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建替え時の立退交渉のプロに聞く、円滑に出てもらうための6カ条

賃貸経営/法律 ニュース

2015/09/14 配信

ハウスメーカーのセミナーで数年前の時点で2000件以上の明渡し交渉を成功させてきたという章司法書士法人の太田垣章子氏にそのコツを聞いた。家賃滞納や周囲に迷惑をかけるなど相手に非がある場合はさほどではないものの、建替え時に円滑に立ち退いてもらうのは意外に難しい。ポイントをまとめた。

■訴訟に持ち込んだら、大家が損をする

一般的な借地借家法に基づく契約で入居している人に建替えを理由に退去してもらうためには正当事由が必要になる。簡単に言えば、どちらが建物を使う必要があるか、現況がどうなっているかということで、これが認められることは非常に少ない。 「これまでで正当事由が認められた例としては賃貸併用住宅で高齢の大家さんもそこに住んでおり、24時間介護が必要になったため、賃借人に出ていってもらい、そこに介護をする親族に入ってもらうというケースがあったくらい。ほとんど認められることはないので、あとは立退料の金額が成否を左右することになります」。 そこでもっとも避けたいのは相手が感情を害すなどして訴訟に持ち込まれること。 「訴訟に当たる方々の金銭感覚はあまり現実的でないことが多く、立退料が多額に及んでしまうのです。それに、一度訴訟に持ち込まれ、判決が出てしまうと、それに従わざるを得なくなります。そんな事態にならないよう、とにもかくにも交渉で出て行っていただけるようにすることです」。

■「住まわせてあげた」は通用しない

ある程度の期間住んでいる人に対しては人間関係ができている、今まで住まわせてあげたという気持ちになることもあるだろうが、それは通用しないと太田垣氏。こちらの都合で出て行ってもらうわけだから、ひたすら頭を下げるしかないというのだ。 「耐震性不足で建替えたいという場合などは入居している人も不安で怖い。でも、引っ越すのは経済的にも大変だし、性格的に難しい人もいる。その人たちに出て行ってもらうのですから、一回ぺこりと頭を下げたらいくら立退料が下がると思ってください。絶対に喧嘩をしてはいけません」。 立退きが必要になった場合には最初に入居者のプロフィールを把握、その人に合わせた交渉の方針を立てるのが第一だという。「年齢、性別、年収、過去のクレームの有無その他、とにかくあらゆる情報を抑えおきたいところ。管理を任せているなら、依頼している会社から聞き取りしてください」。

■初回は必ず、大家が出て行く

「日常的に入居者とあまり付き合いがない場合などであれば、直接入居者と関わるのに躊躇する人もいるかもしれかせんが、初回をポスティングだけで済ませるのは避けてください。最初に誠意を見せておかないと、トラブルに発展しかねません。私は初回から大家さんとご一緒し、次回からは私が窓口になるようにしています。もし、訪問時に不在であれば、用意した書類に『訪問させていただいたが不在だったので』などというメッセージを添えて投函してください」。 交渉事では一度相手を感情的にさせてしまうと、とことんこじれてしまうことがある。金銭的な解決が難しい状況になることもあるので注意が必要。怒りたくなっても我慢、我慢である。

■立退き先はこちらで探してあげる

中高年以上の入居者には「引っ越し先を考えておいてください」ではなく、こちらで探して段取りをしてあげることもポイントだという。「特に長く住んでいた人であれば今どきの探し方が分かりません。高齢者であれば探し方だけでなく、条件的に不利になることもあるので、自分で探してくださいと言ってしまうと1年経っても何も決まっていないということになりかねません」。 過去には年金暮らしの高齢者に付き添い、30社以上の不動産会社を回り、まる二日かけて下見に同行、最後は各種手続きも代行してあげたとことがあるという太田垣さん。こうした地道なやりとりの結果、これまでの住宅の立退き案件では3カ月以上かかったことはなく、引っ越し代、契約時の初期費用などの実費に加え、エアコン、フロアカーペットなどといった多少のプラスアルファで立ち退いてもらえていると聞くと、何が立退きを円滑にするかが分かってくるはずだ。

■家賃はきちんと払ってもらうこと

「立退き交渉をしているさなかだからとなんとなく遠慮してしまい、家賃を請求しづらいと思う人もいるかもしれませんが、家賃は必ず、きちんと払ってもらうこと。そうでないと、タダで居座るようになる人が出る可能性があります」。 ただ、家賃を払ってもらう時に「早く退去してもらえたら、コレを付けますというようなことを、なんとなく、あまり露骨ではなく言うことはいいですね。出るつもりになっている人に対してはインセンティブになり、効果的です」。 ちなみに住居用より商業用は長くかかることが多いそうで、「ある程度予定があって貸すのであれば定借利用がいいかもしれません」。

■次の予定は絶対に言ってはいけない

最後にこれまでの立退き交渉で失敗した事例を聞いたのだが、大事なのは相手の気持ちを害しないようにすること。特にポイントになるのは取壊し後をどうするかについては言わないようにしたい。 「古いので耐震性能が不安という理由で取り壊し、立退きを依頼しているにも関わらず、ついぽろっと取壊し後にアパートを建てる、子どものために家を建てるなどということを大家さんが言ってしまった例があります。建物の耐震性能が理由なら納得するしかないものの、入居者は内心、不満なわけです。そこで建替えてより良い暮らしを手に入れる人がいると思うと許せない気持ちになることもあるでしょう。その結果、一度決まっていた交渉がふりだしに戻り、プラス100万円の上乗せをすることで立ち退いてもらうことになった例があります」。 それ以外では立退き交渉がまとまり、立退料を払う時になって大家さんが内心、払うのが嫌だったのだろうか、お金を投げたことで入居者が激怒。その後、数カ月間揉めたというケースもあったという。どんなことがあっても立退きが完了するまでは感情は表に出さないことである。 また、更新時に建替え予定があると伝えたからと安心してしまい、取壊し計画が本格化した際にいきなり、いつ出て行きますかと切り出し、入居者全体の態度が硬化したという例などもあった。相手にとって不利な交渉をする際には、段取りを踏んで少しずつというのが大事なようだ。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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