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何年も空室だった部屋が手間もかけずに入居決定、しかも家賃アップ!?「入居者DIY賃貸」という奥の手。

賃貸経営/DIY ニュース

2019/02/13 配信

海外では日常的に行われているDIY。日本でもようやく認知が進み、最近では賃貸物件でも「DIY可能」をうたった募集例も増えつつある。すでに5人に1人が賃貸物件でのDIYを実施しているという調査結果もあることから、潜在的な需要も高まってきているようだ。まずは、DIY賃貸にどういったメリットがあるのかを知っておこう。

■“隠れDIY”が増加中
リクルート住まいカンパニーの調査(2017年度賃貸契約者動向調査/首都圏、2018年5月実施)によると、賃貸入居者のDIY・カスタマイズ実施経験率は18.9%と全体の2割弱を占めているという。3年前(2014年度11.4%)と比べ一気に増えていることも特徴といえる。

(出典・リクルート住まいカンパニー「2017年度賃貸契約者動向調査」より) ※過去住んでいた賃貸住宅、現在住んでいる賃貸住宅のそれぞれについて、 「入居時に実施したことがある」「入居後に実施したことがある」「実施したことはない」 「過去賃貸住宅に住んでいたことがない(過去の住宅のみ)」のいずれかを選択する形式で聴取 ※過去現在いずれかの住宅で「入居時に実施したことがある」「入居後に実施したことがある」  と回答した人のスコア
(出典・リクルート住まいカンパニー「2017年度賃貸契約者動向調査」より)
※過去住んでいた賃貸住宅、現在住んでいる賃貸住宅のそれぞれについて、 「入居時に実施したことがある」「入居後に実施したことがある」「実施したことはない」 「過去賃貸住宅に住んでいたことがない(過去の住宅のみ)」のいずれかを選択する形式で聴取 ※過去現在いずれかの住宅で「入居時に実施したことがある」「入居後に実施したことがある」 と回答した人のスコア

実施したことがあるDIY内容としては、壁への収納(棚やフック)機能追加、照明器具の変更、トイレの温水洗浄便座への変更など「機能改善」が目的で、好き勝手にやっているわけではない。賃貸物件に住む筆者も、自分で温水洗浄便座を取り替えた(もちろん原状回復義務があるので元のフタは保管中)。

しかし原状回復義務があるが故に、不動産会社もオーナーも知らぬ間に追加された機能は撤去され、もとの状態に戻されているということ。部屋の付加価値を高めることができると考えれば、入居者の自己負担で改善した機能・設備は生かしたほうが得策だろう。

エアコンや温水洗浄便座などの追加設備などについては、場合によっては買い取りという判断があってもいいかもしれない。

■メリットは「物件価値の向上」
DIY賃貸のメリットとしてよく言われているのは、物件価値が上がり家賃を上げることができるという点。入居者が住みやすい形にDIYし、次の入居者がそれを引き継いで住みことができるという入居者メリットに加え、オーナー側も工事費などのリスクがないからだ。
例えば福岡県の吉浦ビルでは、築40年以上のマンションをDIY・リノベーションOKで賃貸しているが、5年間空いていた家賃2.7万円の部屋をスケルトンで4.3万円のDIY賃貸で募集したところ即入居が決まり、退去後に4.8万円で決まったという。

吉浦ビルの1室
吉浦ビルの1室

同社の場合、最初はスケルトン状態での募集のため、家賃3年分(家賃5万円なら180万円)をDIY予算として計画し、設計者を入れて入居者とDIY内容を決定。給排水・電気工事や水周り設備の導入で約9割の予算を占めるため、残り1割が内装費用という計算だ。

予算内に収めるには必然的に入居者自身のDIYが必須となる。そのため、必要道具の貸し出しや材料倉庫を用意するとともに、契約後2カ月を施工期間としてフリーレントにしている。入居者はその期間中にある程度作り込み、その後は住みながら内装を仕上げていくことが多いという。

オーナー側も、3年住めば投資回収ができるため費用面でのリスクが少なく、原状回復義務を付けないため、退去後の工事もなく簡単な清掃のみで次の入居者の募集をかけることができる。

入居者側も自分で手掛けることで愛着を持って住むため、入居期間は長くなる傾向にあり、退去しても部屋の価値が上がっているため家賃アップが図れるという。

■事前に内容を把握することで不安払拭
一方で、「どうなるか分からないから不安」「あまりに個性的なDIYだと次の入居者が決まらないのでは?」といったオーナー側の不安が、デメリットの1つとして指摘される。

8年前から改装可能な賃貸物件の検索サイト「DIYP」を運営する株式会社PAXでは、こういった不安を解消するため、DIY内容・予算を事前に示しオーナーに了解してもらうことを前提にし、また同社が間に入り、ある程度精査するようにしている。

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DIYの内容によっては、例えばバランス釜の取り替えやトイレの洋式化など大掛かりな工事などについては、オーナー側が一部費用を負担することもあるという。

原状回復については、DIY計画に基づく改修の完工を原状とし、退去時にはそこから判断する。ただし「入居してみないと住み心地は分からないし、入居中に生活が変化することは当たり前」との考えから、入居後の変更も事前に申告しオーナーが了解すれば対応可能にしている。

同社社長の村井隆之さんは、「入居者から、実際の住み心地や改善点、部屋のポテンシャルなど、オーナーがフィードバックを受けていくことも重要。それができるのがDIY賃貸」と指摘する。

DIYPでは、オーナーと借主が直接顔を合わせることになるためコミュニケーションが増え、最終的にトラブルも減るという。「オーナーにとってはその部分も大きなメリットになっている」と村井さんは話す。

