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太田垣章子の「トラブル解決!」賃借人失踪で強制執行。家主が一番見つけたくないもの発見!

賃貸経営/トラブル ニュース

新築当初から住んでいた賃借人。もともとは家族で住み、子どもたちが巣立った後、81歳と80歳の老夫婦だけとなった。

築40年を過ぎた物件なので、この夫婦はいちばんの長老。年をとって頑固になったのか、若い住民たちとのジェネレーションギャップがあったのか、物件の管理人的な存在にもなり、他の若い住民との衝突もどんどん増えてきてしまった。その度に家主に文句をつけてくる。

たとえばこうだ。「若い夫婦が廊下で笑い声をあげる」「子どもを怒る声がする」「布団の干し方が雑い」。大したことないじゃないか、そう言おうものなら激昂し、手が付けられなくなった。

ある時、若い住民とのトラブルを家主に言いつけにきて、喧嘩になってしまった。どうやら賃借人は、自分の気に入らない入居者を追い出して欲しかったらしい。

だが家主としても、ただ賃借人が重箱の隅をつつくように文句を言っているだけにしか聞こえなかったのだ。「いい加減にしてくれ」そう言ったが最後、賃借人は家賃を払わなくなってしまった。

最初は「機嫌を損ねたのだろう」程度に考えていた。しかし翌月も払われず、気がついたら1年ほど溜まっているではないか。のんびりした家主だなと思ったが、要は「喋ると絶対に最後は怒鳴られて終わるから」関わりたくなかったのだという。何かにつけ文句を言ってくる賃借人に辟易していた家主は、督促もする気になれなかったのだ。

しかしこのまま払わずに住み続けられても、困ってしまう。意を決して督促に出向いてみた。すると集合ポストは溢れんばかりにチラシが溜まり、どうやら電気ガス等のライフラインも止まっているようだ。

ノックをしても反応がない。考えてみたらこの1年ほど、いつものクレームもない。滞納しているから大人しくしているのかもしれないし、どこか転居してしまったのかもしれない。これは大変だと、訴訟手続きのご依頼があった。

行方不明者を相手に訴訟手続き

住民票を取得してみると、住民票は現地に残っている。ただ80歳の妻は、半年ほど前に亡くなっていた。戦前生まれの賃借人なら、奥さんが亡くなったと同時に施設にでも入ったのかもしれない。確かに現地に行ってみても、人の住んでいる気配はしなかった。連帯保証人も遠い昔に転居したようで、探し当てることもできない。緊急連絡先となっていた頼みの綱の息子に連絡してみたが、電話はすでに不通になっていた。

仕方がないので、訴訟手続きに着手。相手方は行方不明として、手続きを進めていった。行方不明者を相手の訴訟は、多少面倒ではあるが、通常の訴訟手続きと大差はない。裁判の期日に相手方から何か連絡がある訳でもなく、明け渡しの判決は言い渡された。その後も迅速に強制執行の申し立て。いよいよ室内に立ち入れる時が来た。

執行官がドアの前で賃借人に声をかけたが、当然ながら反応はなし。室内はさっきまで生活していたと思われるほど、荷物がそのまま置かれていた。40年以上住んでいたために、押し入れの中にも物がぎっしり。何も片付けられず、そのままだった。室内の様子からすると、予想通り、賃借人は奥さんが亡くなって暫くして、この部屋を後にしたようだった。

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事件性も何もなく、「荷物の量が多いので費用がかかるね」と心配していたその時、いちばん見つけたくないものを見つけてしまった。

家主がいちばん見つけたくないもの

それはお位牌。
強制執行の際、遺骨や位牌、遺影等は廃棄処分するわけにはいかず、部屋に残されていた場合には、別途保管して最後は無縁仏を受け入れてくれるお寺に納める。

もちろんこの費用は、家主負担となってしまう。執行業者がある程度数がまとまってから供養するので、金額は割安ではあるが、それでも数万円はかかってしまう。そのため、毎回祈るように「無いこと」を願うのだが、残念ながら見つけてしまった。おまけに賃借人の両親のものなのか、お二人の遺影もそのままだった。

その昔、これらの物はなによりも大切にされたはずが、最近ではうちの事務所だけでも年間15件以上遭遇する。これが時代なのだろうか。

勝手に夜逃げした賃借人家族の供養まで、家主は背負わなくてはならない。これからの時代、夜逃げにはたくさんの問題を秘めている。大変な相手であろうと、突き放さずに関係性を保つことと同時に、いざという時のために緊急連絡先や連帯保証人との交流が必要なのであろう。

執筆:太田垣章子(おおたがき あやこ)
章子先生
【プロフィール】
司法書士・章(あや)司法書士事務所
平成14年から主に家主側の訴訟代理人として、悪質賃借人の追い出しを延2000件以上解決してきた賃貸トラブルのエキスパート。徹底した現場主義で、早期解決のためにトラブルある物件には必ず足を運んできた。現場で鍛えられた着眼点から、賃貸トラブルの解決を導く救世主でもある。著書に「家賃滞納という貧困」(ポプラ社)「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)がある。

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