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35%以上賃料値上げする大家さんも?弁護士が語る、賃料増額請求の実態

賃貸経営/法律・制度 ニュース

2019/03/10 配信

1 賃料増額請求が多くなってきている

このところ,首都圏のみならず全国的に地価の上昇がみられている。
国土交通省の報告によると,平成30年第4四半期(平成30年10月1日〜平成31年1月1日)の都内の地価動向は,上昇が 41 地区,横ばいが 2 地区,下落が0地区であった。全国的にも同様の傾向にあり,地価が下落している地区は平成 26 年第 3 四半期から 18 期連続してみられなかった(国土交通省 土地・建設産業局 地価調査課 主要都市の高度利用地地価動向報告)。
このような地価推移に伴い,近年,賃料増額請求が増加傾向にあるように感じる。
事務所や住宅を賃貸している方にとっては、賃料増額を検討している方も多いと思うので、実際に弁護士として賃料増額に携わった経験をお伝えしようと思う。

The concept of real estate market growth. The increase in housing prices. Rising prices for utilities. Increased interest in mortgage and rising interest rates on mortgages. Rent increase.

2 賃料増額請求が認められる場合とは

(1)手続きの流れ
まずは、賃借人に対して、賃料増額の依頼を通知することが一般的である。
話合いで増額ができない場合には、次の手段は「調停」の申立てとなる。賃料増額請求においては,原則として調停前置主義がとられているため(民事調停法24条の2第1項),いきなり裁判はできず、まずは当事者間の交渉や調停で話し合うことが必要だということだ。

調停をしたにも拘わらず合意に至らない場合には、貸主は賃料増額を求めて「訴訟」を提起することとなる。

訴訟は、最終的には裁判官の判決により終了をすることから、裁判官を説得できる十分な主張と立証をしていく必要があり、調停に比べ負担が多い。それゆえ、調停は個人で対応をしていたけれども、訴訟となると個人では対応できず弁護士を入れる方が多くなる。

いくらの賃料が適正なのかを巡り、当時者双方から周辺の賃料相場や土地の評価資料が出されることになる。ただ、ここで気を付けるべきは、新規の募集賃料が上がっているからと言っても、ただちに従前から継続していた賃料を上げる要因にはならないということである。

(2)新規賃料ではなく継続賃料
不動産の賃料は「新規賃料」と「継続賃料」の2種類に分類されている。

その違いは文字通りで,「新規賃料」がこれから物件を賃貸する場合の適正な賃料であるのに対して,「継続賃料」とは、既存の賃貸借契約が存在・継続する場合の当事者の間で成立する適正な賃料をいう。つまり、貸主と借主の間で、成立するであろう(適正妥当な)賃料を意味する。全国的に地価が上昇している近年の傾向からは,「新規賃料」に比べて「継続賃料」の方が安価となることが一般的である。

賃料増額請求においては,既に賃貸借契約が成立している当事者間で,貸主が借主に対して,賃料の増額を求めるものであるから,後者の継続賃料が問題となる。

貸主は,地価の上昇等の事情が賃料に適正に反映されていないことを理由に賃料増額を求めるが,継続賃料について増額を認めるか否か,いかなる価格が適正かを判断するにあたっては,契約締結時から認められてきた借主の既得権を加味する必要がある。

3 最近の事例

ここで直近で当職が扱った案件を紹介する。
(1)東京都千代田区
まずは、東京都千代田区平川町所在の16uの1階店舗ついて、賃貸人が賃料11万円(税込)を15万円(税込)に上げるべきだとして争った事案である。賃貸人(原告)は、5年前に貸した頃は相場が安かったが、今は高くなっているので、賃料を上げるべきだという主張をしていた。

しかし、判決は、原告の請求を認めなかった。その理由は、たしかに、5年前に比べると公示地価は18%程度上昇しているが、建物の固定資産税評価は1%程下がっていること、他のフロアの賃料は更新時に若干上昇しているが、これは賃借人が任意に応じたに過ぎないもので、現在の原告と被告間の賃料が維持できないほど不相当となったものとは言えないというものであった。なお、この訴訟は、双方が不動産鑑定を求めなかった。

(2)東京都港区
次に、東京都港区麻布十番の案件は、賃貸人が2階店舗(40u)について、賃料を22万円(税別)から24万円(税別)に上げるべきだと争ったものである。

かかる案件は現在調停中であるが、裁判官と調停委員ら(弁護士・不動産鑑定士)の意見は、周辺の地価の上昇から賃料を5000円上げるべきだという見解である。
この訴訟で賃貸人(原告)は、適正賃料はもっと高いはずだとして不動産鑑定評価を求めている。

4 不動産鑑定費用について

最終的にいくらの賃料が妥当なのかを正確に求めるには、不動産鑑定士の鑑定が必要となる。訴訟においても、当事者がこれを求めれば裁判所は不動産鑑定士に鑑定を依頼をすることとなる。

ただ、問題は費用である。一般的に小規模な事務所でも鑑定には50〜100万円くらいかかることが多い。かかる費用は、通常は鑑定を申し出た方が一時的に支払うが「訴訟費用」に位置づけられ、最終的に判決が出れば、判決で訴訟費用の分担割合が決められる。

仮に、原告が希望する増加額の半額が認められたような場合には、賃借人は訴訟費用の2分の1を負担すべきことになることが多いが、そうなると賃借人は50万円(鑑定料を100万円とした場合)もの訴訟費用を負担すべきことにもなるのである。

逆に、賃貸人にとっても、賃料増額が認められなかった時には鑑定費用の全額を自腹で負担することとなる。

5 弁護士からのコメント

賃料増額を検討している方には、これまで述べてきたように、周辺の賃料が上がってきたからと言って、ただちに継続賃料が上がるわけではないことや、賃料増額請求において多額の不動産鑑定費用を発生させることは、賃貸人・賃借人双方にとって経済的なリスクとなってしまうということに十分留意をしていただきたい。

執筆者:弁護士 鈴木 章浩(鈴木&パートナーズ法律事務所 代表弁護士)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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