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空き家活用の妙手。物語のある古木でオンリーワンの空間作り

賃貸経営/空家・遊休地活用 ニュース

2021/10/11 配信

古民家、古材が評価されるようになってきた。古民家を利用した飲食店、宿泊施設などが増えてよく見かけるようになって馴染みのある空間になってきたことに加え、最近では環境問題、SDG’sに関心を持つ人たちが増えたことが大きな要因だろう。

東京・日本橋浜町にデザインスタジオ兼 ギャラリー&ストアスペースとして新築した“T-HOUSE New Balance”。築122年の蔵を移築して作られた空間で、今回取材させていただいた山翠舎が手掛けた
東京・日本橋浜町にデザインスタジオ兼
ギャラリー&ストアスペースとして新築した“T-HOUSE New Balance”。築122年の蔵を移築して作られた空間で、今回取材させていただいた山翠舎が手掛けた Photography:Takuya Nagata

以前から古民家、古材を取り入れた空間は落ち着くという評価があったが、それを実感する人が増え、同時に古民家、古材を資源として再利用することは地球環境にもプラスに働くと考えられるようになってきたというわけである。

古材施工の元祖が古材、古木をストックし始めるまで

広尾にある東京オフィスで。このオフィスにも古木が使われており、雰囲気が分かる
広尾にある東京オフィスで。このオフィスにも古木が使われており、雰囲気が分かる

では、不動産所有者としてはこの流れをどう捉え、利用すれば良いだろう。2006年から古民家や古木の活用を新事業としてスタート、古木を使って住宅や店舗を数多く手掛けてきた山翠舎(長野県)の三代目、山上浩明氏に聞いた。

山翠舎は1930年に初代が長野市で建具屋として創業、その後、住宅などの一般建築業を始め、1980年からは東京に進出、商業建築を中心に施工を手掛けてきた。有名なところでは1980年代に渋カジブランドの一端として一世を風靡したオクトパスアーミー(現存せず)の店舗施工を一手に引き受け、海外からの古材を利用した店舗を作っていたという。古材施工では元祖ともいえるわけだ。

「当時の古材は非常に高価で、新しい材の何倍もしました。なぜ、こんなものをわざわざ海外から輸入してきて使うのだろうと私の父である二代目(現会長)は思っており、それが印象に残っていました。そこで事業再構築を検討をしていた時、その当時の話から古材を利用したビジネスを展開しようという話になりました」。

IT企業勤務を経て2004年に同社に入社した山上氏は現場で以前から古民家が解体、廃棄されるのをもったいなく感じており、なんとか活用できないかと思っていた。

だが、それにはリスクもあった。建設会社は普通、ストックを持たない。材は必要な時にその都度買うもので、在庫として持つものではない。だが、古材をビジネスにするためには在庫を持つ必要が出てくる。在庫を持って売れなかった時にどうするか。

倉庫には大量の古木が集められており、こうしたストックがあるからニーズに応えられているのだろう
倉庫には大量の古木が集められており、こうしたストックがあるからニーズに応えられているのだろう

悩んだが、最終的には同社の職人たちの持つ高い加工技術、施工技術を信頼して、新規事業に踏み切ることに。長野県や新潟県には古民家が多く、古材を収集するのに地の利があることも考えたそうだ。

また、それにあたって、同社は差別化のため、業界初の他にはないやり方を考えた。価値を確立させるため、1本1本の材にラベリングを行い、トレーサビリティを構築し、従来の古材ではなく、あえて「古木」と名付けて商標登録を行っているのである。

単なる古材なら他でも手に入るかもしれないが、その材が使われてきた家の歴史や所有者の想いなどといった物語も含めた古木となるとその1本しかないことになる。

古材、古木の飲食店は続きやすい!