入居者負担によるDIYでオーナー側に初期費用がかからない、という経済的メリットは大きいが、それ以上に予想を超える仕上がりにオーナーも喜んでくれる例が多いとのこと。そのため、プラスαで費用が発生するとオーナーが負担してくれることもあるという。

また入居者も、DIYによって住まいに愛着が生まれるとともに、自分が手掛けたDIYを見せたい、アピールしたいという意識があるため、SNSなどで写真をアップしたり、ホームパーテイーを開催したりすることも多いとか。

その結果、「入居期間が長くなり、仮に退去することになっても、入居者の友人・知人関係で次の入居がすでに決まっていることもあります」(村井さん)という。

■「家賃は下げない」。もう1つの“解”としてのDIY賃貸
一方、「DIYP」の特徴、他と大きく異なる点が、「家賃は下げない」という方針だ。

賃料決めについてはオーナーとの打ち合わせになるが、村井さんは「基本的には家賃を下げることを勧めない」。その代わり、フリーレント期間を設けて入居者が改装をしやくするような仕組みを提案する。入居者が改装に予算や時間を使えるようになるとともに、満足のいく改装になれば、その後の入居期間にも影響があるからだ。

「家賃を下げてDIY可能にするよりも、打ち出し方でリーチを広げた方がいいのではないかと。DIY賃貸市場が定着・普及することが、結果として空き家・空き室対策にもつながると思う」と村井さんは話す。

そう考えたのは、村井さんの海外生活が大きく影響している。以前ブルックリンに住んでいた村井さんは、友人たちがDIYしながら住空間を作り上げていく姿勢に刺激され、自身もその楽しさに魅了されたという。

一方、日本の賃貸住宅は万人受けする作り方が多く、住む人もその“箱”に合わせて生活することに慣れている。

しかし入居者それぞれに好みや個性があり、「白いクロスの壁や新建材の床などを使い、多くの部屋が同じようなデザインなのはなんでなのだろう。それを好む方もいれば、そうでないものを求める人もいるはずなのに、バリエーションや選択肢があまりに少なく、自由度や生活する上での空間的な楽しさという点が足りないのではないだろうか」。ブルックリンから帰国し、日本で生活する中でその想いを強くしたという。

賃貸市場の空き家・空き室対策は、家賃を下げるかリノベーションしてバリューアップするかの2種類あるが、村井さんは もう1つの“解”として「DIY賃貸」を考えた。

DIY人口は全体のパーセンテージから見れば少ないが、一定規模存在することは実際にサイトを立ち上げマーケットを作ってみると明確になったという。

一方、DIY賃貸は貸す側に市場を作っていく必要もある。そこで、オーナー側が感じる不安・リスクを解消する「改装プランの事前確認」の仕組みを導入した上で、家賃を下げずに価値を高めるという差別化策を提案した。

実際に動き出してみると、問い合わせの大半は「DIYできる賃貸物件に住みたい」との声が多く、家賃価格の値下げニーズはあまりないという。家賃よりもDIY賃貸への需要が上回ってきていることの現れだろう。

またサイトを立ち上げ当初は、不動産会社を回ってDIY可能物件を探してもほとんどなかったというが、メディアで紹介されたこともあり直接オーナーから問い合わせが入ることが多くなり、「オーナー側にも新しい動きや、時代の流れに積極的に参加して行こうという姿勢の方が多いことがわかった」とのこと。

さらに最近はDIY自体の認知も高まり、オーナー・入居者ともに詳しい人が多くなったことで、DIYに対する不安もスタート時から比べると軽減されてきているという実感もあるという。

■“Face to Face”を生み出す新たな仕掛けも
もちろん、DIY賃貸だからといって入居者すべてがDIYを行うわけではなく、前の入居者のDIY物件にそのまま住む人もかなりいるとか。

「それでもいいんですよ。前提としてDIY可能だというフレームがあることが大事なので」と村井さん。釘1本からどこまでの変更を相談できるかということが事前にわかっていることが大切だという。

また100%満足できる物件はない中で、DIY好きな入居者は自分の100%を目指す人が多い。そのため新築よりも築古だったり、ほぼスケルトンの物件など、改装範囲がより広い方が人気だという。

さらに同社では、新たに貸主が入居者募集を行うことができ、借主と直接つながるサイト「SPACELIST(スペースリスト)」も立ち上げた。物件の募集情報を貸主自らが自分の言葉と写真で掲載することができる。問い合わせがあったのちに、不動産業者に依頼して案内業務や契約業務を行ってもらうサイトだ。

物件情報の掲載についても、成約に至った際も同サイトへの費用発生はなく、無料で利用できる。入居者から問い合わせがあっても同社を通す必要はなく、依頼している管理会社などに契約業務等を依頼することが可能だ。

DIYPを通じてオーナーと関わっていく中で、自分で入居募集をかけたり、写真を撮るのがうまかったり、Facebookのフォロワー数が多いといったオーナーがかなりいることに気づいた村井さんは、

「不動産業者が行う募集に加えて、物件について一番理解が高い貸主も並行して募集を行うことで、借りたい人へリーチする可能性が高まる。今後、空き家率の増加に伴い、需給バランスを考えてもCtoCの仕組みは不可欠」

と、同サイトを思い付いたという。

オーナーと借主の関係が密になれば、物件の住まい具合といった情報も共有でき、トラブルも軽減することは、DIYPで確認済み。村井さんの賃貸市場の可能性の探求は、まだまだ続いていきそうだ。
住まい勝手を知る入居者がDIYを行うことで、より快適な住空間となり、それが物件の価値向上にもつながっていくDIY賃貸。次回から、実際の入居者DIY事例などを紹介する。

健美家編集部(協力:玉城麻子)

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