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【詐欺事例】 “建築できない土地”である事実を隠され、危うく購入しかけてしまった!

収益物件購入・売却/トラブル ニュース

2023/05/06 配信

土地の売買の場合、売り主側が少しでも高く売却するために、自身に不利な条件を隠して販売を行おうとするケースがある。

ターゲットにされやすいのは、豊富な現金を持っている不動産投資家だ。金融機関を通さずに不動産の売買ができ、第三者の目がなく物件情報をごまかすことができる可能性があるためだ。

福井大家塾の代表であり、福井県を中心に196戸を所有する杉田佳信オーナーは、富山県の建築不可能な土地を不当に購入させられそうになった経験を持つ。

人気エリアの土地が安く売られすぎている場合は疑いの目を向けなければならない
人気エリアの土地が安く売られすぎている場合は疑いの目を向けなければならない

資金力があることで販売相手として白羽の矢が立てられた

北陸新幹線が長野と金沢間で開通した2015年に、石川県のある不動産会社Aが杉田オーナーに富山県の不動産会社Bを紹介した。Bは土地をキャッシュで購入できるオーナーを探しており、杉田オーナーが資金力を持つことを知っていたAが紹介するに至ったという流れだった。

紹介された土地は1000㎡ほどの長方形で、道路を挟んで反対側には大型スーパーが立つという賃貸住宅を建てるには絶好の立地だった。「高く売れるにも関わらず、現金での購入を条件に坪5万円という当該エリアでの通常の4割程度という破格を提示してきた」と杉田オーナーは振り返る。

「いくらなんでもでき過ぎた話じゃないか」。そう思った杉田オーナーはBに公図を提示するよう求めた。公図なら地番や形状、道路、水路などのほか、隣接する土地との境界線も確認することができるからだ。

するとBは、「公図はありませんが、測量図ならあります」と答えた。測量図を見せてもらうと、何ら問題が無さそうに見えた。

だが、あまりの提示価格の安さにやはり怪しいと思い、杉田オーナーは法務局で公図を確認した。すると、なんと道路と販売予定の土地を隔てる幅1m弱の土地が存在していることが判明した。つまり、接道していないという重大なデメリットを持っている土地だった。

接道していない土地に建物は建てられない

接道をしていないということは、一体どうなるのか。

建築基準法には、「接道義務」というものがある。ざっくり説明すると「建物の敷地が”建築基準法上の道路”に2m(場合によっては3m)以上接しなければならない義務」である。

つまり、接道していない土地というのは、その場所で建築することができないということだ。不動産会社Bが「公図がない」と答えたのは接道義務を果たしていない土地であることを隠すためだったのだろう。

さらに、資金力のある販売相手を探したのは、融資で購入する場合は金融機関が接道している土地なのかを調べる可能性が高いからだと考えられる。

建築基準法上の道路との接道を阻んでいる土地を所有者から購入し道を作らなければならなくなるが、交渉しても売ってもらえるとは限らない。普通なら、接道を阻んでいる土地の持ち主は他者だと考えるだろう。だが、持ち主はなんと売主と同一人物だった。

今回のケースのイメージ(上から見た図)
今回のケースのイメージ(上から見た図)

売主の目的はそもそも土地の売却ではなかった可能性も

杉田オーナーは、「売主は、売却理由を息子の家を建てるためと言っていたが、安く土地を手放す気はなかったため、建築不可能な土地を買主に騙して購入させ、土地活用できなかった買主が根を上げて売りに出すまで待つか、接道面を高額で売ろうという魂胆だったと思います」と話す。

不動産取引は一回のミスで破綻に追い込まれる危険があるため、 杉田オーナーは悪意のある取引相手とは一切関わらないことを心に決めている。

その後キャッシュで購入するつもりの土地でも、付き合いのある銀行に相談するようにしているという。不動産会社Bを紹介してしまった不動産会社Aは杉田オーナーに平身低頭で謝罪した。

通常より大幅に安く売られている不動産には必ず理由がある。用意できない資料があると言われた場合は、重大な情報を隠ぺいしようとしている可能性を考えたほうがリスク回避につながるだろう。

取材・文:土田絵理(つちだえり)

土田絵理

■ 主な経歴

取材記者、クリエイター、アーティストなど様々な肩書きを持つ。
アメリカ・ニューヨークでの広告営業経験をきっかけにライター業を開始。投資家向け(IR)資料作成業務や不動産専門の新聞社でのデスク経験等を経てフリーの取材記者へ転身。不動産業界の取材数が多く、業界に太いパイプを持つ。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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