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インフレ時で運営コストも大幅上昇。そんな時「家賃の値上げ交渉」はできるのか?

賃貸経営/空室対策 ニュース

2023/05/24 配信

インフレが進行しており、不動産オーナーとしては、リフォーム費用、金利、設備の修繕費などの運営コストの上昇に直面しているはずだ。

コストばかりが上がっていて、家賃を上げられないのはどうしたものか…。

このような状況下で、家賃の値上げ交渉を行うことは可能なのだろうか?その可能性と成功のためのポイントをご紹介したい。

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家賃アップをできる物件、
できない物件

まず、市場の空室が多いエリアでは、供給過剰による空室が家賃の値上げを阻んでしまう。よって運営コストが上がるからといって、家賃を上げれば他のライバル物件に人が流れてしまうことになる。

一方、入居率が高い地域に関しては、需要が安定しているのであれば上げられる可能性は十分にある。

空室がでた時に入居までの募集期間が1ヶ月以内の物件に関しては、家賃を上げられる可能性が十分にあるのだが、やみくもに上げていいということでもない。そこには借地借家法第32条が関わってくる。

■借地借家法第32条と
賃貸借契約の条文

借地借家法第32条には、下記のような条文がある。

ーーーー
(借賃増減請求権)
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
ーーーー

さらに賃貸借契約には、この条文をもとに、通常下記のような文言が入っているはずだ。

ーーーー
貸主及び借主は、次の項目に該当する場合には、協議の上、賃料を改定することができる

1.土地または建物に対する租税、その他負担の増減により賃料が不相応となった場合

2.土地または建物の価格の上昇、または低下、その他経済事情の変動により賃料が不相応となった場合

3.近隣の同種の建物賃料に比較して、賃料が不相応となった場合
ーーーー

簡単に言えば、家賃を上げるには「正当な理由」をもとに、「貸主と借主が合意」の上でなら、家賃を上げることができるわけだ。

それでは、実際に家賃を上げるためには、どのような手順を踏めば良いのだろうか。

■家賃値上げの手順

1近隣相場の確認や、運営コストの確認

まずは、周囲の同様の物件や地域の市場動向を調査する。物件の立地や設備、その他サービス内容などを比較することで、現在の家賃水準との関係を把握する。

その上で、適切な値上げ幅を設定することが重要となる。さらに税金が上がっていることや、近隣での賃料が上がっている事例や、運営コストなどが上がっている根拠を明確にする。

家賃を上げるための「正当な理由」なので、そのためのエビデンスを集約する必要がある。

2管理会社と相談

なんといっても、自主管理である場合を除き、管理会社が前面に立って入居者に交渉をしてもらうことになるため、まずは管理会社の担当者と協議したい。

管理会社としてみれば、余計な仕事が増えるのであまり積極的な回答をもらえない可能性があるため、ここはオーナーと管理会社との信頼関係が問われる。

3入居者への交渉タイミング

家賃の値上げ交渉は、タイミングと準備が成功のカギとなる。通常は、契約更新で行うことになるが、通常の更新のやり取りよりも少し前段階からスタートしたい。

また、値上げ交渉に向けては、事前に適切な資料や提案書を準備し、交渉の際に説得力を持たせることが重要だ。

4入居者が合意しない場合

入居者が条件改定などを飲んでくれれば問題ないが、生活費が上がっている昨今、通常は嫌がる入居者がほとんどだろう。

家賃値上げは貸主と借主が合意したものでなければいけないため、貸主が勝手に上げることはできない。

入居者が合意しない場合は、法的手続きが必要だが、大幅の値上げでもない場合は、通常そこまでの手間をかけることはしないだろう。

5入居者にも特典を与える

ただの値上げは、反対されることを前提に考えた方が良い。そこで入居者にも何かしらのメリットを与えて、バーターの取引交渉で進めたい。

たとえば、更新料を免除や半減するなどをして、更新時のイニシャルコストを下げつつ、家賃でランニングコストを上げていくような、オーナー側からの譲歩は有効である。

更新料を放棄したとしても、すぐに元は取れるし、何より家賃を上げることで資産価値は上がるため、特に直近で売却を考えている場合などは、非常に有効な手立てである。


入居者の気持ちに
寄り添うことも大事

家賃の値上げ交渉は、入居者との対話を重視することが重要です。事務的で一方的に通知を出したりすれば、入居者の立場や経済状況を無視することになるので、心象を悪くしてしまう。

できるだけ丁重に、折衷案や妥協点を探りながら、双方が納得できる解決策を見つけることが大切だ。順序を踏んで、感謝の気持ちを伝えつつ値上げの話をすることが重要となる。

執筆:今井基次(いまいもとつぐ)

今井基次

■ 主な経歴

みらいずコンサルティング 代表取締役
賃貸・売買仲介の実務を経て、中堅不動産管理会社へ入社。
収益不動産売買仲介の実務の後、不動産管理会社への業務コンサルティングを14年間行い、これまで200社以上の企業を担当。
管理会社へのコンサルティングを通じて、多くの大家さんの稼働率向上を行ってきた。
オーナーセミナーや不動産会社向け研修など、毎年80回以上講演を行い延べ3万人以上もの人が聴講してきた。自らも不動産投資を行なっている。
保有資格:1級FP技能士,CFP,CPM,CCIMなど多数。

■ 主な著書

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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