1 はじめに
近頃、「更新料を支払わずとも、賃料を毎月支払っていれば追い出されることはない」、というような記事が散見されるが、それが事実であるとすると、賃貸人である大家さんにとってあまりにも酷な話である。
しかし、民法が改正され賃借人の保護が厚くなったとはいえ、更新料の支払義務を免れるように意図的に不払いを続ける悪質な賃借人に対抗できないということはない。賃貸人も、自らの権利を守るために泣き寝入りすることはない。更新料の不払を理由に契約を解除し、出て行ってもらうことができることもある。
前提として、「賃借人がうっかり更新料を1回支払うのを忘れてしまった」というような場合は賃貸借契約を解除することができないことは確認しておこう。そのような場合は、賃貸人は書面で支払うように通知すればよい。
2 信頼関係の破壊
まず、賃貸人が賃借人に対し、一方的に契約の解除を申し入れてそれが認められるには、「信頼関係」の「破壊」が必要になる。賃貸借契約は、賃貸人と賃借人との間の継続的な信頼関係から成り立つものであるからである。
しかしこの「信頼関係」は比較的強固なもので、そう簡単には「破壊」されず、「破壊」には、当事者
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