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全国どこに住んでも定額!学生寮、社員寮に1カ月滞在で8万5000円。共立メンテナンスが取り組む新規事業の破壊力

賃貸経営/商品・サービス ニュース

2022/03/10 配信

全国に400棟余りの学生寮、社員寮を有する株式会社共立メンテナンスが全国の家具付き・管理人常駐の寮「ドーミー」を1カ月8万5000円の定額で利用できるサービス『NOMADormy(ノマドーミー)』を2022年3月1日からスタートした。

ビジネスホテルとは一味違う寮を利用したサービスについて企画を担当する同社関西支店の岡本強志氏に聞いた。

オンライン授業、リモートワークで空いた部屋を活用

サービスのトップページ
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コロナ禍でオンライン授業が主体になり、社員の異動が少なくなるなどの変化で寮に空室が出始めたのが2年前。当初は住んでいる人への安全対策を主体にしていたものの、この間で社会に、働き方に変化が生じ、それを利用して今、空いている寮の空室を従来とは違うやり方で活用する方法がないかと検討した結果、誕生したのが『NOMADormy(ノマドーミー)』というサービスだ。

サービス名称の元となったノマドとは遊牧民を意味する言葉だが、近年では決まった場所で仕事をするのではなく、さまざまな場所で働く新しいワークスタイルと指す言葉として使われており、そんな働き方を支援するサービスという意味がある。

1979年に設立された共立メンテナンスは学生寮、社員寮に始まり、ビジネスホテル(ドーミーインなど)などのホテル事業、シニア向け住宅など住まい、ホテル、食に関する事業を幅広く展開している会社。学生寮、社員寮は全国に400棟、部屋数にして約4万室ある。

「学生寮、社員寮はどこもWi-Fiが使えます。リモートワーク、ノマドワークをしている、オフィス以外に拠点を持ちたいと考えている方に拠点として使っていただけるのではないかとこのサービスを展開することにしました。これまでは学校、会社に所属していないと利用できなかった施設の門戸を開こうというものです」と岡本氏。

家具・家電付きで月額8万5000円

特筆すべきはサービスの料金。設定するにあたってはビジネスホテルのリモートプランを参考にし、それよりも気軽に利用できる料金設定を目指したという。

「通常一泊5000円のビジネスホテルに30日するとしたら料金は15万円。実際のリモートプランはそれよりも少し安い設定になっていますが、同じような料金設定では差別化は難しいと考え、思い切って半額近い金額にしました」。

部屋の設備、広さは物件によってかなり幅がある。また、社員寮の場合、男性限定、女性限定という物件も
部屋の設備、広さは物件によってかなり幅がある。また、社員寮の場合、男性限定、女性限定という物件も

それが8万5000円という定額だ。しかも、学生寮、社員寮には生活に必要な家具、家電等があらかじめ備わっている。寮長、寮母といった名称で管理人が配されており、いつも同じ人が見守る安心安全な環境も寮ならでは。さらに朝食、夕食も別料金で利用できる。

朝食110円、夕食220円は破格。食材用意のため、提供3営業日前までには申し込みが必要。栄養バランスも考えらえれた食事が提供される
朝食110円、夕食220円は破格。食材用意のため、提供3営業日前までには申し込みが必要。栄養バランスも考えらえれた食事が提供される

「寮として今までも食事は提供しており、新サービスでも同じ食事を提供します。ただ、期間が限定されるということで価格は安めに設定しており、朝食は110円、夕食は220円を予定しています」。

また、手軽に利用できるよう、契約手続きを簡素化、デジタル化した。具体的にはWeb上でほぼすべての手続きを行い、鍵、契約書は当日、利用する施設で受け渡しするというもの。これならホテル並みの簡便さで利用ができる。

2022年3月8日時点で掲載されていた京都の物件例。10㎡前後から20㎡オーバーまで実にさまざまだった
2022年3月8日時点で掲載されていた京都の物件例。10㎡前後から20㎡オーバーまで実にさまざまだった

ビジネスホテルと違い、寮は元々居住空間として作られているため、物件にもよるが、部屋に広さがあり、開放感もある。大浴場を備えたタイプもある。大学や会社に近いことを優先するため、最寄り駅までの距離などといった交通の利便性の面ではビジネスホテルに劣るところがないではないが、生活という意味では騒がしさと無縁で見方を変えればそれもメリット。

この料金で1カ月から3カ月までなら同じ物件に滞在でき、それ以上同じ物件に滞在する場合には月額料金が17万円になる。だが、3カ月後に他の物件に移動すれば月額料金は変わらず8万5000円のまま。移動し続ければずっと8万5000円で日本のあちこちに居住し続けられることになる。また、同じ物件に居住を希望すれば長期契約も可能で、その場合の料金は元々のその物件の賃料となり、サービスの月額料金よりも安く利用できることもある。

3カ月という制約は現在住んでいる人に不公平感を抱かれないためのもの。期間限定なので安くなっていると考えれば良いだろう。

シニア層もターゲットという新味

このサービスで面白いと思ったのはビジネスマン以外の、シニア層などもターゲットとしている点。大学との関係があるからだろう、シニアなどが大学や専門学校などの期間限定の講習等に参加する場合の利用なども想定しているのである。

その他にも地域のお祭りやイベントの参加などで長期滞在が必要になった際のニーズの受け口として、シニア層の利用拡大を目指している。もし、そうした層が日本のあちこちに長期滞在するようになると、そこでひとつ市場が生まれる可能性がある。

実際、最近の旅行業界では長期滞在の旅がよく売れるようになっているとも聞く。大学との連携などで知的好奇心の衰えぬシニアが移動するようになれば通常の宿泊施設以外にもチャンスが出て来るかもしれないのである。

まずは100部屋からスタート

利用にあたっての注意は約400棟のうち、空きがある物件だけが利用可能という点。長期で住んでいる人が多い物件、企業が一棟借りている物件では空かない可能性もあり、特に人気エリアとなるとそもそも空室が無いこともある。

3月1日からサービスをスタートし、現在は反応を探っている状態。

「当面は100部屋の申し込みまでどのくらいの時間がかかるかの様子を見ています。思った以上に反響がある場合には空室利用というところに留めて置いて良いのかを考える必要があるかもしれません」。

さまざまなサブスクサービスが出てきているが、その中から新しいニーズが生まれ、育つことに期待したいものである。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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