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太田垣章子の「トラブル解決!」 悪質極まりない滞納者。部屋にはコウモリがぶら下がり、カラスも!

賃貸経営/トラブル ニュース

悪質極まりない滞納者がいた。法的な知識も多少持ち合わせているので、とにかく一日でも長く居座ろうという執念が凄いのだ。

50歳になったところだと言うのに、無職。家族はいない。過去にはタクシー運転手をしていたらしいが、物件に住みだした頃には生活保護を受給していた。家賃は役所からの代理受領だったので、家主は「安定して支払ってもらえる」と思い貸したと言う。

ところが入居して半年しか経ってない頃から、役所から支払われる家賃がストップした。役所に確認すると賃借人が「自分が生活保護を受給しているので、自分に支払って」と言われ手続きしたとのこと。

どうやら賃借人は生活保護を全額支給されながらも、家主に家賃を払ってきていない状況のようだった。役所としては滞納が続くようなら「悪質」とみなして生活保護の支給を止めることはするが、本人の意向に反して元の代理受領に切り替えることはできないというスタンスのようだった。

生活保護の支給が止められると、家賃の回収は絶望的になる。とにかく自分が督促しようと家主が賃借人のもとに行くと「そんなに言うなら事故物件にしてやろうか」と自殺をほのめかされ、恫喝された。

それに怯んだ家主をよそ目に、その後、家賃が支払われることはない。流石にこのままというわけにはいかず、家主は法的手続きをとることを決意した。

ところが契約解除の手続きをとる内容証明を送ったが書面は受け取られず、逆に滞納者から家主に手紙が届いたのだ。その内容は「調停を申し立てた」とのこと。

なんと賃借人は自ら「滞納している賃料の支払いに関して話し合いがしたい」ということで調停を申し立てたのだ。おそらく訴訟手続きを察知して、その引き伸ばしのための策だったのだろう。

調停の当日、賃借人は「体調が悪いので日程調整してくれ」と裁判所に連絡をし、1ヶ月の時間稼ぎに成功。訴訟には「調停の方で話し合いたい」と答弁書をだし、裁判官から「調停が決着つくまで訴訟は中断」という判断を勝ち取った。

これだけ頭が回るならどんな仕事でもできそうだが、相変わらず賃借人は無職のまま。もちろんこの間の賃料の支払いもなく、家主の憤りも、ますます増していった。

2回目の調停、やはり賃借人は来なかった。前日に股関節が痛くて歩けないという診断書を、裁判所にファックスしてきたのだ。しかも当分様子見なので、次回の調停の日はまだ決めないで欲しいとも書き添えられていた。

流石にこれではと訴訟の再開を嘆願したが「素人さんだから、調停で話し合いたいのでしょう?もうちょっと待ちましょう」とお預けを食らってしまった。

訴訟手続きの依頼をされてから、約6ヶ月。本来であれば判決をもらい、強制執行すら終わっている頃になっても、調停の日は決まらず、訴訟も動く気配はない。

調停は「本人から診断書まで出ているので」ということで、あくまでも本人マター。そうなるとこちらは訴訟の方で期日が入るように、裁判官にお願いを繰り返すしかない。調停が停止していることもあり、裁判官がやっと期日を入れてくれることになった。

何度訪問しても会えなかった賃借人。訴訟の場でまた大暴れするのではと懸念していたが、拍子抜けするくらい賃借人は訴訟にも来ず、そして書面も出してこなかった。

裁判官も「意外でしたね」と言いつつ、判決言い渡し。これでようやく強制執行の申し立てをすることができ、出口の光を見つけることができるようになった。ここまでで8ヶ月。本来の2.5倍の時間がかかっていた。

強制執行当日、室内にいるであろう賃借人は籠城していた。解錠を促したが反応がなかったので、鍵屋さんが開けてそして執行官が突撃侵入。

ところが次の瞬間、執行官が声を上げて飛び出してきた。催告の時にいなかった動物が室内にいると言うのだ。

コウモリがぶら下がり、水槽には長い白い蛇が。黒光りするカラスと鳩もいるとのこと。この1ヶ月で飼いだしたのか、誰かから借りてきたのか。

強制執行当日、部屋にはカラスや白蛇、コウモリまで。どこまで嫌がらせすれば気がすむのか。
強制執行当日、部屋にはカラスや白蛇、コウモリまで。どこまで嫌がらせすれば気がすむのか。

それにしてもカラスや鳩は野生なのに室内で飼えるものなのかと不思議だったのだが、カラスは美味しそうに青リンゴをつついていた。滞納しているのに、青リンゴだなんてなんと贅沢な……。

通常なら1時間ほどで終わるはずの執行作業。動物をどうするかに手間取り、完全撤去するまでに、なんと半日以上を費やすことになった。すったもんだの末、中の動物は賃借人の知人が車で運んで行ってくれた。

家主は念願だった部屋を、ようやく10ヶ月かけて取り返すことができた。荷物の量が半端なく、執行費用は30万以上かかり、滞納分の回収もできない。室内のリフォームも気が遠くなるほどの金額になるだろう。

「生活保護受給だから安泰だ」ではなかった。なぜ若いのに生活保護なのか、自身の基準で審査をしないと数年分の利益が吹っ飛ぶことになる。良い入居者を確保すること、賃貸経営はこれに尽きると思った案件だった。

執筆:太田垣章子(おおたがき あやこ)
章子先生

【プロフィール】
司法書士・章(あや)司法書士事務所代表
平成14年から主に家主側の訴訟代理人として、悪質賃借人の追い出しを延2000件以上解決してきた賃貸トラブルのエキスパート。徹底した現場主義で、早期解決のためにトラブルある物件には必ず足を運んできた。現場で鍛えられた着眼点から、賃貸トラブルの解決を導く救世主でもある。著書に「家賃滞納という貧困」(ポプラ社)「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)がある。

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