山手線内有数の高級住宅地・城南五山とはーー
最高峰は上皇后美智子様のご生家もある池田山
東京の高級住宅地といえば、田園調布(大田区)や成城(世田谷区)が全国的にも圧倒的な知名度を誇る。が、いずれも、山手線の外側に位置し、開発の歴史も大正期に入ってからとそう古くない。
一方、知る人ぞ知る古くからの高級住宅地が、山手線の内側にある。その名も、「城南五山」。江戸城から見て南の方角にある港区、品川区、目黒区、大田区を「城南地区」と呼ぶが、この城南にある5つの高台の総称で、八ツ山(港区)を除く、島津山、池田山、花房山、御殿山の4つが位置するのが、品川区である。

島津山(品川区東五反田1丁目、3丁目)、池田山(品川区東五反田5丁目)はそれぞれ薩摩藩主島津家、備前岡山藩主池田家と、御殿山は徳川将軍家にゆかりを持ち、高級住宅地としての歴史は江戸時代にまで遡る。
現代においても、いずれも甲乙つけがたい最高級住宅地に違いないが、立ち並ぶ住宅の敷地面積や風格、道路幅などで他を圧倒するのが、上皇后美智子様のご生家があったことでも知られる池田山だろう。

池田山、花房山、長者丸を学区に収める第三日野小学校
高い実需で新築分譲マンションは完売続出
品川区で最も中学受験率と人気が高いのが、この池田山と花房山(品川区上大崎3丁目)を学区に収める「第三日野小学校」(品川区上大崎1丁目)だ。
「さんひの」と呼ばれるこの学区には、白金という地名の由来にもなった江戸時代の大豪族が屋敷を構えた「白金長者丸」(品川区上大崎2丁目)もあり、平均世帯年収も群を抜いている。会社経営者や医師、弁護士などの士業、政治家や文化人に加え、学区内に多数ある各国大使館関係者の子弟が多く在籍すると言われている。

品川区は全国で初めて公立小学校の学区選択制度を導入したことで有名だが、2022年度に創立100周年を迎える同小の中学受験実績と人気は高まる一方で、学区外からの入学は抽選を経る狭き門となっている。
確実に入学するためには、学区内に住所を構える必要があるが、五反田、高輪台、目黒、白金台各駅のいずれからも徒歩圏内に位置する同校の学区は、東五反田4、5丁目と上大崎1−3丁目という知る人ぞ知るアドレスの良さで、物件価格も相当なもの。
土地の出物も、一般人にはまず手の届かない5億、3億といった価格帯が多い。そのため、このエリアである程度の規模の分譲マンションが販売されると、同小に子どもを通わせたいという実需で、またたく間に完売するという現象が続いている。
同小のすぐ近くで昨年発売された「ディアナコート池田山公園」は、最寄りの白金台、高輪台駅から徒歩8分表記、買い物も不便なエリアであるものの、さんひの実需でファミリー向けの3LDKから飛ぶように売れ、完売した。
当欄でも紹介された「ブリリアタワーズ目黒」や「クレヴィアタワー池田山」などが同小学区内の代表的な大規模マンションだが、新築販売時には抽選住戸もあったほど。中古でも、ファミリータイプは売却、賃貸とも、市場に出ればすぐに成約してしまうほどの人気を維持している。
名実ともに品川区最強公立小と言っても良いだろう第三日野小学区だが、隣接する港区白金台(白金小学区)などに比べると多少のマイナー感は否めないのも事実。その分、集合住宅に関しては港区よりお手頃感があるので、このエリアに絞って収益物件を探してみることをおすすめしたい。
健美家編集部(協力:大崎良子(おおさきりょうこ))
■ 主な経歴
全国紙、大手デベロッパー勤務を経て、不動産ライターに転身。
三代続く不動産投資好き。地方都市の一棟アパートや山林投資を主戦場にしてきた親世代と異なり、都心の区分マンションを中心に投資を続けている。
アメリカを中心に海外不動産にも造詣が深い。