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大手不動産が見向きもしない「空き家活用」はビジネスとなり得るのか。

賃貸経営/空家・遊休地活用 ニュース

2023/05/30 配信

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写真はイメージ

空き家の増加が社会問題化している。総務省が5年ごとに公表する2018年の住宅・土地統計調査では、空き家は848万戸を超え、空き家率は13.6%となっているが、住宅・不動産の専門家たちは2023年時点で1000万戸超になっているだろうと推察している。

空き家が放置されたままでは、防災面や治安面が悪化し、地域に及ぼす影響は大きい。地域の価値も損なわれる。

そうした観点から国も過誤できないと、空き家問題への対応を本格化し始めており、令和5年度の税制改正大綱では、空き家の発生を抑える特例措置として「空き家の発生を抑制するための特例措置」(空き家の譲渡所得3000万円特別控除)や不動産事業者が中古住宅を取得して増改築により再販する場合の不動産取得税の軽減措置が延長され、長寿命化につながる大規模修繕を行ったマンションの固定資産税の特例措置を新たに創設した。

ただ、空き家をゼロにすることはできない。その中で「使える空き家」と「使えない空き家」を峻別する時代になっている。使えない空き家で管理が行き届いていない場合は、空き家所有者に解体を促し、対応しなければ行政が代執行で取り壊すことが可能になった。

住宅確保要配慮者への転用

管理が行き届いていない空き家の中には、テコ入れの仕方によっては「使える空き家」になる物件も少なくない。では、どのような蘇生術があるのか。

空き家を収益化する試みとして住宅確保要配慮者をターゲットにした再利用を推奨する専門家は多い。高齢者や外国人、障害を抱える人などは、賃貸オーナーが貸し出すのをためらいがちだが、一方で、人口減少が進み、借家の主なターゲットあり続けてきた学生の数は今後減るばかりだ。

家主は、借り主を選り好みできるような時代ではなくなっている。一般社団法人全国空き家流通促進機構は、「高齢者・外国人・障がい者の入居を避けたいと思っている賃貸オーナーが7~8割に上る」としている。

ただ、そうした属性に焦点を当てて事業推進する企業も現れている。ビレッジハウス・マネジメントでは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が雇用促進住宅を民間に売却した際に、フォートレス・インベストメント・グループが一括取得し「ビレッジハウス」へリブランディングしてリノベ賃貸住宅として提供している。全国47都道府県に約2844 棟・10万戸を超える物件を運営・管理する。築古物件などを低家賃で貸し出す。

空き家はビジネスになりにくいと考えられがちで、各種セミナーの参加者の集まりも今一つの感が拭えない。特に大手の不動産会社は見向きもせずに中小零細の不動産会社が奮闘しているのが現状だ。

ただ、ビレッジハウスのようにファンドが本格的に参入していることは踏まえれば、やりようによって築古空き家が利益を生む商材だとみてよさそうだ。

同社では、今年になって一般社団法人「外国人留学生支援 KAKEHASHI」 の設立にも参画し、同社が提供する多言語対応の強化や法人向けサービスの拡充の取り組みを生かして外国人入居者の支援している。家主に敬遠されがちな属性に照準を絞って事業化につなげている。

官民協力体制で長期ビジョンを

ちょっとした地域を盛り上げる取り組みも空き家活用として注目される。例えば、空き家にカフェを展開して地域の人々が集まる場所を作ったり、若手のアーティスが個展を開ける場所や地域の子供たちが学童保育的に使う、または地域の高齢者が集うシニアサロン的な提供の仕方もアイデアとしてあるが、空き家利活用に取り組む複数の事業者は、「空き家再生を運営する主体がどのような長期ビジョンを持って取り組んでいるかが、『企画倒れ』にならないで成功するか否かを左右する」と口をそろえる。

空き家に悩む自治体としても空き家活用に関して誰でもよいわけではなく、きちっとしたビジョンの下で運営されるかが重要になる。産官学の協力体制も欠かせない。地域貢献的な利活用なのかどうかをしっかり査定することを、「民間に丸投げではなくて、そのために必要な税負担やリノベーション費用(改修費)などの資金面をどこまでバックアップできるのかが役人(官)に求められている」との声が大きい。

多くの自治体と連携するFANTAS technologyでは、「空き家の可能性見える化プロジェクト(個人向け)」を展開し、売却・賃貸化・リフォームなどの活用方法や資産価値、利活用に関する費用を算出してレポートを作成するというもので、現在11の自治体が同社と連携している。空き家の現場では、再生に向けてのアイデアとその再生に必要な資金との費用対効果を見据えて長期ビジョンを持つ者の参入を待っている。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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