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30年先まで安泰!! これからの人気となる次世代賃貸マンションは どんなの?

賃貸経営/空室対策 ニュース

2023/04/19 配信

2023年繁忙期を終え、満室になったオーナー、空室が発生してしまったオーナーと悲喜こもごものスタートである。世の中はコロナ禍の行動の自粛制限が緩和され、マスクをはずす人も街に登場している。

では、アフターコロナの賃貸物件は、どんな物件に変わっていくのだろうか?

今から新築を建てるとすれば、どんな未来を予測してくといいのだろうか。賃貸経営は30年40年と長く建物の人気が落ちないようにしていきたいもの。「これから」の賃貸物件に求められるスペックはどんなものだろうか。

家電がネットにつながるIoTなど、新しい技術は標準となるのか
家電がネットにつながるIoTなど、新しい技術は標準となるのか

■IoTが、未来の賃貸住宅の
標準となるか!!

「OKグーグル、電気つけて」というと、部屋の照明がつく。「アレクサ、サザンの90年代の曲かけて」といいながらパンを食べる。「ヘイ! シリ。初台に10時到着だと何時出発?」と聞けば、「〇駅経由で9時5分発です」と答える。

こうしたスマートスピーカーは「内蔵されているマイクで音声を認識し」「情報の検索だけでなく、家電とネットでつながり操作が可能」という優れものだ。

2017年に初登場し、スマートスピーカー対応の分譲マンションが登場し、大手賃貸フランチャイズが契約者にプレゼントするなど、「これからはスマートスピーカーか」と話題になった。

これからの賃貸経営は、家電とスマートスピーカーがつながり、新しい世界が拡がるのではないか。私自身、スマートスピーカーとIoT家電登場時にはかなりワクワクし、そうした未来が、建物にかなり影響するのではないかと思っていた。

「話すだけで電気が点灯し、好きな音楽が流れ、情報を伝達してくれる」「外出先からお風呂にお湯を入れられる」。そんな世界が賃貸物件の将来像になるのだろうか。

スマートスピーカーってほんとに必要?
スマートスピーカーってほんとに必要?

■普及に苦しむ?
スマートスピーカー

しかし、野村総合研究所の調査によると2021年国内691万世帯で、シェアは13.5%。そんなに普及していない。総務省の調査でも、IoT家電のシェアは上がっていない。

さほど一般の人は「ほしい」とも思わないのではないだろうか。総務省の「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では所有率は17.7%。しかし利用率は10.3%と「使わなくなってきている」。もっていないけどほしいという人も17.8%だった。

分譲マンションで、「おっ、この物件はIoT対応だから買うよ」というほどでもないとすると、賃貸物件の未来は、IoT対応になるとは言い切れない可能性は高い。

所有率と使用率の関係を見ると、本当は「さほど、声で電気を付けたいとか、外出先から冷暖房やお湯ハリをしたいというわけでもない」のかもしれない。

(出典)総務省「通信利用動向調査」
(出典)総務省「通信利用動向調査」

■「分譲の後追い」では
ない「賃貸」

賃貸物件は、かつて分譲マンションのトレンドを見ているとその後追いで、設備のグレードアップをしていくというのがパターンであった。

それは例えばDKタイプの間取りから、LDKタイプの間取りへ。バストイレ一緒から、セパレートタイプの間取りへ。畳からフローリング、屋外の洗濯機が室内の洗濯機へと、枚挙にいとまがない。

ところが即今はどうだろうか。賃貸の人気の設備ランキングの一位は、このコラム記事で再三申し上げているように、「インターネット無料」である。

ところが、分譲マンションや分譲戸建てで、「インターネット無料」というには、ほぼ聞いたことがない。入居者に変わって、毎月のインターネット代を負担する「大家さん」が分譲には存在しない為である。

ネット無料は、今や賃貸物件の人気設備ランキングでは一位当確である
ネット無料は、今や賃貸物件の人気設備ランキングでは一位当確である

また、分譲マンションで人気となる「ディスポーザ」「床暖房」「キッズルーム」「コンシェルジェサービス」なども、賃貸物件ではなかなかトレンドにならない。

ある種の「贅沢品」としての魅力は、賃貸では削ぎ落される傾向にあり、「天井高が高い」「スラブ厚があり音が響きにくい」「二重サッシで結露が少ない」といったハイスペック要素が、次の賃貸物件の必須要素となるかは、疑問要素である。

二重サッシや複層ガラス(ペアガラス)は、防音や結露に強い優れたものだが、 なかなか賃貸物件で普及していない
二重サッシや複層ガラス(ペアガラス)は、防音や結露に強い優れたものだが、
なかなか賃貸物件で普及していない

■テレワーク・オンライン授業。
住まいに「仕事」と「学習」がやってきた

長いコロナ禍は、世界大戦並みの価値観の変化をもたらした。なかでも一番大きいのは、テレワークとオンライン授業だ。睡眠・食事・家族との団らんという住まいに求めるライフスタイルが、「住まいで仕事」「住まいで勉強」という価値観の変化をもたらしている。

