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アフターコロナでインバウンド復活。 外国人入居受け入れによる満室戦略最新トレンド

賃貸経営/空室対策 ニュース

2023/05/17 配信

新型コロナが5類に変更され、様々な対策が変わりつつある。中でもインバウンドの増加は空室対策においても期待が大きい。空室対策としても期待される海外からの在留者の入居ついて、最新トレンドをまとめてみたい

インバウンド向けの住宅確保は国策としても重大に
インバウンド向けの住宅確保は国策としても重大に

減っていく人口。
全国で空室が増える事は間違いない

今日、人口は減少局面。少子化の影響で我が国の総人口は減っている。しかも若年層が減り、高齢者比率がどんどん上がっている。それに伴い、入居希望者が減り全国で空室が増加しているのは、もはや誰にも止めようがない。

今建てた新築が、築30年となるころには、全国で2000万人29.2%人口が減る。ミドルリスク・ミドルリターンと言われる賃貸経営において、この社会状況は大きな変化である。

(出典)内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」
(出典)内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」

人口が減っても、核家族化が進んでいたため、これまでは世帯数は伸びていた。「世帯数が伸びているから、人口が減っても新築建設は大丈夫」など言われてきたが、いよいよ世帯数も減少局面にある。

図のように今後の世帯数推移推計をみると、2020年・2025年をピークに減少に転じ、今後20年で10%世帯数が減る。なにもしなければ、入居率が10%減ると考えると、賃貸経営への投資を逡巡するほどのインパクトである。

(出典)内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」
国立社会保障・人口問題研究所 2018(平成30)年推計の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」のローデータより 単位(1,000世帯)
単位(1,000世帯)、プリンシプル住まい総研 作表
単位(1,000世帯)、プリンシプル住まい総研 作表

その一方で、
増加が見込まれるのが在留外国人

国が「異次元の少子化対策」を行うとしても、その成果が人口や世帯数の増加に好影響を与えるには、なにしろ時間がかかる。この間、賃貸経営だけでなく、生産年齢人口の確保や労働者・納税者の獲得を考えると、在留外国人の確保は急務と言える。

賃貸経営をするということは、「減っていく国内の人口からいかに獲得するか」+「海外からの人材をいかに受け入れるか」であるといっても過言ではない。

インバウンド入居は空室対策の鍵
インバウンド入居は空室対策の鍵

新型コロナ感染拡大で、入国制限が行われる前の令和元年には290万人を超え、増加の一途。令和2-3年は、入国制限により、減少傾向となったが、現在は入国制限が解除。一気にに300万人に増加する可能性もあり、空室対策としてはニューマーケットとして大きく期待が出来る存在である。

令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁

国別では、ベトナムが増加。
日韓関係の改善で韓国からの入国も期待したい

国籍・地域別 在留外国人数の推移(上位5か国・地域)は、これまでは、中国・韓国という隣国と、日系人の多いフィリピン・ブラジルが多かった。

ここで特筆すべきは、ベトナムからの在留者の増加である。令和2年には、韓国を抜き2位に。いわば、「ベトナムからの入国者に借りて頂きやすい物件」となることは、空室対策として有効な施策のひとつといえるのだ。

一方で、韓国からの在留外国人は、日韓関係の悪化も影響してここ数年は減少傾向にあった。もともと、韓国籍の外国人登録者は、日韓併合前後における、いわゆる在日外国人が多く、賃貸物件の新規入居者としてインバウンド人材が少ない。むしろ、生まれも育ちも日本という人が多い。

ここ数年は、日韓関係は悪化していたものの、両政府の尽力により改善傾向にあり、増加を期待したい。

令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁

そういえば、コンビニのレジなどで、ベトナムならではネームプレイトをつけた若者と出会う事が多いと感じる読者も多いのではないだろうか。実は、彼らはほとんどが留学生。「出稼ぎに日本に来ている」のではない。

