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喫茶ランドリーはどこがすごいのか。1階の作り方でまちが変わる、魅力が生まれる

賃貸経営/まちづくり ニュース

都営大江戸線森下駅から歩いて数分、墨田区千歳のビル1階にある店が評判を呼んでいる。ご近所の方々はもちろん、遠方からもわざわざ見に来る、体験しに来る人がおり、最近ではメディアにも多数出るようになったその店は喫茶ランドリー

現在窓になっている部分の大半は壁だった
現在窓になっている部分の大半は壁だった

喫茶店なのか、ランドリーなのか、分からない名称だが、実際のところは喫茶店であり、ランドリーであり、でも、どちらでもないように思える空間だ。

グランドオープンしたのは2018年1月。築50年以上の古いビルのリノベーションに合わせて誕生したスペースで、元々はごく普通の、窓とドアがあるオフィスビルだった。それがガラス張りの、内部がスケスケの空間に生まれ変わった。

フロアマップ。右奥がランドリーコーナー。左下がモグラ席。ランドリーに置かれた機種はコインを入れて自動で動くタイプではないため、店の人の立ち合いを要するが、その分、価格が安かったそうだ
フロアマップ。右奥がランドリーコーナー。左下がモグラ席。ランドリーに置かれた機種はコインを入れて自動で動くタイプではないため、店の人の立ち合いを要するが、その分、価格が安かったそうだ

約100uほどの内部は少し上がったランドリーマシンが置かれた空間と少し下がった半個室っぽい、モグラ席と呼ばれる空間がある、でも、明確に仕切られていない広いスペース。手前には普通の喫茶店のようなテーブル、椅子があり、奥には大きなテーブル。カウンターがある。

周辺は一戸建て住宅とマンション、一部に工場や倉庫として使われていただろうビルがある住宅街で、人通りは全くなかった。2017年8月に最初に同地を訪れた時にはこんなところに喫茶店やコインランドリーを作っても誰も来ないのではないかと思ったほどだ。

ところが、最初の1カ月ほどはほとんど人がいない状況だったものの、それ以降はどこから湧いてきたのだろうと思うほど。現在、店で働いている人たちも全員、自分から志望されたそうで、集まってくる人たちにとってよほどに居心地の良いのだろう。

店内全体。右側が一段上がってランドリー。外から見えやすいように高さを設定したそうだ
店内全体。右側が一段上がってランドリー。外から見えやすいように高さを設定したそうだ

取材に訪れた日もひっきりなしに人が入ってくる。驚いたことに勝手に花を持ってきて飾って帰る人までいたほどで、ヨソの場でありながら、その人の場でもあるかのようである。

ランドリー部分。ミシンその他の道具も徐々に増え、ここを利用してのイベントも多数開かれるようになった
ランドリー部分。ミシンその他の道具も徐々に増え、ここを利用してのイベントも多数開かれるようになった

この場を作ったのは潟Oランドレベルの田中元子氏。会社名のグランドレベルは1階のこと。1階を変えればまちは変わるという活動のためのネーミングであり、その実践が喫茶ランドリーなのである。

では、なぜ、ここに人がそれほど集まってくるのか。いくつか、要因がある。ひとつはこのまちのニーズに合った空間であるからだ。このエリアにはここ数年でマンションが増加、住む人は増えているにも関わらず、人が集まる場がなかった。

こちらがモグラ席。すっぽり包まれたような感じで落ち着く空間
こちらがモグラ席。すっぽり包まれたような感じで落ち着く空間

また、周辺にはあるものの、利用しやすい場所にはクリーニング店がなかった。以前に比べて。ランドリーのニーズが高まっているという背景もあった。そうしたことから、喫茶店であり、ランドリーでありという場が設定されたのである。

このところ、喫茶ランドリーに注目が集まっているためか、喫茶+ランドリーという形態の場を作れば人が集まると安易に真似をしようというような声を散見するが、それは大きな間違いである。この場所をきちんとリサーチした結果が喫茶ランドリーだったのであり、他の場所で作るなら、その場の特性に合わせたものであるべきだろう。

加えて何をしても良いという自由さがある。利用者が少なかった頃、田中氏は来店する人にコーヒーをふるまい、好きに使ってもらってよい場であることを伝え続けたという。その結果、ここで家族の忘年会をしたいという人が現れ、ここでパンをこねたいという人が現れ、ランドリースペースでミシンを使ったイベントをという人が現れ……と利用者が増えていったという。

何かしらの場を作る時にはどんな人が、どういう場面で、こういうことをする場と細かくコンセプトを作るのが一般的だが、それは一方でそれ以外の人を排除するという方向でもある。まちのように不特定多数を対象に場を作るとしたら、あえてコンセプトを明確にし過ぎないということも大事なのかもしれない。

もうひとつ「大事なのは空間のデザイン」と田中氏。カッコよくし過ぎない、ちょっと舐められる、自分でも関われると思えるくらいのものを目指したという。カッコよくし過ぎると来る人を選ぶことになる。といってダサすぎても馬鹿にされる。そのさじ加減が難しかったという。

よく、コミュニティや場作りなどに関わる人達は想いさえあれば場は作れるという言い方をするが、それは違う。場のデザインは人とその行動を規定する。たとえば、勝手に花を持ってきて飾った人がいたと書いたが、その人はどんな花を持ってきたか。この場所にふさわしい花を持ってきていた。仏花や蘭ではなく、この場所に合う花。場を想定して花を選んだ時点で彼女の行動は場に、デザインを意識していたのである。

かっこよすぎると萎縮するが、そこにちょっとした隙というか、緩い部分があればそこに関わってみようと思う、そんな気持ちにさせるデザイン。抽象的だが、それが単にかっこよく作るだけより、非常に難しいものだったことはお分かりいただけよう。

さて、賑わう喫茶ランドリーには我がまちにも出して欲しい等の依頼もあるそうだが、前述した通り、同じものを作っても意味はないと田中氏。だが、この成功で1階の使い方がまちの賑わいの鍵になることは広く伝わった。あとはそうした立場にいる人がこの成功から何を学ぶか。

賑わいはイコールまちの価値であり、そこにある物件の価値でもある。自分の物件だけでできるバリューアップには限界があると考えると、1階の使い方で違う価値を付加するという考え方は十分あり得るのではなかろうか。興味ある方はぜひ一度訪問、場所を味わってみていただきたいものである。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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