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郊外不動産活用の肝は兼用住宅にあり。武蔵野市hoccoに見る「なりわい賃貸住宅」の可能性

賃貸経営/まちづくり ニュース

2022/04/18 配信

コロナ禍で以前よりは郊外に目が向くようになったと言われるものの、駅からバス便利用の地域の賃貸住宅を、それでも選ばれる物件にするためには工夫が必要だ。2021年10月に誕生した武蔵野市のhoccoにそのための工夫を見てきた。

路線バスの折返所を活用、地域の拠点を建設

武蔵野市桜堤は最寄りのJR中央線武蔵境駅からバスで10分余。1959年に竣工した全1829戸という大規模な桜堤団地があった場所で、現在は建替えられてサンヴァリエ桜堤に。また、一部は民間のマンションになってもいる。

このエリアと駅を結んでいるのは小田急バス。団地の外れに折返所があり、そこに続く土地は同社が営んでいたタクシー・ハイヤー事業のための整備工場に使われ、その後は駐車場となっていた。

その土地を活用しようという話が出たのは同社が2020年に創業70周年を迎えたことから。周年記念に駐車場ではない使い方を模索しようと考えたのである。パートナーとなったのは賃貸住宅のリノベーションからエリア再生までを幅広く手掛けるブルースタジオ。

ブルースタジオの大島芳彦氏が提案したのは「なりわい賃貸住宅」。聞き慣れない言葉だが、これは「自分の趣味や好きなことを街にひらき、『やってみたいこと』を実現できる賃貸住宅だという。具体的にはすべての住戸に中庭に開かれた土間と軒下が用意されており、全13戸の住宅のうち、5戸では店舗を開くこともできる。

「バスの折返所という地域に必要な場所を地域の拠点として有効活用しようと考えたのです。住宅地として人気を保ち続けることはバス会社にとっても大事なことです。

この地域は高齢化が進んで買い物難民になっている人たちがいる一方で新しいマンションには子育て世代も多く住んでいます。また、住宅地に暮らす人たちの中にはプロを超えるような表現者とそのファンがおり、その人たちに活躍の場があれば地域はもっと楽しくなる。よく、地域再生、活性化の場面で『プレイヤーがいない』という言葉を聞きますが、住宅地には多彩な才能が眠っているのです。

そうした多様な人たちのコミュニケーションのハブとしてなりわい暮らしを想定、その拠点としてhocco(以下ホッコ)を提案しました」。

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ホッコ敷地内から折返し所、団地方面。桜の名所というのがよく分かる

近年のコロナ禍でテレワークが進み、住まい、特に住環境を再考するようになった人が増えたことも背景にある。hoccoのある桜堤は中央線の前身である甲武鉄道が桜の時期になると花見のための臨時電車を走らせたほど豊かな自然に恵まれていた地であり、その名残は今も残されている。時代の転換期である今、そこに暮らしを見直す新しいタイプの住まいが生まれるのは印象的なことだ。

全体で50u以下という制約から5戸の兼用住宅を

バスの折返し所の背後に、細長く中庭を囲んで住宅が連なる
バスの折返し所の背後に、細長く中庭を囲んで住宅が連なる
実際の住宅はこんな間取り。引き戸を開けたところが土間で、その背後にダイニングキッチン、2階にリビングと寝室が配される
実際の住宅はこんな間取り。引き戸を開けたところが土間で、その背後にダイニングキッチン、2階にリビングと寝室が配される

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土間はこんな感じ(この写真のみ、内覧会時のもの)
土間はこんな感じ(この写真のみ、内覧会時のもの)

実際の住まいは細長い中庭を囲む長屋形式の13戸。2階建てになっており、店舗兼用住宅5戸は52.9u〜57.4u、専用住戸8戸は52.9u〜58.9u。大きな特徴は1階にある。住戸の入口がガラスの開き戸になっており、中庭に開かれていること。入ると4畳半〜6畳半ほどの土間があること。土間から上がったところはダイニングキッチンである。

店舗として使われている例
店舗として使われている例

兼用住宅は建物全体の入口にあたるエリアに配されており、土間を店舗として使うことができる。それ以外の住戸の土間の使い方は仕事場にしたり、応接スペースにしたり、趣味の空間にしたりと住む人次第である。

この兼用住宅というアイディアはこの地域が第一種低層住居専用地域という、住むための環境を重視、利便性に関しては厳しいルールのある地域であるがために生まれた。

中庭の入口部分にあたる住戸は土間を店舗として使えるようになっており、奥まった部分の住戸にも土間はあるが、それは住宅の一部として使われている。自然に店舗、住宅が分けられる作り
中庭の入口部分にあたる住戸は土間を店舗として使えるようになっており、奥まった部分の住戸にも土間はあるが、それは住宅の一部として使われている。自然に店舗、住宅が分けられる作り

