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自転車利用者急増。シェアサイクルポートに空地を提供という手はどうだ?

賃貸経営/空家・遊休地活用 ニュース

2020/10/12 配信

写真AC/八木迷々 通勤は自転車で
写真AC/八木迷々 通勤は自転車で

コロナ禍で自転車の利用が増加している。たとえば、SBI日本少額短期保険株式会社のアンケート調査ではコロナ禍の影響による自転車利用については「増えた」「どちらかといえば増えた」との回答が全体の29.2%、減ったとの回答19.7%を大幅に上回っていた。

利用が増えた主な理由は「運動不足解消のため」が最も多く、次いで「満員電車の密を避けるため」、「在宅の時間が増え、近所で用事を済ませるようになったため」など。

また、利用用途としては最も多かったのが「買い物・通院など近所の移動」(77.1%)がトップ。ついで多かったのが「通勤・通学」で31.4%となっている。

しかも、「通勤・通学」で使っていると答えた人のうちの約4分の1がコロナ禍で自転車通勤・通学を始めたと回答しており、もともと自転車通勤・通学をしていた人に比べると、約33%ほどの人がコロナの影響で自転車通勤・通学を始めたという結果になっている。

もうひとつ、雑誌バイシクルクラブ編集部がNPO法人自転車活用推進研究会と共同で行った「コロナウイルス回復期の通勤通学への自転車利用に関するアンケート」では以下の点が分かったという。
・コロナ禍前後で自転車利用者が約20%前後増加傾向
・通勤距離 10km~15kmの場合は25%増加し、中距離勤務者が自転車にシフト傾向
・短距離移動で自転車を利用している人はヘルメットを着用せず、交通ルールを理解していない人も多い
・今後自転車利用者増加に伴い、短距離自転車利用者による事故が増える可能性
・趣味がサイクリングの会社員は比較的安全に自転車通勤できることが考えられる

小田急電鉄のリリースの中で説明されていたシェアサイクルのポートを設置するメリット
小田急電鉄のリリースの中で説明されていたシェアサイクルのポートを設置するメリット

コロナを機に自転車に目が向いているわけで、そこに目をつけた小田急電鉄では10月13日から沿線の世田谷区内部でシェアサイクルサービス「ダイチャリ」の展開を実証実験としてスタートするとしている。

駅、駅周辺の商業施設の土地を利用、シェアサイクルを配することで地域の利便性を向上、賑わいに資する、さらに駅周辺の環境美化にも役立つと考えているのである。

では、不動産オーナーとしてこのニーズをどう生かすか。まず考えられるのは駐輪場の必要性を再考することだろう。現状、駐輪場は作っていないものの、空間が取れるのであれば駐輪場を作るという手である。

もうひとつ、住戸数分に近い駐輪場は難しい、だが、少しだけなら土地があると言う場合にはシェアサイクルのポートに貸すという手がある。自転車利用の増加同様、シェアサイクルの利用も伸びているのである。

現在、首都圏で展開されているのはウーバーイーツの配達員も多く利用している、赤い自転車が印象的なドコモ・バイクシェア、ソフトバンクグループの新規事業提案制度から生まれたシェアサイクル事業を通じて設立され、前述のダイチャリその他の地方のシェアサイクル事業とも連携しているHELLO CYCLING、そしていずれは電動キックボードへの展開を目指すLUUPなど。

特にLUUPは現時点では電動自転車を利用しているものの、他事業者よりもサイズが小さく、ポートとなる空地も軒先程度のスペースで可能である。

店舗店頭で見かけたシェアサイクルポート
店舗店頭で見かけたシェアサイクルポート

具体的にはLUUP自転車2台分で80cmx110cmまたは40cmx210cm)以上のスペースさえあれば良く、実際、コンビニエンスストア店頭、飲食店やクリニック店頭などごくわずかな空き空間が利用されている。

