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場所貸しの一手。空室、空き地をテレビや映画などのロケ地として貸すというやり方の妙味

賃貸経営/空家・遊休地活用 ニュース

2023/03/27 配信

ここ数年で短期間の場所貸しが一般的になった。会議に、リモートワークに、集まりその他にと用途は様々だが、そのひとつにロケ地という貸し方があるのをご存じだろうか。

テレビや映画、コマーシャルなどのための場所として貸すというもので、近年はごく普通のアパート、マンションやオフィスビルなどにもニーズがあるという。

ロケ地ニーズは近年増加中

話を伺った合同会社ハーミットクラブはロケ地を斡旋する会社。代表社員の白石陸平氏はタレントにマネージャーが必要なように、場所にもマネージャーが必要と考え、映画、テレビやコマーシャル、ミュージックビデオなどの撮影にロケ地を貸し出すマネジメントを行っている。

「近年、既存のテレビ、映画、コマーシャルなどに加えてNETFLIXやAmazon primeなどの配信系ドラマ、YouTubeの撮影や学生の自主製作映画などロケ地を必要とする新しいニーズが増加しています。製作予算が減っていることからセットを作るよりもロケをするほうが安く済むことも背景のひとつです。

一方で自治体もロケ地として使われることで地域のPRに繋がるとフィルムコミッションなどを作り、公園、役所などを斡旋、貸し出すようになっていますが、こちらは行政の施設が中心。

同じ一軒家でもどういうドラマでどんな人物が住んでいるかでニーズが異なる。多種多様な不動産情報が求められるわけである
同じ一軒家でもどういうドラマでどんな人物が住んでいるかでニーズが異なる。多種多様な不動産情報が求められるわけである

そのため、一軒屋、マンション、オフィス、カフェその他の店舗などといった民間の施設については私たちのようなロケーション情報を提供する会社が担っています」。

一都三県を中心に幅広い地域にロケ地

そのうちでも同社は一都三県を中心に2500カ所以上というロケ地情報を提供しており、数、サービスなどの面では業界内では大手のひとつ。

「最近では特に予算が厳しい例が多いので、立地としては首都圏近郊をと言われることが多いのですが、23区内ではかつての撮影隊のイメージが邪魔をしてNGという場所や、周辺との関係で使いにくくなっている場所などもあり、もう少し幅広いエリアを対象に考えるようになっています」。

昭和の住宅、かんかん階段のアパートなどに意外なニーズ

不動産の種類としてもさまざまな物件にニーズがあるという。

「特徴のあるデザイナーズマンションのような物件だと、登場する人物像に制約が出てしまうので、うまく合致すれば良いのですが、そうでない場合には普通の、いかようにも使える物件のほうが使いやすいようです」。

具体的にはファミリー向けのごく普通のマンションやビルなど。特にまるまる一棟使えるビルは人気だという。屋上、階段、踊り場、エレベーターホールにエントランスその他、場面ごとに違う場所として振り分けて一か所で撮影できるからだ。

ごく普通の、アパート、建物内などのニーズも高い
ごく普通の、アパート、建物内などのニーズも高い

「駐輪場やゴミ捨て場などニッチな場所にもニーズがあります。住宅で手堅いのは古民家。他にないからでしょう、さまざまな場面で使われています。昭和の、いかにものび太くんの家のような住宅、錆びた階段のある倉庫、古い商店街なども人気です。室内では散らかった子ども部屋をわざわざそのままで使いたいという例もあります」。

手間をかけてロケ地をマネジメントする理由

ロケ地として使ってもらう場合は同社への登録依頼からスタートする。登録の際には同社スタッフが現地に下見に行って各所を撮影。使いたいという問合せが来た場合には現地を案内、撮影が決まったら必要がある場合には近隣に挨拶に回り、当日も撮影に立ち合いをするというのが流れ。

最近の場所貸しの、ネット上ですべて完結というものからすると手間がかかっているが、それはロケ地オーナーの安心のためだという。

「下見時には現地でどのようなカットが撮れるかをプロの目からチェック、写真を撮影します。同時にロケに訪れた車のための駐車場がどこにあるかなど周辺の事前調査も行い、借りたい方々に万全な情報を提供するようにしています。これによって弊社に登録されているロケ地が選ばれやすくなるわけです。

また、撮影前の現場案内、当日の撮影も意外に時間がかかり、面倒なものですが、特にコマーシャルの撮影では10人単位で大勢の人が動きますので、現場をチェックしておかないと何かが壊れたなどのトラブルに繋がりかねません。事前の近隣への挨拶も欠かせないところ。借りた人に勝手にやってくださいという場所貸しとは違うところです」。

ロケ地に貸すメリットとは?

ただ、これだけの手間をかけても同じ場所が毎月のように使われることはあまり期待できない。「あれ、この場所はどこかで見た」というロケ地は選ばれにくくなるからだ。

また、使用料もそれほど多額に及ぶものでもない。以前はコマーシャルであればかなり多額の場所代が払われたそうだが、近年はスポンサーもしぶい。平均すると1時間1万円くらいからだそうで、それでも数時間、1日使われることになればそれなりにはなる。

だからロケ地に貸すということで金銭的に大きなメリットがあるわけではないのだが、ロケに使われたという事実が効果を生むことがあると白石氏。

日常的によく利用するコンビニエンスストアやスーパーだが、撮影で使うとなると借りるのは意外に大変
日常的によく利用するコンビニエンスストアやスーパーだが、撮影で使うとなると借りるのは意外に大変

「よく撮影に使われているコンビニがあるのですが、ここはよく撮影に使われているということが近所で話題になり、それで周囲の人との関係が良くなり、来店も増えています。今日は何の撮影だったの?と常連さんとの会話が弾むそうです。

また、それ以外ではタレントさんが撮影で来た場所などを訪れるファンの人も多く、話題の場所、部屋になることもあります」。

最近では映画やドラマの舞台を聖地巡礼として訪れる観光客も多く、中には海外からわざわざ北海道までツアーを組んで見学に来る例もあるのだとか。そこまで行かなくても物件チラシに映画〇〇で使われた部屋、タレントの△△さんが撮影で訪れた建物となれば、宣伝効果は大きい。

「部屋だけなら入居者の承諾だけで使えると思われがちですが、撮影は室内だけで済むとしてもロケに人が来る時点で所有者への許諾が必要になることも多く、建物所有者の方に関心を持っていただき、登録していただけるのはありがたいこと。

ロケ前にはきちんと近隣にも挨拶、トラブルのないように場所をお貸しするようにしており、こうした貸し方があることを広く知っていただきたいところです」。

ロケ地として貸すことでの金銭的メリットはそれほど高くはないものの、それに付随する経験、宣伝効果には面白いものがある。たまたま空いているなら使ってもらっても良いのではないはなかろうか。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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