プライベートオフィスの施工例。建具、柱以外は一般的なオフィスだが、印象はかなり違う
プライベートオフィスの施工例。建具、柱以外は一般的なオフィスだが、印象はかなり違う

ただ、売るだけではなく、2009年には古木を使った店舗デザイン事業を開始、現在までに500店舗以上の飲食店を手掛けている。2013年には古民家の移築再生事業を開始、長野の古民家が熱海で旅館として再生されるなどの例も。もちろん、飲食店、宿泊施設だけではなく、オフィスや住宅も手掛けており、ウェブサイト内にある事例は実に多岐に渡る。

しかも、注目したいのは開業1年で10%が閉店するという飲食業界で、同社が手掛けた500店舗以上の飲食店の約8割強が現在も休廃業せずに存続しているという点。古木を利用することで魅力的な空間が生まれ、それが店舗存続に寄与しているのである。

こちらは喫茶店の施工事例。こんな雰囲気の住宅なら人気が出そうだ
こちらは喫茶店の施工事例。こんな雰囲気の住宅なら人気が出そうだ

不動産経営ではいかに魅力的な空間を作り、いかにその空間を大事に使ってくれる入居者を入れるかで長期的な安定が決まる。それを考えると古木の利用はひとつの手かもしれない。では、具体的にどのような利用があるか。

扉一枚から様々な取り入れ方が可能

こちらは銀座の無印良品の建物内にあるmuji hoteleのフロント前にある古木を利用したベンチ。内覧会で同社の古木とは知らずに撮影していた。ひとつあるだけで雰囲気が変わる
こちらは銀座の無印良品の建物内にあるmuji hotelのフロント前にある古木を利用したベンチ。内覧会で同社の古木とは知らずに撮影していた。ひとつあるだけで雰囲気が変わる

ひとつは部分的に取り入れる手だ。たとえば同社では蔵戸、格子戸などを販売しており、室内に1点、そうした部材が入るだけでも雰囲気はがらりと変わる。

以前、記事で取り壊された隣接アパートの部材を取り入れてリノベーションされた築古のマンションの事例を紹介したが、同物件の場合、相場より1割ほど高い賃料ながら募集から3週間ほどで全戸埋まっている。その例を考えると建具類や家具などの一部に古材、古木を取り入れるのは良い手かもしれない。

建物の印象を変える施工事例。全部に古材を使わなくても一部に使うだけで効果はありそうだ
建物の印象を変える施工事例。全部に古材を使わなくても一部に使うだけで効果はありそうだ。この手の使い方は他にも例があり、ほんの少しでも面白い効果を生んでいるものがあるので、ぜひ、チェックしてみて欲しい

リノベーション時に古材、古木を中心にした施工にするという手もある。前述の古民家移築の事例を見ると、一軒丸ごとを移築するのではなく、部分的に利用というやり方があり、これなら取り入れやすいのではないだろうか。

不動産所有者と料理人のマッチングというサービスも

もうひとつ、飲食店に向く立地であれば同社に改装とそこで経営に当たる事業者の両方を探してもらうという手もある。同社では2015年から飲食店の開業支援のビジネスを始めており、2021年には山翠舎オアシスという新しい仕組みをスタートさせてもいる。それが物件、不動産所有者と料理人のマッチング。

料理人が開業しやすいように事業者の与信、物件所有者によって保証金が変動、最大でゼロ円にする、事業計画書の作成を支援する、現状回復義務無しなどしており、そこに魅力的な古材、古木を使った空間が加われば、事業は成功させやすくなる。場を貸す側としては優良な店子に入ってもらえ、経営が安定することになる。

この初期コストというリスクを減らすことで潰れにくい店舗を作ってきたノウハウを生かした仕組みはビジネス界だけでなく、街づくりの文脈から地方自治体などにも注目されている。

「長野県小諸市と連携、空き家利用でカフェがオープンするなど、スタートして半年で3店舗に関わっています。この11月には長野市の善光寺門前、パティオ大門の隣にある、大家さんが困っていた物件を地元の信金からの相談で再生、オープンさせます。

1階に飲食、2階をオフィスとする予定で、このスタイルにしたのはそのエリアで自らがリーダーになって投資し、まちづくりをしていくことが大事だと思っているため。

飲食店を誘致し、オフィスを作ることで人の流れを作り、その相乗効果で来る人を増やせればと思っています。その中で地域の空き家情報を得られやくし、点を線にしながら地域を活性化していければと。

そこに共感してくださる方が増え、現在、同じような仕組みでやりたいと大阪を始め、全国各地から話が来ています」。

他とは違う差別化で安定経営を考える際の選択肢に古木、どうだろう。空間作りに有効なだけでなく、環境に優しいその他メリットは多々ある。事例も多数あるので、一度覗いてみると、新しい世界が広がるかもしれない。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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