした防犯カメラの設置状況だ。

これについては冒頭で書いた駅型保育園の比ではないほど差があり、100%設置しているというのはJR東日本、JR東海(東海道新幹線のみが対象)、東急電鉄の3社のみ。東急電鉄は東京五輪、パラリンピックに向けて蛍光灯と一体型の、通信機能を備えたカメラを設置しており、車外の指令所で即時に映像を確認できるようにもなっているとか。

防犯カメラの設置があまり進んでいない京急線。運行の正確さでは知られているが
防犯カメラの設置があまり進んでいない京急線。運行の正確さでは知られている

それ以外の鉄道会社では東京メトロが約40%、京成電鉄が34%、相模鉄道が33%、小田急電鉄が21%、京王電鉄が17%、つくばエクスプレスと西武鉄道が12%、東武鉄道が10%、京急電鉄が4%。

事件が相次いだことを受け、今後、設置が進むだが、同様にホームドア設置などでも沿線で差があり、そのあたりも取組の進展を注視したいところ。

鉄道利用に付加価値を付けるという手も

それ以外で今後にあり得るだろうと思う取り組みは鉄道の利用におまけを付けるやり方だ。

実証実験は2021年10月31日で終わってしまったが、東急はPASMO定期券利用者限定で環境配慮型サブスクリプションサービス「TuyTuy」を行っており、これは沿線で利用できるシェアサービスその他を安価に定期券利用者に提供するというもの。

傘や自転車から生鮮ネットスーパー、テレワークスペースと様々なサービスがあり、沿線に住んでいる人にとってはどれも知っていて、使ってみて損はないもの。使う人にも、サービス提供者にも、もちろん鉄道会社にもメリットがあると考えると、実証実験の先を期待したい。

鉄道会社の取組が沿線価値に直結すると考えれば、動向をしっておきたいのはもちろんだが、各社の試みのうちに自分の物件に居住する人に役立つ情報があれば、入居者、入居希望者にそれを伝え、喜んでもらえるようにしたいところである。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

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