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賃貸市場、次の繁忙期で苦戦するのは築浅物件? 高かった新築の家賃維持をはかる奥の手とは。

賃貸経営/空室対策 ニュース

2021/10/20 配信

ここ数年新築の家賃が高い。円安やウッドショックで建築価格の高騰し、高い建築費で利回りを確保するためにも強気の家賃設定が多かったためだ。

そしてその高い家賃の物件が、築1年2年3年で退去を迎える。次の繁忙期で、この築浅の空室が増えるのではないか。その仮説と対策について今回は論じたい

■高い新築の家賃相場。
とはいえ、日本人は「新築」が大好き

新築は気持ちいい。誰も触っていないドアを開け、だれも使っていない部屋でくつろぎ、誰も座っていない便座に座る。厳密には、内見や工事で誰かが接触している可能性は高いのだが、それでも新品は気持ちが良い。

賃貸物件でも新築の人気は高い。それだけに「新築プレミアム」と言われるように新築の家賃は高い。高くても人気だから決まる。それにしても昨今の家賃相場は、新築はかなり高い。

新築物件は人気だ。それだけに家賃は相場よりも高い
新築物件は人気だ。それだけに家賃は相場よりも高い

■新築は、築古の倍の家賃

新宿区のスーモ掲載物件の築年別賃料平均とu単価(2021年9月22日プリンシプル住まい総研調べ)
新宿区のスーモ掲載物件の築年別賃料平均とu単価(2021年9月22日プリンシプル住まい総研調べ)

実際、どのくらい、新築と築古で差があるのだろう。

図は、スーモに掲載されている物件の築年別の賃料平均である。新築では19.6万円とさすが高い家賃相場。一方で、築20年以上では、9.0万円と半額以下に下がってしまうことがわかる。新築はそれだけ人気であり、築年が経つにつれ、残念ながら物件の競争力は落ちていくということだ。

新宿区はそうはいっても都心。人口集中エリアであり、ローカルよりも空室リスクはないだろう。にもかかわらず、家賃は下落してしまう事は事実である。

■高騰を続ける
建築費・新築賃料

出典:(一社)建設物価調査会「建築費指数、建設物価指数月報
出典:(一社)建設物価調査会「建築費指数、建設物価指数月報」

一方で建築費は右肩上がりだ。アベノミクス以降、日本は円安基調である。円安は、輸出に有利で輸入には不利である。日本の建築は、木材も鉄骨も輸入に頼っている。

また、人件費も上がっており、建築コストは右肩上がりだ。加えて、世界的なウッドショック。輸入木材の仕入れ価格は上がっている。となれば、新築物件の利回りを確保しようとすると、当然、強気の家賃設定となるわけだ。

■新築は確かに、人気だ。
では、「築年」というスケールは有効か。

実は、「新築」はたしかに人気だが、「築4年よりやっぱり3年がいいよね」というほど、築年の差による住み心地の差は、それほど大きいだろうか。築7年の物件より、築2年がいいというような、ウイスキーやビンテージの服のような、その年次による差はないはずである。例えば、駅徒歩5分と10分では明確なその差があり、u数が10u違えば、確かに広さはそれだけ変わる。ところが、築年の刻みにはさほど意味が無いのではないだろうか。

■築年というワードではなく、
実は物件設備で、差がついている

新宿区のスーモ掲載物件の築年別賃料平均とu単価(2021年9月22日プリンシプル住まい総研調べ)
新宿区のスーモ掲載物件の築年別賃料平均とu単価(2021年9月22日プリンシプル住まい総研調べ)

先ほどの賃料平均の図に、バストイレ別・エアコン付き・温水洗浄便座付き・インターネット無料という設備項目のある物件の比率を加えてみた。ほとんどの物件でエアコンが設置されているものの、築20年以上の物件では、バストイレ別は52.8%。温水洗浄便座付きが7.5%と、ほかの築年に比べて極端に設備面で劣っている。

かつて、バストイレは一緒が普通であり、そこに電源がないため、温水洗浄便座も設置しにくい。しかるに競争力を失い賃料は9.0万円平均まで下がる。

■築10年以内では、設備に差があまりないのに
賃料相場にかなり差がある

ここで、ポイントとなるのは、「新築」「築1〜3年」「築3〜10年」の差だ。賃料平均は19.6万円・18.7万円・15.3万円と築3年から下がっているが、バストイレ別・エアコン付き・温水洗浄便座付きといったスペックに差が無い。あえていえば、ネット無料物件の比率が異なる程度である。にもかかわらず、最近の強気の家賃設定で、築3年までは18万を超える家賃となる。築3〜10年の物件は、インターネット無料にすれば、さほど見劣りはしないはずだ。

■危険なのは
築1〜3年

新築は「まだ誰も住んでいない」という魅力がある。しかし、「築1〜3年」と「築3〜10年」には、さしたる差はない。しかし、賃料の差は、新宿区では3.4万円。ならば、「高い新築」か「3.4万安い築3〜10年」のいずれかを選ぶのではないか。つまり、強気の家賃で入れた新築物件が、数年して募集すると、新築並みの高い賃料で、さほど設備に差が無い安い物件との闘いに負けてしまいかねないのだ。

■賃料を下げずに、
闘うために

では、どうすればいいのか。相場の賃料に下げるのか。それは収益物件オーナーにとっては厳しい選択だ。とはいえ新築に戻ることは出来ない。

ひとつの手は、新築にも、築3〜10年にもない魅力をひとつつけることである。王道は「宅配ボックス」「防犯カメラ」など、今、ない設備をプラスする。周辺の競合物件と比べて、個性的な人気の設備が良いだろう

あるいは「ペット可」「防音」など、ある種の特定層に人気の工夫だ。これまで踏み込まなかったとしても、これから高い家賃を維持していく上でも、「ペットを飼いたい人」や「音楽家やテレワーク需要」といった希少性で勝負をすべきである。

また、思い切った打ち手は、「顔認証」「人感センサー」などの最新のIoTのトレンド設備を加えていくのもいいだろう。

一方で、住民どおしの交流や、地域情報の交換を行う掲示板の設置など、ソフト面での充実も良い。そう考えれば、ちょっと楽しくなる。これまで「新築だから高い」だけだった、自分の物件の、顧客価値を本当に上げていくために、工夫を凝らす。玄関の花をキレイにしてもいいだろうし、住民の挨拶を推奨してもいい。

新築は埋まって当たり前。築1〜3年がピンチ。そのピンチを乗り越えてこそ、賃貸経営の醍醐味ともいえる。

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「ペット可」など、プラスアルファーの魅力作りが、築1〜3年物件には必要だ

執筆:上野典行(うえののりゆき)

上野典行

■ 主な経歴

プリンシプル住まい総研 所長。1988年リクルート入社。
大学生の採用サイトであるリクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。 2008年より賃貸営業部長となり2011年12月同社を退職し、プリンシプル・コンサルティング・グループにて、2012年1月より現職。
All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

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