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更新料の不払いを繰り返す賃借人!争いを避けるのに最も重要なのはやっぱり「賃貸契約書」

賃貸経営/トラブル ニュース

1 はじめに
近頃、「更新料を支払わずとも、賃料を毎月支払っていれば追い出されることはない」、というような記事が散見されるが、それが事実であるとすると、賃貸人である大家さんにとってあまりにも酷な話である。

しかし、民法が改正され賃借人の保護が厚くなったとはいえ、更新料の支払義務を免れるように意図的に不払いを続ける悪質な賃借人に対抗できないということはない。賃貸人も、自らの権利を守るために泣き寝入りすることはない。更新料の不払を理由に契約を解除し、出て行ってもらうことができることもある。

前提として、「賃借人がうっかり更新料を1回支払うのを忘れてしまった」というような場合は賃貸借契約を解除することができないことは確認しておこう。そのような場合は、賃貸人は書面で支払うように通知すればよい。

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2 信頼関係の破壊
まず、賃貸人が賃借人に対し、一方的に契約の解除を申し入れてそれが認められるには、「信頼関係」の「破壊」が必要になる。賃貸借契約は、賃貸人と賃借人との間の継続的な信頼関係から成り立つものであるからである。

しかしこの「信頼関係」は比較的強固なもので、そう簡単には「破壊」されず、「破壊」には、当事者間の「信頼関係」を維持する基盤を失わせる著しい背信行為が必要になる。

最高裁は、「更新料の不払は,不払の態様,経緯その他の事情からみて,」賃貸人・賃借人「間の信頼関係を著しく破壊すると認められる場合には,更新後の本件賃貸借契約の解除原因となり得る」とするのである(最高裁昭和58年(オ)第1289号同59年4月20日第二小法廷判決〔民集38巻6号610頁〕参照)。

(1)信頼関係が破壊されたと認められたケース
@東京地裁平成29年11月15日(平成29年(ワ)6667)では、更新料の不払が3回ないし4回分に上ること、賃借人は、再三にわたり更新料の支払を求められながら、これに一切応じなかったことから、更新料の不払につき、賃貸借契約の解除を認めた。

A東京地裁平成29年9月28日(平成29年(ワ)19414)では、賃借人が更新料を支払うことを合意したからこそ本件賃貸借契約を2回にわたり更新したのであり、賃借人はそのような合意をして更新を得たのであるから、「本件更新料の支払は、更新後の本件賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、本件賃貸借契約の当事者の信頼関係を維持する基盤をなしている」とされ、本件不払により信頼関係を著しく破壊することを理由に賃貸借契約の解除が認められた。

(2)信頼関係が破壊されたとは認められないとしたケース
これに対し、東京地裁平成30年8月8日(平成29(ワ)23433)では、賃貸借契約がそもそも更新手続き義務の内容を客観的に確定しておらず、更新料の支払義務と更新手続きの関係が不明確となっていた事案について、賃借人が更新料を支払わなかったことによって信頼関係が破壊されたとは認められなかった。これは、契約書の規定の仕方があいまいだったことが原因である。

3 争いを避けるためには
以前の記事にも記載したが、更新料をめぐる争いを防ぐために最も重要なことは、賃貸借契約書である。更新料の定めが法的効力を認められるためには、更新料の定めが契約書に「一義的かつ具体的に」記載されている必要がある。これがあってはじめて賃借人に更新料の支払義務が発生する。

そして、上記支払義務を負う場合に、更新料の不払が「信頼関係」を「破壊」するほどの事情といえるかはまた別の話である。

例えば、土地の更新料でも、更新料を「その時点の時価を勘案した金額」と規定した場合につき、「更新料の額についての協議がまとまらなかったためであり、殊更に更新料の支払を拒絶したものとはいえないから、被告の上記更新料の不払が、賃貸借契約の当事者間の信頼関係を維持する基盤を失わせる程の著しい背信行為に当たるとは認められない」とされた事例がある。

契約書に定める更新料は、疑義がないよう、具体的に算定できる金額を記載するべきである。
特に気を付けたいのは、法定更新となった際の更新料があいまいなままの契約書である。法定更新の場合にも、2年毎に更新料が発生することが契約書に明記されるなどの工夫が必要である。

契約書は細かい字で大量の情報を記載しており、読み返すのは少々骨が折れる。しかし、賃貸人として今一度契約内容・文言を確認し、賃借人と改めて解釈をすり合わせることは最優先事項であろう。

執筆:弁護士 鈴木 章浩

プロフィール
鈴木&パートナーズ法律事務所 代表弁護士) 。実家が借地上でアパート・マンション経営、幼い頃から借地借家問題に注力をしてきた経緯から、弁護士としても不動産問題を中心に扱っている。現在、不動産管理会社複数の顧問弁護士として、賃貸管理や不動産売買のトラブル予防と解決を主な業務としている。

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