なぜなら、「コンビニでのバイト」でビザをとることは難しく、日本の大学や専門学校に通いながら、バイトをしているのだ。いわば、エリートである。

読者の皆さんが、逆に、ベトナムや中国でコンビニのバイトをするとなると、そう簡単ではなく、かなりの語学力がある人材である事は認識できるだろう。

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コンビニ業界や飲食店などでは、国際色豊かな店員が活躍している

コンビニ業界では、もはや、中国人やベトナム人の学生バイトなしでは、事業運営できないほどに求人環境は悪化しており、我々の生活にとって必要不可欠な存在になっている。

もはや外国人を
「受け入れる」か「受け入れないか」ではない。

このように賃貸経営を考えると、外国人入居を受け入れるのか受け入れないのか、という論点は、的外れでもある。国内人口が減る一方であり、「受け入れない」なら「それだけ空室リスクは高まる」と考えるべきである。

ラグビー日本代表、野球のWBC代表、テニス、国技である相撲。スポーツの世界では、もはや海外にルーツを持つ人や外国籍人材の活躍は当たり前となっている。

実は、歴史的にも、わが国は、渡来人による技術の伝来や、漢字や仏教、あるいは貿易など、諸外国との結びつきは高い。いつまでも島国前提で経営戦略を考えていくと、行き詰ってしまうというグローバル時代なのである。

スポーツの世界では、グローバル人材の活躍が前提となっている
スポーツの世界では、グローバル人材の活躍が前提となっている

築古・バストイレ一緒でも
気にしない

在留外国人のうち、日本にずっと住むと決めた「永住者」は30%。日本は移民の受け入れには慎重であり、海外にルーツを持つ人が、さあ、日本に移住してずっと暮らしましょうということは、なかなか慎重な対応を取っている。

また、10%はいわゆる在日という半島をルーツにする方々であり、日本で産まれ日本語を普通に話す人も多い。賃貸経営では、各々30万人近い技能実習生と留学生をイメージするのが良いだろう。

在留外国人は、日本人のように「新築がいい」「バストイレ別がいい」と入居条件には比較的寛容である。

なかなかオーナー理解が進まず、入居できる物件が少ないのも一因だが、海外では日本ほど新築志向が高くない。湯船につかる習慣もない。日本人に不人気な畳の間取りも、「和を感じる」と人気だったりする。

家賃を下げてもなかなか決まらなかった物件が、外国人に積極的に入居促進したら、家賃アップで満室になったというケースもある。

バストイレ一緒・築古・畳などの課題物件は、まずは門戸を拡げる検討を
バストイレ一緒・築古・畳などの課題物件は、まずは門戸を拡げる検討を

この際、家具家電付きやネット無料は非常に歓迎される。いずれ本国に帰国すると考えれば、家具は設置されているほうがお得であり、電圧が違う等、家電も設置されている方がリーズナブル。日本語でのテレビ番組より、ネット使い放題のほうが、本国のYouTubeやオンラインでのやりとりが可能というわけだ。

令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁

不動産会社は、国籍を理由に
外国人入居を拒むことは出来ない

外国人であるということを理由に入居拒否を行うことは「法の下の平等を定めた憲法に反する」という理由から、大阪地裁は1993年に賃貸住宅のオーナーに対して損害賠償を命じた。

この1件だけではなく、人権侵害に該当するという理由から複数の同様の判例が存在する。不動産会社が、部屋探しをする人が外国人という理由で不当に扱う事は違法である。

滞納リスクや、滞納したまま本国に帰ってしまう、日本の文化に馴染めない、ゴミのルールがわからないなど、文化の違いから、管理会社に拒否感があるとすれば、「そんなことは言っていられない」という環境変化を踏まえ、「外国人専用の家賃保証会社の利用」や「日本の文化や生活慣習を説明する日管協のDVD」などの活用が有効だろう。