「店舗、オフィスなどの建物は建てられませんが、住居の一部で商いを営む兼用住宅は建てられます。ただし、延床面積の2分の1以上は住居でなくてはいけませんし、建物全体で50u以内でなければいけません。そこで全戸ではなく、5戸のみを店舗として使える兼用住宅としました」。

桜堤に限らず、高齢化が進んでいる郊外の住宅地では多くの場所で用途地域の制約から地域のニーズに合わせた施設を作ることができず、買い物難民問題などが発生している。国土交通省は用途地域の緩和を一部進めているが、全体としてはまだまだ規制が厳しい。それを多少でもクリアしようという知恵である。

キッチンカーにシェアサイクルなども配置

右側に見えているのがキッチンカー用のスペース。そのさらに右手にシェアカーが配されている
右側に見えているのがキッチンカー用のスペース。そのさらに右手にシェアカーが配されている

商いという意味では中庭にキッチンカーが置けるスペースを作り、日替わりで料理や生花、衣類など様々なキッチンカーに出店してもらっているという。同サービスを運営する企業は独自のプラットフォームによって1月単位で出店者であるキッチンカーを手配している。

利用者は同社のアプリによりいつどんなキッチンカーが来るか、1週間先まで確認できるため、住民や周囲の人たちも今日はどんな出店がある かと楽しみにしているそうだ。

ちょっと脱線するが、人通りが多い、あるいは周辺に居住人口が多い地域に空きスペースを持っている人ならキッチンカー誘致は土地の有効活用になりそうだ。

入居者のみならず、ご近所の方々にも利用されているというシェアサイクル
入居者のみならず、ご近所の方々にも利用されているというシェアサイクル
シェアサイクルの脇にはアマゾンのステーションも
シェアサイクルの脇にはアマゾンの宅配ロッカーも

また、敷地内にシェアカー、シェアサイクルのステーションを用意、住民はもちろん、周囲の人たちも利用できるようになっている。駅から距離がある立地でもあり、シェアサイクルはラストワンマイルの活用として周辺の店舗の人たちにもよく使われているそうだ。もうひとつ、アマゾンの宅配ロッカーも配されている。

写真左手に見えるのが市のはなもも公園。境界をなくしたことで広々とした空間に
写真左手に見えるのが市のはなもも公園。境界をなくしたことで広々とした空間に

敷地という点では隣接する武蔵野市立はなもも公園との境界を無くしたのも大きな点。それによって折返所、hocco、公園が一体に見え、地域全体がゆったりとした空間になっている。

イベントには周辺から多くの人が参加

オープンから半年。2022年4月の桜の時期に「桜堤おてせいなりわい市」というイベントが開催された。入口の兼用住宅1戸を除く12戸にはすでに入居者がおり、店舗も開き始めている。

昼前でこの賑わい。キッチンカーや子どもの木工体験には行列ができていた
昼前でこの賑わい。キッチンカーや子どもの木工体験には行列ができていた

それをお披露目する意味でのイベントだが、訪れてみるとびっくりするほどの人出。子どもを連れた親子から高齢者、若いカップル、ペット連れといろいろな人が店を覗いたり、敷地内に作られたベンチでコーヒーを飲んだり。

土間を使った書店。編集者の方が入居、センス良い店舗となっている
土間を使った書店。編集者の方が入居、センス良い店舗となっている

当日は建物内で開業している4店のほか、地元野菜やアクセサリー、コーヒーやお菓子、小田急バスグッズなどを売る店舗が出店、木工体験ができるブース、ガレットを焼くキッチンカーなども出ており、特にキッチンカーにはずっと行列ができていた。また、隣接するはなもも公園では武蔵野警察署と共催で子ども向けの交通安全教室も開催された。

敷地内には座れるスペースも設けられており、座って語らう姿も多く見かけた
敷地内には座れるスペースも設けられており、座って語らう姿も多く見かけた

周辺は住宅が並ぶエリアであり、休日にぶらりとご近所に出かけて楽しむという場は少ない。新しく、面白い場ができたと感じていた人が多いのだろう、「また、あるといいね」と初回ながら次回開催を期待する声も聞いた。

定期的に開かれることで楽しみにする人が増え、新しい賑わいの場が住宅街に中に生まれるとしたら周辺地域の価値も上がってくる。主催者も定期開催を予定しており、今後が楽しみである。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。
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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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