さらに10月6日からは大東建託グループの大東建託パートナーズと業務提携契約を締結、大東建託グループが管理する賃貸物件の空きスペースにポートが設置され始めてもいる。

ポート設置には初期費用、維持コストは無料で、業務用テープで駐輪スペースであることを示すのみなので、所要時間20分ほどで用意でき、原状回復も容易。

ユーザーとのやりとりは全てアプリを通じてカスタマーセンターが対応しているため、駐輪スペースを提供した側が対応する必要はない。申込みから早ければ2日、時間が多少かかっても10日ほどで設置できるという。

導入するメリットだが、ホームページには額は記載されていないが、設置台数と立地に応じて場所代が支払われることになっており、多少はお金が入る。店舗の場合にはアプリ上に店舗名が記載される、来店のきっかけになるなどがメリットとして挙げられているが、住宅ではその辺りは期待薄。

ただ、ここに物件があるとの認知には多少繋がるかもしれない。また、敷地内にあって利用しやすければ入居者が利用、物件そのものの魅力ではないものの、メリットと感じてくれるかもしれない。

ただし、2020年10月現在サービスが展開されているのは渋谷区、目黒区、港区、世田谷区、品川区、新宿区の6エリアの一部。今後は全国にという計画だそうだ。

ところで、他のサービスも含め、今後の発展に期待できるかどうかを判断すべく、今回LUUPを利用、それ以外のシェアサイクルのアプリもチェックしてみた。

アプリをダウンロード、地図で近くにあるポートを探す。利用できる台数などとポート自体の紹介が標示される。店舗であれば確かにコマーシャルになる
アプリをダウンロード、地図で近くにあるポートを探す。利用できる台数などとポート自体の紹介が標示される。店舗であれば確かにコマーシャルになる

まず、LUUPについてはちょうど展開エリアに居住していたため、複数のポートが身近にあった。だが、問題は利用できる台数が少ないこと。アプリには地図上のポートごとに利用できる台数、返却できる台数が表示されることになっており、これは他のシェアサイクルでも同じ仕組み。そして、どうやら、ここに問題がある。

現地に行ってみるとこのような形で用意されている。屋根がないので雨の日は辛い
現地に行ってみるとこのような形で用意されている。屋根がないので雨の日は辛い

ポートに利用できる台数がない場合にはそもそも使えないが、返却できるポートがない場合にはどこか返せる他のポートを探して返却しなくてはいけない仕組みになっているのである。空いているポートが近くにあれば良いが、そうでない場合には目的地から余分に歩く羽目になり、せっかく便利に移動しようと自転車を借りた意味がなくなる。

QRコードを読み取ってロックを解除する。かごなどは用意されていない
QRコードを読み取ってロックを解除する。かごなどは用意されていない

当然、その分の時間も加算されることになる。余分に払わされたという怨嗟の声がアプリの感想には多数並んでいる。電動式のため、充電が少なく、予定通り動けなかったという声や、トラブルがあって問合せても対応が酷いという声も多数。どうも、自転車よりもソフトに問題が多く、そこの改善が今後の普及の鍵となりそうなのである。

幸い、私の場合には近所に使えるポートがあり、借りる時点で返す場所も確認しておいたため、無事に利用することができたが、初回に借りられない、返せないとなった人はもう二度と利用しないはず。

また、LUUPは元から短距離利用を標榜しており、そう割り切れば道路の凸凹がストレートに伝わる小型のタイヤでも問題ないが、気にする人は気になるかもしれない。

他のサービスについても利用者のコメントを見ると、台数が少なく借りたい場所で借りられない、返却できない、返却時の作動がうまくいかない、自転車の状態が良くないなどまだまだ問題も少なくない。

とはいえ、今後の社会では利用が増えるモビリティのひとつであることは確か。今後の進化を期待しつつ、一度は各種経験してみておくと導入への心理的障壁が下がるのではあるまいか。

健美家編集部(協力:中川寛子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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