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ほんとうに家賃は上がっているのか? 「煽り記事」に騙されずに、収支をあげていくには

賃貸経営/空室対策 ニュース

2024/06/19 配信

物価高を煽る記事が多く、「ラーメン一杯1000円の壁を越えた」「労働組合のベアが軒並み満額回答」「キャベツが1000円!!」といった記事と共に、「給料が上がっていないのに家賃が上がっていて困る」といった報道も目に付くようになった。

一方で、収益物件オーナーも物価高の折、収支が改善されなければ、可処分所得は落ちてしまう。では「物価高の折、家賃もあげます。よそも上がっているでしょ」は、本当だろうか。

物価上昇の折、本当に家賃は上がっているのだろうか。 報道と実態を冷静に見極めたい
物価上昇の折、本当に家賃は上がっているのだろうか。
報道と実態を冷静に見極めたい

■東京23区ファミリー向き物件の賃料が1年で3.2万円上昇

LIFULL HOME’Sマーケットレポートによると、【2024年1~3月 まとめ版】では「賃料上昇が止まらない東京23区。ファミリー向きは1年で3.2万円上昇、シングル向きは初めて10万円超える」とある。この記事を読めば「なるほど家賃は上がっている」となり「ならばうちも上げよう」と考えるのが、収益物件オーナーの立場である。

LIFULL HOME'S PRESS調べ(2024年3月掲載)
LIFULL HOME’S PRESS調べ(2024年3月掲載)
LIFULL HOME'S PRESS調べ(2024年3月掲載)
LIFULL HOME’S PRESS調べ(2024年3月掲載)

こうした記事で論点となるのは「大都市圏のデータ」という話である。

実際に、2024年6月11日の公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の総会で、講師の方が「23区ではこんなに家賃が上がって」と話した際に、会場では「ざわざわ」と「へー、東京ではすごいねー」といった小声が漏れた。

このデータでも、「東京23区のシングル」で、93,744円→101,232円と捉えるか、それとも「いやいや、京都や愛知は1,000円ぐらい上がったって話だよ」と捉え方は、収益物件の場所次第である。

■アットホームのデータでも上昇

アットホームのデータでも、「平均」が「上昇」している事実は揺るぎがない。マンションタイプの平均募集家賃は、東京 23 区・東京都下・神奈川県・埼玉県・千葉県・札幌市・仙台市・名古屋市・京都市・大阪市・福岡市の 11 エリアが全面積帯で前年同月を上回っている。

特に、「マンション・ファミリー向き」が 5 カ月連続して全 13 エリアで前年同月を上回っており、東京都下・神奈川県・千葉県・仙台市・名古屋市・大阪市・広島市の 7 エリアは2015 年 1 月以降最高値を更新している。

アパートタイプも、ファミリー向きが 2 カ月連続して全 13 エリアで前年同月を上回っており、東京 23 区・神奈川県・埼玉県・千葉県・名古屋市・神戸市の 6 エリアは 2015 年 1月以降最高値を更新している。

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2024年3月の全国主要都市における賃貸マンションの平均家賃(アットホーム提供)
2024年3月の全国主要都市における賃貸マンションの平均家賃(アットホーム提供)

こうしたデータをもとに、大手新聞社では、「家賃も上がっている」と、「電気・ガス・食料品に続いて家賃まで」と報道をしているが、ライフルホームズもアットホームもあくまで「募集賃料」であり、「生活者の家賃が押しなべて上がっている」というのは、やや煽動的な表現であると思われる。

■実は、「募集」の「平均」賃料はずっと上がっているが、実態の賃料は上がっていない

こうした「募集時」の「平均賃料」は、実は、ずっと上がっている。しかし、実態の「生活者が払っている」賃料は上がっていない。
この矛盾は、ずっと起こっている。

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総務省の統計局が調べている消費者物価指数の調査では、当然、入居者が支払っている家賃についても、毎月調べている。図の青い部分である。赤い折れ線の消費者物価指数は急上昇しているが、支払っている家賃は急上昇していない。

ところが、レインズに登録されている「家賃」のほうは、どんどん上がっている。このケースでも「東京23区では」という条件つきではあるが、昨今の物価高の以前から、ずっと上昇している。

「東京では上がっているけど、地方ではまだまだ」という論点だけでなく「募集の賃料は上がっているけど、実際に払っている家賃は上がっていない。特に更新時に『来月から家賃があがりますよ』という交渉は大変で、そんなに生活実態としての家賃は上がってない」ということが容易に推察されるのである。

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■報道される「家賃アップ」の記事の落とし穴

なにより、ライフルホームズ、アットホーム共に、「募集時の賃料」であるだけでなく「築年に関わらず平均で出している」という点が、「マーケット全体が上がっている」という誤解のもとではないだろうか。