NTTや富士通など大手では、コロナ収束後もテレワークを基本として、社員の勤務先は「自宅」といった方針転換も発表されている。コロナ禍の感染防止対策という意味合いから、出産・育児・介護療養中の働き方改革や、オフィスの減床というコスト改革に意味合いは変わっており、もはや昔のライフスタイルには戻れない。

テレワーク・オンラインの潮流は、アフターコロナでも変わらない
テレワーク・オンラインの潮流は、アフターコロナでも変わらない

ここで、賃貸物件で人気の設備ランキングの一位で定番となっている「ネット無料」は、こうしたテレワーク・オンライン授業のベースとなるものであるが、今後、「もう一部屋オンラインのためのスペース」を求めるニーズは継続するものと思われる。

これまでウオークインクローゼットや、ロフトの下の収納スペースといった場所に、テレワークブースを造るといった物件が登場している。次の30年を考えると、こうした「プラスワンのオンライン部屋」という間取り変更が起こるに違いない。

■「オトク」は、
決め手のひとつになる可能性

昨今は、「電気代がとにかく高い」「ガス代が高い」といった悲鳴に近い声が上がっている。Twitter上には「今月の電気代が2.5万でガス代が2.5万だった」「今月の電気代が3万超えた」といった声だ。電気料金の値上げにゲームセンターの経営がままならないといった社会現象も起きている。こうした事は、永く続くウクライナ情勢の影響があることは言うまでもない。

人気のネット無料は、上図のように、入居者の生活コストは5万3000円から5万2000円に下がっており、かつ、インフレ基調の中、オーナーの家賃収入は5万円から5万1000円に上がっており、まさにWIN-WINの関係になっている。
人気のネット無料は、上図のように、入居者の生活コストは5万3000円から5万2000円に下がっており、かつ、インフレ基調の中、オーナーの家賃収入は5万円から5万1000円に上がっており、まさにWIN-WINの関係になっている。

「ネット無料」の人気は、「ネット代を入居者が自分で払わなくて済む」という、「オトク」であることも一因である。

となると、分譲でトレンドとしてあがっているZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が、電気ガス代が上がっている昨今、賃貸での導入が増えることも考えられる

■安心・安全に対する
ニーズの変化

また、ルフィと名乗る人物が高額高齢者の住まいを襲撃するといった、凶悪事件に対する恐怖心も高まっている。これまで分譲マンションにはかなり防犯カメラやテレビモニタフォン。あるいはディンプルキーや警備会社のシステムなどの「安心安全」の対策がされていたが、賃貸でもそのニーズは高まるだろう。

実際に、築浅の賃貸物件ほど、こうした防犯設備の設置率が高い傾向がありね今後もその傾向は続くものと思われる。

防犯カメラの設置など、安心安全のニーズは、今後も高まる
防犯カメラの設置など、安心安全のニーズは、今後も高まる

■過去の失敗に学ぶ

実は、平成4年ごろまではバストイレは一緒であった。それが、この当時、バストイレ別の賃貸物件が増え始めたという事実がある。では、この時にタイムマシンで戻ったとして、収益物件オーナーは「これから建てる新築物件はバストイレ別にしておこう」と考えることが出来ると言い切れるだろうか。

当時の賃貸物件では、「バストイレ別がこれからのトレンドだろう」と予測して建てた賃貸物件し、「いやいやバストイレ別なんて贅沢。バストイレ一緒の方が居室も増えて、建築費も抑えられて利回りがいいから、バストイレ一緒で新築を建てよう」という物件が半々ぐらいに混在した。当然、後者は、のちに空室が増え、家賃が下落している。今苦戦している築30年越えの物件はこうしたものがおおい。

この時の反省を活かすと、「間取り」や「水回り」は、のちにトレンドが変わった際に、対応が難しくなる、という点だ。これから新築を建てる際には、ここは留意したい。

しかるに、これから30年先も賃貸経営を安泰にしたいと考えるならば、「IoTのような最新設備をなんでも投入すればいいむというものでもない、というのが第一点。

そうした「先進性」よりも、「ライフスタイルの変化に伴うネット」「そのネットを使うための、プラスワンのオンラインの空間」「無料や節約といったオトクの観点」そして「安心・安全に対するニーズのアップ」と考えたほうが良い。なかでも間取り変更や水回り変更は、築古になってリノベーションをすると大きな投資案件となる。

そう考えれば、先進的なIT設備は、後川でも入れ替えが可能なものは、優先順位を下げ、間取り水回りのようなポイントを重視するべきである。

先を読む力が、賃貸経営には不可欠だ
先を読む力が、賃貸経営には不可欠だ

末永い賃貸経営では未来をヨム力が必要となる。過去の先人の失敗も鑑みて、入居者ニーズをしっかり予測していこう。

執筆:上野典行(うえののりゆき)

上野典行

■ 主な経歴

プリンシプル住まい総研 所長。1988年リクルート入社。
大学生の採用サイトであるリクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。 2008年より賃貸営業部長となり2011年12月同社を退職し、プリンシプル・コンサルティング・グループにて、2012年1月より現職。
All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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