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太田垣章子の「トラブル解決!」外国人を入居させる時の要注意ポイント

賃貸経営/トラブル ニュース

2020/05/21 配信

ここ数年インバウンド需要で、コロナウィルス禍までは外国人旅行者が年々倍増している状態だった。同様に日本で住む外国人も激増した。都内のコンビニのレジを打つスタッフは、日本人の姿を見つけることの方が難しいくらいだ。

そこでふと考える。彼らはどこに住んでいるのか?

一昔前、外国籍の人がお部屋を借りるのは至難の技だった。日本人の身元引受人がいるかどうかもポイントだった。同時にそれなりの経済的基盤ある外資系企業に勤める人たちも多く、その人たちは法人契約だったのでさして問題はなかったのかもしれない。

ところが日本語学校に通うという名目で多くの外国人が流入してきた昨今、各国の入国ブローカーたちが彼らの住まいを確保するのに奔走する。

日本語を巧みに使うブローカーたちが、日本語学校と提携する。その学校に通わすために、多額の費用をとって母国からの留学をサポートする。そして自分が部屋を借り、その部屋を学生たちに転貸する。日本語学校の入学だけでなく、生活全般をサポートするという訳だ。

そうやって留学してきた彼らは日本語学校に通いながら、週28時間という限られた枠の中でアルバイトをし、母国に戻る頃には「日本語が話せる」「お金を貯めた」2つを武器に、起業することも少なくないと言う。そんな彼らにとって、費用はかかるが部屋を借りる苦労から逃れられるのは、幸運なのだろう。ただそんな恵まれた人たちばかりではない。

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外国人賃借人とのギャップ

日本人の良さと言えば「察する能力」だ。とすれば、その弊害として「言わなくても分かるだろう」と思いが生じる。ところがその思いは外国人には伝わらない。日本人は「郷に入れば郷に従え」と思うが、外国人は郷を知らない。そこで相互にギャップが生まれる。

1から100まで日本の賃貸住宅のルールを伝えなければ「だから外国人には貸したくない」と言う結果になってしまう。部屋探しにサポートがない外国人の場合は、慎重になることが必要だ。

例えば日本人は玄関で靴を脱ぐ。敢えて外国人にそこを念押ししない。しかしながら外国人に部屋を貸し、たった1年でフローリングが激しく痛んだ事例がある。賃借人は靴で部屋中を歩いていた結果だった。

「玄関に段差があるのだから、それくらい分かるだろう」と言う家主と、「無駄な段差」と思っていた外国人。その差を嘆いてはいけない。伝えなければ分からない。そこが外国人に部屋を貸す難しさでもある。貸す時には、事細かに明確にすることが、物件を守ることになることを覚えておいて欲しい。

契約時に確認すること

仲介から外国人入居申し込みの連絡があった時、家主側は何を確認すればいいのか。

絶対的に必要なのは、「日本語が話せるかどうか」だ。ここを見落としている家主があまりに多すぎる。

家主自身が英語堪能でも、関係ない。入居者が日本語で問題なく意思疎通ができるかどうか、これは外国人に部屋を貸す時の最重要事項と心得、必ずこの点はしっかりと確認して欲しい。

それはなぜか?

万が一の砦である裁判所が、語学力に乏しいからである。民事の裁判で、通訳をつけることはほとんどない。費用の問題と、通訳の成り手が少ないことが理由である。そして司法の現場(裁判官、書記官、司法委員等)で語学に長けている人に、私は出会ったことがない。

滞納等で仕方なく訴訟になった時、法廷では賃借人自身が日本語を理解する、話せる場合以外は大変なことになる。

書面で審理が進む訴訟で、賃借人が理解していないようなら、誰かが説明して納得させなければ訴訟は前に進まない。本来発言権が極端に制限されている法廷で、誰かが身振り手振り駆使して、何とか賃借人に「理解している」させなければならない。その光景は、傍聴席からはとても滑稽に映るはずだ。

先日の法廷では滞納者が仕事を聞かれ、その言葉の一部に「ウェルス」と入っていたことで、裁判官は「スポーツクラブか何かな」と言っていた。それは「ウェルネス」では?と言いたくなったが、また話がややこしくなるから黙る。そんなレベルなのだ。

これが少なくとも私たちが6年間携わったはずの英語。それが多言語ともなれば、全員がお手上げになり翻訳ソフトを駆使することになる。

もはや「誰が入居させたのだ」と、訴訟の審理以前のお叱りを受けることになる。そして何とか判決を得られても、強制執行の段階でまた同じ問題をクリアしなければならない。執行当日「どうか賃借人がいませんように」(そうすれば執行はされる)と、まさに神頼みの世界になる。

この先、外国人の賃借人は増えてくるだろう。その時には、日本の文化をしっかり伝えるとともに、賃借人がきちんと日本語で意思疎通できることを確認して欲しい。「日本に住めばすぐに喋られるようになる」と、甘く考えてはいけない。前出の英語が喋られないペルー人は、日本に18年滞在するもののほとんど喋られなかった。

執筆:太田垣章子(おおたがき あやこ)

章子先生
【プロフィール】
司法書士・章(あや)司法書士事務所
平成14年から主に家主側の訴訟代理人として、悪質賃借人の追い出しを延2000件以上解決してきた賃貸トラブルのエキスパート。徹底した現場主義で、早期解決のためにトラブルある物件には必ず足を運んできた。現場で鍛えられた着眼点から、賃貸トラブルの解決を導く救世主でもある。著書に「家賃滞納という貧困」(ポプラ社)「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)がある。

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