「平均の募集賃料は確かに上がっている」けど「それは新築の家賃が高すぎる」からであることはこれまで、何度も論じてきた。

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建築費の上昇により、新築物件を建てる際の利回りの確保のため、新築はかなり強気な家賃設定となっている。

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しかるに「平均賃料」は上がって見えるが、その新築はなかなか決まらず、結局、「フリーレントをつけて、無理やり満室にする」といってことも現場では起こっており、賃貸物件で暮らす人の生活費の住居部分が高騰しているとは言い難いのが現場の実情である。

電気代やキャベツの値段は国民一律に上がっているが、家賃は「新築の募集賃料ばかりが高い」という現場実感値は強い。

■では、実態はどうなのか募集賃料を築年別に比較してみた

これまで述べたように、「入居者の生活コストはそれほど上がっていないのではないか」、という仮説に立ちつつ、「とはいえ、募集賃料は諸物価高騰の折、築古でも上がっているか」を調べてみた。

2023年7月13日・2024年6月1~3日スーモ掲載物件による。プリンシプル住まい総研株式会社調べ
2023年7月13日・2024年6月1~3日スーモ掲載物件による。プリンシプル住まい総研株式会社調べ

全国調べるのは、三日間かかったものの、このままではわかりにくいので、平均でみると以下の図のようになる。

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たしかに、新築・築浅は上がっている。新築物件の家賃が、6.4万円→6.7万円。築1-5年物件が、6.3万円→6.5万円と上がっているため、全体の平均賃料では、4.6万円→4.7万円と、1000円募集賃料は上がっている。

しかし、築古ではなかなか上がっていないのが実情なのだ。このように家賃は、現状では築年数との相関が激しく、新築と築古で倍近く相場が開いているため「平均賃料」で語る事は、国民生活の視点や、収益物件オーナーが今、所有物件の募集賃料や更新賃料を上げられるかというと、なかなか上手く行かないのが実情なのだ。

首都圏では、築年を問わず上昇傾向だがまだまだほかの地域では、そうはいかない

こうして比較をすると、図のように、首都圏、特に東京23区では、築年を問わず家賃は上昇機運にある。しかし、まだまだほかのエリアでは、平均賃料を、新築・築浅があがけている状況にあり、なかなか築古は家賃をあげて決めるには、設備強化やリノベーションなどが必要である。

しかし、これまでこのコラムで述べてきたように、設備強化やリノベで家賃アップが成功しているケースも増えており、収益物件オーナーとしては、是非とも不動産会社と対策を考えていきたい。

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2023年7月13日・2024年6月1~3日スーモ掲載物件による。プリンシプル住まい総研株式会社調べ
2023年7月13日・2024年6月1~3日スーモ掲載物件による。プリンシプル住まい総研株式会社調べ

瞬間的な家賃数値であり、昨年の7月と今年の6月を比べている点も含めて、異論もあるかもしれないが、新築・築浅の家賃が高い一方で、築古はまだまだ家賃が上がっているとは言い難い。首都圏・都心では強気の賃料で築古も募集が始まっているようだが、そのほかの地域では地域差はまだまだある。

とはいえ、家賃アップしなければ可処分所得は上がらない

このように、「センセーショナルに家賃が全国で上がっている」というのは、ややミスリードであり、世帯数が減少局面にある中、なかなか家賃は上げ切れていない。

しかし、連合もゼンセンもベア回答は「満額」が並び、世の中はインフレに転じている。例えば、修繕費や清掃費など外注費用はあがる傾向にあり、政府も、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を発表し、これら、修繕費や清掃費などの値上げ要求を突っぱねる事は、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」にあたり、係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組みをするよう要請している。

そう、収益物件オーナーも、管理会社も仲介会社も価格転嫁=家賃アップをしていかねばならない。

しかし、全体が上がっているというわけではないため、「設備強化」などを行い、物件の競争力をあげ、築年によりダウンを抑えていくのが順当な戦略である。このコラム記事の連載での、昨年の「水戸モデル」が理想的なのだ。
参照→「家賃が2000円上がっても、入居者が喜ぶ」?! 設備強化で満室にする「水戸モデル」の秘密

水戸の家賃アップと設備の装着率の推移(プリンシプル住まい総研調べ)
水戸の家賃アップと設備の装着率の推移(プリンシプル住まい総研調べ)

変化の激しい今日。実態を正しく調べたうえで、それでも収益物件の収支改善のため、オーナーも管理会社も今一度、物件の競争力アップに向けて、取り組みを地道にしていくことが重要なのだ。

執筆:上野典行(うえののりゆき)

上野典行

■ 主な経歴

プリンシプル住まい総研 所長1988年リクルート入社。
大学生の採用サイトであるリクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。 2008年より賃貸営業部長となり2011年12月同社を退職し、プリンシプル・コンサルティング・グループにて、2012年1月より現職。2024年より、プリンシンプル住まい株式会社として独立。
All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長。中国ブロック・副ブロック長。
全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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