コロナ禍の影響もあって厳しい現状が続く入居者募集に、新しいスタイルが登場する。今住んでいる人が新規入居希望者に直接お部屋を紹介してくれる賃貸物件情報サイト「RoomPa(ルムパ)」だ。
現在の入居者にとっては、物件退去前のちょっとしたお小遣い稼ぎになるというこのサービス。オーナーとしてはどのように関わってくることになるのか、その仕組みを聞いてみた。

現入居者が物件情報を登録し
次の入居者が決まったら紹介料をゲット
「RoomPa」は引っ越しを検討されている人(以下、現入居者)が、現在自分が住んでいる物件を新規入居希望者に紹介できる不動産賃貸CtoCプラットフォーム。
まず現入居者が、情報サイトRoomPaに個人の属性情報と物件情報を登録し、新規入居希望者に物件に係る情報を提供する。
新規入居希望者から質問があれば、サイト上のチャット機能などを通じて現入居者が対応。登録した物件に新規入居希望者の入居が決まったら、現入居者に家賃1ヶ月分のうちの25%が情報提供の報酬として支払われる仕組みだ。
引越しに関わって出費がかさみがちな、現入居者にとってはうれしいサービスと言えるだろう。

最新物件情報をいち早く入手しオンラインで契約
新規入居希望者にもメリット
現入居者は不動産会社に退去連絡をする前に、物件情報を「RoomPa」に登録するため、結果として新規入居希望者は他社ポータルサイト上にはない物件情報を手に入れることができる。サイトに出ていた物件を求めて不動産会社に行ったら、その物件はすでに入居者が決まっていた、という事態も避けられる。
現入居者は、紹介料獲得のため、より詳細で質の良い情報提供を行うと考えられるので、新規入居希望者にとってはそれもメリットだ。チャット機能での直接コミュニケーションをとりながら、住んでいたからこそ分かる物件や周辺環境の情報をもとに賃貸物件を比較検討することもできる。
さらに、気になる設備、箇所(家具配置や収納など)の写真撮影や計測を現入居者が代行するため、内見が必須ではなくなる。オンライン上で物件探しが進められるのは、時間のない人や、遠方からの引っ越しの際にも便利だろう。

実際の契約は指定の仲介会社
オーナーの立ち位置は変わらない
では、実際の契約はどうなるのか。新規入居希望者が現入居者から情報収集しながら最終的に入居物件を決定すると、その先の賃貸契約は、基本的にはサービス側が指定する仲介業者を通して行うことになる。
利用者から見えるサービスの裏側では、その仲介会社から管理会社やオーナーに連絡し、新たに媒介契約を結ぶ形だ。タイミングの差はあるが、現在の仲介会社との契約が一般媒介契約であれば、オーナーの立ち位置に変化はないともいえる。
では、専任媒介や専属専任媒介契約の場合はどうなるか。その場合は、新規入居希望者の情報は専任媒介・専属専任媒介契約のある仲介会社に提供されるという。
ただ、紹介を受けないという判断をする会社もあり、その場合は、利用者側から見ると、物件情報を登録したがサービスの利用ができないというケースは起こりうる。そこはサービスサイトにも「一部の物件は…」と記載されている通りだ。
変化を続ける入居者募集のスタイル
入居者募集のひとつと手段として
とはいえ、CtoCで口コミ的に入居者募集ができるという点ではメリットもある。
コロナの状況が不透明ななか、今後も入居者募集の厳しさが予想される現在。オーナー側にこれまでとは異なる出費が必要なく、単に入居者を探してくれる仲介会社が一つ増える、という考えに立つならば、今後に注目したいサービスのひとつだ。
「RoomPa」の正式サービスのスタートは2021年2月を予定しており、現在、先行物件登録用webサイトが立ち上がっている。退去時期が近付いている入居者に、サービスの存在について案内をしてみるというのも、今後を見極める一つの手かもしれない。
健美家編集部