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「DIY賃貸」の要は“センスある感度の高い”入居者。DIY賃貸、不動産会社の取り組み・前編:

賃貸経営/DIY ニュース

前回、「DIY賃貸」のサイト運営者からみた入居者DIYのあり方について紹介したが、今回は不動産会社での取り組みを紹介する。横浜市鶴見区の岩崎興業地所は、綱島・大倉山・鶴見の各駅からちょうど真ん中に位置する駒岡を中心に事業展開する不動産会社。

この数年の間に自社リノベーション物件をDIY可能に切り替え、「DIY賃貸」に取り組んでいる。

■「センス」「DIY能力」がある入居者を選ぶ
同社のDIY賃貸は、入居契約前にDIY工事内容の許可を取ることが前提だ。同社側で水周り・電気工事といった専門工事を行い“最低限住める状態”にするが、入居者には“ほぼ”スケルトンで引き渡している。

提出してもらう工事内容・計画書のフォーマットは定めず、DIY方法についても特にマニュアルやガイドラインなどは決めていないという。

6年ほど前から築30年を超える自社物件の空室が目立つようになってきた同社では、空室対策と差別化を兼ね、最初はリノベーションに取り組んだという。

その甲斐あって空室も埋まるようになっていったが、「リノベーションは提供する側の考えで行うため、投資しすぎてしまったり、リノベしすぎたりと、入居者とのミスマッチが少なくなかった。あれこれとしていく中でDIY賃貸に行き着きました」と、賃貸営業を担当する同社専務の岩崎祐一郎さんは話す。

ただし、募集方法や打ち合わせのポイントなど、わからないことばかりで手探り状態。ミスマッチをなくすために、オーダーメード原状回復工事も試した時期もあったそうだ。

「当社はオーナーでもあり管理会社でもあるので、投資効率を考えることは必須ですが、その上で入居者の希望もかなえたい」と、相反する部分を両立させるため、とにかく試行錯誤を繰り返した結果、ここ最近になって「ようやくDIY賃貸の形がみえてきた」という岩崎さん。

DIY賃貸に必要なことは、「入居者のセンスとDIY能力を見極める能力」と「センスある入居者を獲得するノウハウ」だと指摘する。オーナーや管理会社側がこれらをもってクオリティコントロールできれば、価値を継続的に向上させるDIY賃貸が実現できる、としている。

原状回復前の物件に申し込んだ入居希望者が提出した提案書
原状回復前の物件に申し込んだ入居希望者が提出した提案書
DIY前
DIY前
DIY後
DIY後

■大切なことは“コミュニケーション”

では“センス”“DIY能力”を見極めるにはどうすればいいのか―。

岩崎さんいわく「コミュニケーションに尽きる」。同社の場合、まずリノベーション物件に問い合わせてきた入居希望者にアプローチするところから始まる。

リノベーションやDIYなど、“手を入れる”ことに興味がある、という大枠の傾向を持っていることが最初のステップとなる。同社のリノベーション物件は40〜50件あり、1つとして同じデザインはない。そのため、それら物件への問い合わせ段階で、個々の好みがある程度つかめるという。

次にヒアリング。来店時や内見時で交わす会話や物件写真など見せながら、ライフスタイルや住まいへのこだわり、DIYへの興味の度合いを推し量る。「話してみると、リノベーション物件に住みたい訳ではなく、自分らしい住空間を求めていることが多い。

そういった傾向が強いと感じた人に対して『DIY賃貸もありますが、どうですか?』と勧めてみる」(岩崎さん)。2〜3時間かけてじっくりと向き合って話していく中で、入居希望者のセンスやDIYレベルなどを見極める。クオリティコントロールのためにもこのヒアリングは欠かせない工程だ。

ただ、見極めて声をかけても、最終的にDIY賃貸として契約できるのは1割程度。そう考えると非常に手間のかかる作業だが、岩崎さんは、このヒアリングを通じて入居希望者との間に信頼関係が構築されるため、「DIYの工事内容や入居後の関係も良好になり、コミュニケーションコストが下がる、という点が大きなメリットだ」と話す。

■「値引きなし・スケルトン渡し」にもこだわり
さらにこだわっている点は、「家賃の値引きなし」「スケルトン渡し」だ。

以前は、家賃を下げて募集をかけたこともあったが、「『リフォーム代をもらえるならやってもいい』『DIYしてあげるから家賃下げて』という人が多くて、“安かろう悪かろう”になる可能性が高かった」という。

値引きをしないことはいい意味での心理的プレッシャーとなり、「経済的余裕がないとできないため、遊びで入る人もいなくなる」とのこと。安い家賃を売りにするのではなく、DIYできることをバリューとして提案することが、DIY賃貸物件の価値を高めることにつながっていくと指摘する。

またスケルトン渡しは、DIY賃貸の必要最低限のスタートラインとしている部分。通常、退去後のオーナー投資は原状回復費用プラスαで済むが、DIY賃貸の場合、既存設備がそのままだと入居者が解体・撤去しなければいけなくなる。

費用負担を含めてマイナスからのスタートになれば「DIY=楽しい」の構図が成立せず、また仕事をしながらの作業となるため、DIY自体も中途半端になってしまう可能性が高いという。スケルトンになっていれば、すぐにDIYに着手できるためプラス発進でき、精度の高いDIYが期待できる。

DIY before
DIY before
DIY after
DIY after

そのため、岩崎さんはオーナーとのすり合わせにも時間をかける。そもそも空き家・空き室になっている物件は、手を入れられないところが多く、解体・撤去などの費用負担も避けたがる傾向も強いという。

DIY賃貸が物件価値の向上につながることを理解してもらうため、納得するまで丁寧に説明を重ねるという地道な努力も、DIY賃貸を成功させる大きなポイントになっているようだ。

健美家編集部(協力:玉城麻子)

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