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家賃滞納額300万円を家主が全額負担!「審査」と「督促」、甘さのツケはデカかった。

賃貸経営/トラブル ニュース

賃貸借契約において、家賃を払わない賃借人は不届き者としか言いようがない。しかも督促しても連絡をしても、居留守や嘘で塗り固められれば、怒りは倍増していくだろう。

家主が明け渡し手続きの依頼に来たときには、滞納額はすでに300万円超え。約2年間、家賃を払わずに滞納者は生活していたことになる。

なぜ滞納額がここまで増えてしまうまで、家主は法的手続きに着手できなかったのか。

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■以前、督促した賃借人が自殺。それが家主のトラウマとなった

家主にとって、トラウマがあった。以前滞納を繰り返す賃借人に、督促に行っても会えず、仕方なくドアに「連絡ください」と手紙を挟んだ。なぜ滞納なのか、もっと安い部屋に引っ越しした方がいいのではないかと、ただ話し合いたかっただけだった。だから恨み辛みは一切書かずに、ただ「連絡ください」それだけ。しかしその数日後、賃借人は電車に飛び込んだ。

消費者金融等からの借金が相当あったと、後から知った。家主からの手紙が直接死を決意させたのではなく、追い詰められていた賃借人がとってしまった最期の手段。しかしながら家主が思ったことは「こうも簡単に人は死を選んでしまうのだ」ということ。ただ話がしたかっただけなのに、もし手紙を挟まなければ賃借人は自殺しなかったのか。

遅かれ早かれ、賃借人の生活は追い詰められ同じ結果を選択したのであろう。それでも家主は、自分が何らかのきっかけを作ってしまったのかもと自分の行為を悔やんだ。

■賃借人が家賃保証会社の更新を怠ったために、保証人が不在に

だから今回のケースも強い督促ができず、会えなくてもドアに何も挟まずにいた。その結果、滞納額は300万円を超えてしまっていた。

そんな家主の気持ちを店子である賃借人は汲み取る事もせず、督促されないことを良いことに、家賃分は生活費に充てていた。

そもそもこの賃借人、30代前半の女性で入居申込書を見ると派遣社員になっている。非正規雇用者にとって、13万円の家賃は高過ぎるのではないか。一人で住むということだが、古いながらも一戸建て。身の丈にあっていない物件を選択したのは、2匹の猫のためということであった。「家賃保証会社がついたのでいいかなと」家主は判断したという。

明け渡しの手続きをする者の意見とすれば、空室を埋めたい気持ちは分かるが、トラブルの大半は入り口の審査が甘すぎるのだ。身の丈以上の物件は、必ず近い将来にトラブルを引き起こす。

結局この案件は更新時に家賃保証会社の手続きを賃借人がしなかったため、保証は切れてしまい、連帯保証人もいない、家賃保証もなくなり、ただ滞納だけが繰り返されるという最悪の状態になってしまった。

■「甘い審査」と「甘い顔」は命取り。滞納額は何百万円にも膨れ上がる

手続きを受託して内容証明郵便を送ると、しばらくして賃借人から電話があった。一人で住んでいると思いきや、彼女は1年前に結婚して、さらに10日前に出産までしたという。

結婚したのなら経済的に余裕ができたはずだが、彼女いわくは「暴力を受けていて、生活費ももらっていないし、一緒にも暮らしていない」。出産費用も、保健所が病院に立て替えて払ってくれたのだと言う。出産したところなので引っ越しはできない、お金がないから引っ越しもできない、そう繰り返す。

にわかに信じがたい話だが、確かに戸籍上では婚姻し、また住民票は別世帯になっていて、結婚相手はこの物件には住んでいない。戸籍にはまだ子どもの記載はなかった。
DVを受けているなら母子のシェルターに一時避難してはと言うと、猫が2匹いるのでそれもできないと言う。

「家主に迷惑をかけているというのに、猫との生活の方が大切なのか!」

一言も「家賃払ってなくてごめんなさい」を口にしない彼女に対して、思わず言いそうになった。

しかしここで感情的になってしまうと、賃借人とのコミュニケーションが取れなくなってしまう。グッと呑み込んで、任意に明け渡してもらう交渉を続けた。

■やばいと感じたら、すぐプロに任せる方が良い

最終的に賃借人は生活保護を受給することになり、執行手続きより前に転居費用一式を税金で賄ってもらって退去することになった。そして最後まで「ごめんなさい」の言葉を発する事もなかった。

賃料滞納の明け渡し案件の場合、退去してもらうことはできても、滞納分の回収はなかなか厳しい。その上に生活保護受給となると、完全に回収は不可能となる(借金返せるくらいならその額の支給が減らされるため)。

督促は難しい。時に滞納者を追い詰めることになってしまう。それでも滞納は許してはいけない。だからこそ審査の段階で、身の丈にあった物件かどうか精査して欲しい。そして残念にも滞納になってしまったら、早い段階でプロに相談する。このプロセスが大切だと力説したい。

太田垣章子(おおたがき あやこ)

【プロフィール】
司法書士・章(あや)司法書士事務所代表
平成14年から主に家主側の訴訟代理人として、悪質賃借人の追い出しを延2000件以上解決してきた賃貸トラブルのエキスパート。徹底した現場主義で、早期解決のためにトラブルある物件には必ず足を運んできた。現場で鍛えられた着眼点から、賃貸トラブルの解決を導く救世主でもある。著書に「家賃滞納という貧困」(ポプラ社)「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)がある。

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