
最近、韓国インテリアという言葉を聞くようになった。ドラマ、音楽、コスメと韓国のトレンドに敏感な若い女性たちを中心に人気を集めつつあり、ここ半年、検索する人が増えているという。一体、どんなものなのか。ホームページ内で韓国インテリアを特集するなど、インテリアのトレンドに詳しい、Rignaの本社・ショールームにお邪魔し、実際の商品から見せていただいた。
BOHOとオーガニック、
2つのトレンドがベース
まずは大きなインテリアの流れから。2つある。ひとつは数年前からのBOHO(ボーホー)という流れで、これはボヘミアン(Bohemian)とソーホー(SOHO)をミックスした造語。
ボヘミアンとは元々はチェコに住む民族のことだが、それが転じて芸術、自由を愛し、自由気ままに生活する人たちを意味するようになっており、インテリアのテイストとしてはエスニック、エキゾチックな民族風のものを指すことが多い。

一方のSOHOは言わずと知れたニューヨークのSOHOエリアのことで、都会的でシャープ、モダンなものを指す。BOHOはその2つがミックスされたもので、都会的でありながらプリミティブな要素もあるというミックススタイルである。

もうひとつの流れはここ3〜4年目につくようになったオーガニックなテイストだとRigna家具・インテリア事業部部長の村野友明氏。「社会一般で言われるようになったサスティナビリティ、SDG’sを意識、自然素材のナチュラルなものが取り入れられるようになってきています」。
カフェが情報の発信源に
韓国インテリアはそうした2つのトレンドの流れの踏まえたものというが、移り変わりが激しく、基本的にはカフェから始まっていると金本 亜佑美氏。
「少し前にはネオン系の派手な色が流行ったこともあり、その時々で変わりますが、カフェから流行が始まるのはいつも同じ。話題になったカフェのインテリアを真似して変化が起きるのです。ちなみにこれは韓国インテリアだけではなく、古民家風の流行もカフェからでしたし、インダストリアルも同様。ホテルとカフェがインテリアの流行を生んでいるのです」。
特にホテルの影響は強いそうで、そう言われてみるとホテルライクはマンションではマジックワード。ホテルでは当たり前だったガラス貼りのサニタリーや三和土のない玄関が今、住宅に取り入れられていることを思うと、住宅がどんどんホテル化、カフェ化しているという言い方もできそうである。
工業製品ではなく、自然素材

では、その韓国インテリアとはどんなものか。ひとつ、分かりやすいのはインダストリアル系とは真逆であるという点。工業製品ではなく、自然素材を選ぶべきなのである。また、足し算ではなく、引き算であるという点も大事。
「たとえばアクセントクロスは1部屋に1か所しか要りませんし、いろいろな色、柄を置くのも逆効果。ただ、あれもこれもと欲張らなければ良いので引き算を意識すれば変なことにはなりにくいはずです」と金本さん。とはいえ、初心者はついやり過ぎるので注意したいところである。

具体的にはナチュラルな素材、白や茶、アースカラー、クリアなどシンプルな色を中心に考えれるのが失敗しにくいところ。素材でいえば木やラタン、布、ガラスや羽、皮革、真鍮などが代表的だ。

ちなみにラタンはかつて大流行。その後、一時期はあまり見なかったが、最近、オーガニックのブームに伴い、復活している。ただし、当時のようにソファなど大型家具で使うと流行遅れのバリ風になりかねないので、スツールや小物類で取り入れるのが今っぽく仕上げるポイントだ。

黒は一部に入っているなら良いが、それが全面に出てくるとちょっと違う感じになってしまう。色でいえば赤や青その他ぱっきりと主張の強い色も避けるのが無難だろう。と聞くとぼんやりした色ばかりと思われるかもしれないが、違いは素材で出す。
「色、デザインで変化を付けるのではなく、トーンは同じでウッドにラタンを使うなど素材を変えるのが手です。白で統一されていても、そこにいろいろな色味の白を使うというやり方があります」

形としては柔らかい、丸い感じのものが良い。角のある、尖がったものは避けよう。

逆に取り入れたいのはフォークロア、民族っぽい柄やデザイン。ラグや小物などで取り入れるのが使いやすいだろう。

インスタ映えを狙うなら小物に印象的な一品を配する手がある。悩んだらグリーンを配するというのも手かもしれない。ただし、これも昔風に見えてしまわないよう、最近の流行を聞いて選ぶべきだろう。

また、同社ホームページ内には部屋をアレンジした例なども掲載されているので、ぜひ、参考にして欲しい。
絵にするにはテクニックも
取材をしてみて感じたのは韓国インテリアはかなり上級者向けだという点。同じ色目を素材違いで合わせ、雰囲気のある空間に仕上げるのは非常に難しい。
ポイントになる品を置いて目を惹くホームステージングや全体を変えてしまうDIY系の見せ方に比べると、絵にするにはかなりのテクニックが必要。やってみたいと思うなら、多少、勉強をしたほうがよかろう。

いくつか手がある。ひとつは今回取材にご協力いただいたRignaのようなインテリアショップや話題のカフェ、ホテルを訪問、テイストを実感してみること。インテリアショップであれば最近のトレンドについてスタッフの質問、相談することもできる。
その場合、ご近所にある、いわゆる街の家具屋さんは避けたいところ。
「昔、インテリアは5年サイクルと言われていましたが、今は3年サイクルくらい。イタリアの最新トレンドがかつては2年遅れで入ってきていましたが、今は半年から1年くらい。ファッションに比べると多少はリードタイムはありますが、それでも変化が早くなっています。それにきちんとついていっている場を見ないと、参考になりません」と村野氏。

自分の手に負えないと思ったらプロに任せるという手もある。

「コーディネートをする部署もありますので、ご相談いただければ5万円(税抜)から広さに応じてご提案をさせていただいております。その提案書に基づいて家具を購入いただく場合には購入額に応じて提案料が半額、全額不要になることもあります。また、CGでモデルルームを作ることも可能です」(村野氏)。
近年、ウィークリーや家具付き物件が人気でもあり、物件によってはそうした貸し方が向く場合もあろう。最近のトレンドを知る意味でもインテリアショップ巡りはしてみても良さそうである。
健美家編集部(協力:中川寛子)