オーナーの合意が重要

その一方で、オーナーには、自分の財産である所有物件を誰に貸すかという選択する権利が認められている。前述した大阪地裁の判決は、入居審査を通過した後に、外国籍であることを知り、オーナーが断ったため「差別」であり「損害賠償」となったが、通常の入居審査は、収入や家賃返済能力など様々な要件で審査され、審査落ちとなった理由は明かされない。

すわち、空室対策の一手として、これからは外国人の入居促進が重要であり、オーナーの懸念するリスクを管理会社としていかに減らしていくかが、とても重要なのだ。

すでに国内の18歳人口は減り、学生の地元志向も高まっている。各大学は「海外からの留学生を受け入れないと経営が立ち行かない」という水準になっている。

外国人留学生は、コロナ前31万人となり、30万人を目指していた国の目標は達成された。ここ2年間は、新型コロナ感染拡大の影響での入国制限で、2021年24万人と減ったが、一気に増えることが期待されている。岸田政権では、2022年8月に「留学生30万人計画をさらに増やす」と発表している。

文部科学省「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について 令和4年3月30日
文部科学省「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について 令和4年3月30日

不動産会社が留学生を雇用し、
その模範となるべきタイミング

全国各地の不動産会社が、この外国人入居に向けて、専門の部署を創るなど取り組んでいる。

東京都のイチイ、福岡県の三好不動産、広島県の良和ハウスといった地方の雄が、従業員に外国人を雇用し、専任部署を創って対応している。

接客だけでなく、督促やクレーム対応も、同じ言語で話す外国人が対応することは、スムーズな仲介・管理に結びつく。またなによりも、オーナーとしても、身近な管理会社の従業員が外国からの在留の方であれは、悪い先入観を持たず受け入れやすくなる。

例えば、中国人の入居者さんが滞納をした場合にも、中国語では、その事情の正当性をもの申すように、発音も強い口調で入居者側は主張する。

いいえかれば、我々日本人にはけんか腰にむこうがなっているかのような印象となるかもしれない。だとすると「行間を読む」「なんとなく察する」といった日本の文化に慣れている日本人よりも、同じ中国語で、しっかり管理会社が主張する事で、トラブルの解決が進むということもある。

なかには宅建をもっている外国人スタッフもある。どうだろうか。賃貸物件オーナーが中国やベトナムで、国家資格をその国の言語で取得することが容易でないことは想像できるはずだ。そうした人材に仲介管理してくれるならば、受け入れも拡がるのではないだろうか

不動産会社の従業員もグローバル化していく流れである
不動産会社の従業員もグローバル化していく流れである

「仕方ない外国人にも貸してあげるか」ではなく
「日本を選んでくれた外国から来た人に借りて頂く」

岡山県美作市が、平成29年、ベトナム社会主義共和国と友好の証として、ホーチミン主席の銅像を寄贈され、その贈呈式が開かれた。

美作市は、積極的にベトナムとの交流を図っている。
さて、おそらくは日本人であっても、なかなか「岡山県美作市で働く」という選択肢は考えないのではないだろうか。

そんな中、ベトナムから来る人に、「韓国や中国ではなく日本を選んでほしい」「東京都や大阪府ではなく岡山県を選んでほしい」「岡山市や倉敷市ではなく美作市を選んでほしい」という姿勢=スタンスに学ぶべき時代なのだ。

昨今では、円安で、日本で働いてもドル換算では収入が減っている。これがインバウンド人材における環境なのだ。

「日本で働かせてやる・学ばせてやる」「外国人にも住まわせてやる」というスタンスはもう捨てたほうが良い。「数ある国から日本を選んでいただく」「外国人に、所有している空室に住んでいただく」というスタンスに切り替えるべきタイミングなのだ。

執筆:上野典行(うえののりゆき)

上野典行

■ 主な経歴

プリンシプル住まい総研 所長。1988年リクルート入社。
大学生の採用サイトであるリクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。 2008年より賃貸営業部長となり2011年12月同社を退職し、プリンシプル・コンサルティング・グループにて、2012年1月より現職。
All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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