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【詐欺事例】「すぐに買わないと!」に要注意。焦りは禁物、手付金が返ってこない場合も!

収益物件購入・売却/トラブル ニュース

2023/04/24 配信

不動産売買仲介業者(不動産ブローカー)経由で収益物件を購入する際、実際に物件を見に行くことや信頼できる不動産ブローカーを利用することは当然だ。良い物件を紹介されたら、不動産ブローカーが「あまり信頼できないかもしれない」と思っても、「誰かに買われてしまう前に契約したい」と焦ってしまう気持ちが先行するだろう。

だが、そんな時は売主にも会っておいた方がいいかも知れない。手付金詐欺に遭う可能性があるからだ。

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不動産をエサに詐欺を働くブローカーは残念ながら必ず存在する

手付金を支払った後に来るはずの金融機関からの連絡が無く・・・

地方を中心に6棟105戸を所有する畠中信道オーナーは、不動産ブローカーの悪意により実際に売りに出されていない物件の取引で手付金を支払ってしまった経験がある。だが、自身の交渉術で辛うじて取り戻すことができた。

2015年のことだ。地方に良い収益物件があれば買い進めていきたいと考える畠中オーナーは、とある不動産仲介会社に対しメールマガジンの会員登録をしていた。

売り物件情報を週に1回程度、定期的に受け取るためだ。その中で気になる物件を見つけると、担当者を名乗るTに対し、立面図や登記簿謄本、レントロール、外観・内装写真をさらに送ってもらっていた。詳細を送ってもらうやりとりは3回程度行い、4回目にしてやっと購入したいと思える物件を見つける事ができた。

建物は名古屋市に立つ当時築17年、RC造3階建て全8戸で、物件価格は4000万円。利回りは13.4%だった。購入したい旨をTに伝えると、Tは「融資のアレンジをしましょう。物件を抑えたいので、手付金300万円を振り込んでください」と返信してきた。畠中オーナーは契約書の送付と合わせ、Tの所属する不動産会社に300万円を振り込んだ。

金融機関を紹介する連絡を心待ちにしていた畠中オーナーだったが、待てどもなかなか連絡はやってこない。そんな中、転機は訪れた。

東京の不動産会社に所属するAに同件について話したところ、Aの顔色が変わった。

「その不動産会社って、◯◯不動産のことじゃありませんか」。

伝えていないはずの不動産会社の名前を当てられ畠中オーナーが驚きの表情を浮かべると、Aは続けた。

「東海地方で有名な詐欺師がいます。私どもの顧客とももめていて、いまだに解決していません」。

Aの言葉を聞いて青ざめた畠中オーナーだったが、すぐに冷静さを取り戻した。まずは本当に騙されているのか証拠をつかむために、Aと会ったその日すぐに新幹線に乗り込み、登記簿謄本に記載のある愛知県の住所に向かった。

アポイントなしの訪問だったのと、登記簿の住所に住んでいるとも限らないことから不安もあったが、幸いなことに謄本の住所に持ち主は住んでおり、訪ねた際も在宅しているタイミングだった。

物件の持ち主はどうやら、自身が所有する物件を売る気がないのにもかかわらず、勝手に売り物件として紹介されるトラブルに何度も苦しめられていたようだった。

売る気のない物件を買いたいと申し出る人物の突然の訪問に怒り我を忘れ、「お前もグルだろう」と畠中オーナーに罵声を浴びせた。

所有者の激昂ぶりを見た畠中オーナーは該当物件を売却する気が毛頭ないのだと悟り、一旦東京へとんぼ返りした。

手付金を確実に取り戻すために選んだ呼び出し文句

持ち主が売る気がない物件を勝手に売りに出している。完全に詐欺だと確信した畠中オーナーは、その事実をTにやみくもに事実を突きつけてもただ逃げられて終わると考えた。

手付金を確実に返してもらうため、とにかく対面の場に呼び出すことを考えた。そこで送ったのが、「今欲しい物件がありますので、仲介してくれませんか」というメールだった。

不動産売買の仲介手数料は高額だ。これ幸いとばかりにTは呼び出した品川までやってきた。

期待に胸を膨らませたTを前に、畠中オーナーは取引中の物件のチラシを取り出し、早速こう切り出した。「これ、売りに出されているものではないですよね」。

しらを切るTに対し、所有者に実際に会い売る気がないとはっきりと告げられたことを伝え、「契約不履行になるのであれば手付金を返金しなければならないだろう」と詰め寄った。

言い逃れができないと判断したTは畠中オーナーが突きつけた言い分を認め、ついに「返金に応じる」と観念した。

だが、そこで解散すれば逃げられてしまう可能性もある。まずはTが持つ口座から全額の50万円を引き出させ回収した。足りない250万円を何としても返してもらうために、Tが所属する不動産会社の社長を同日に東京まで呼び出した。

申し訳なさそうに出向いた社長とTの両者の免許証を見せてもらい、本名に偽りがないかを確認。いつまでに残りの250万円を返還するのかプランを立ててもらい、解散できたのは夜中のことだった。支払わずに雲隠れされる心配もあったが、残りの手付金は1カ月後に無事に振り込まれた。

「他にも被害者がいるとのことでしたが、被害者団体をつくって声を上げても相手が倒産してしまえば返金をしてもらう目的は果たせません。ただ、けがをするリスクも考えられるため、今回の一連の流れを1人で行ったことは反省しています。なお、今回の不動産会社の裏で暗躍していた40代の首謀者がおり、半年後には詐欺罪で全員無事に逮捕されたそうです」(畠中オーナー)

今回は手付金を取り戻せた事例だが、支払った直後に雲隠れされたら手の打ちようがない。時間をかけてでもブローカーについて調べ、「誰かに先に買われても、それは幸運だったのだ」と切り替えられるマインドを持つようにできればいいのかもしれない。

取材・文:土田絵理(つちだえり)

土田絵理

■ 主な経歴

取材記者、クリエイター、アーティストなど様々な肩書きを持つ。
アメリカ・ニューヨークでの広告営業経験をきっかけにライター業を開始。投資家向け(IR)資料作成業務や不動産専門の新聞社でのデスク経験等を経てフリーの取材記者へ転身。不動産業界の取材数が多く、業界に太いパイプを持つ。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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