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不動産投資家がFP資格の取得を目指すことの意義、2級資格の学習内容と試験とは?

賃貸経営/資格 ニュース

2021/07/18 配信

コロナ禍の中、在宅業務で生じた空き時間などを資格取得の学習に充てる人も多いと言われている。

FP(ファイナンシャルプランナー)資格は、家計不安や資産運用のニーズが高まっていることもあり、年々受験者数が増加している人気の資格である。

不動産投資家が、FP(ファイナンシャルプランナー)資格の学習や資格取得を目指すことは、どのような意義があるだろうか。FPの資格の概要と、2級資格の学習内容・試験内容を概説し、不動産投資にどのような効用をもたらすかを考える。

FP(ファイナンシャルプランナー)とは

FP(ファイナンシャルプランナー)とは、長期的な人生のイベントや目標を実現することができるように、経済的な側面からサポートする専門家のことである。顧客の現状の収入や資産・負債などを分析して、長期的な資金計画を立て、貯蓄計画、保険・投資対策などの総合的な資産設計もおこなう。

家計に関わる総合的なお金の問題の相談窓口となっており、住宅ローンや教育ローンの相談、資産運用方法の相談、保険の選び方、相続や贈与の相談など、業務は多岐にわたる。資金計画や資産設計の立案、各種相談業務に対応するには、そのベースとして、ローンや金融商品、保険、年金、税金、不動産に関する幅広い知識が求められる。

FPの主な業務。日本FP協会ホームページ参照。
FPの主な業務。出典:日本FP協会ホームページ

FP資格の概要と
2級の位置づけ

FP資格は国家検定である「ファイナンシャル・プランニング技能士」が3級から1級まである。試験の実施は、日本FP協会と金融財政事情研究会(以下、きんざい)がおこなっている。

日本FP協会は、2級技能士合格者に対し研修をおこなってAFP資格を認定し、さらに試験等を実施して上級のCFP資格の認定をおこなっている。2020年9月現在、AFP認定者は約16万人、CFP認定者は2.3万人となっている。

「ファイナンシャル・プランニング技能士」の3級、2級の試験は、1月、5月、9月の年3回実施されている。いずれも、学科と実技の2つの試験がある。

学科試験は、専門知識を問うのに対し、実技試験は、資産設計提案業務などの実務における知識の活用能力を問うものといえる。日本FP協会ときんざいがおこなう試験は、実技試験の内容が異なる。

日本FP協会は、資産設計提案業務についてであるのに対し、きんざいは、個人資産相談業務、中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務について問われる。

独立系のFPは、CFPやAFPに登録しているケースが多いといえる。これらの登録には、2級技能士の取得が最低条件となることから、2級技能士はFPの登竜門といえるだろう。

2級技能士の学習内容、
試験内容、難易度は?

それでは、2級技能士の試験内容、資格取得のための学習内容はどのようになっているのだろうか。

学科試験の範囲は、ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継、となっている。ライフプランニングと資金計画では、ライフプランニングの方法や住宅・教育ローン、公的社会保険について学ぶ。

リスク管理は、生命保険と損害保険の種類や仕組み、税務が主な内容となる。金融資産運用は、債券、株式、投資信託、外貨などの金融商品の種類や仕組みなどが内容となる。

タックスプランニングでは、所得税、住民税、法人税、消費税の仕組み、計算方法などを学ぶ。不動産分野では、不動産に関連する法制度、税務、不動産投資が主な内容となっている。相続・事業承継では、相続に関する法制度、相続・贈与の税務、財産評価、事業承継対策などを学習する。

試験では、学科試験が4肢択一が40問、実技試験では、択一と記述の混合問題が40問出題される。実技試験の記述問題は、キャッシュフロー表やバランスシートの数値、所得税額や金利と運用年数を下にした運用額など、計算によって回答させるものが多い。

合格率は約40%〜50%程度と高く、過去問研究などをしてしっかりと対策をおこなえば、合格は十分可能だろう。ただし、合格の得点ラインは全体の6割となっており、問題の難易度はけっして易しいとはいえない。

会計事務所勤務経験、税理士試験受験経験が10年程度ある筆者は、本年5月の2級技能士試験に挑戦した。大手通信教育のテキストを利用して約1カ月、延べ80時間程度学習し、ギリギリのラインで合格した。

税金分野の問題は、細かい知識を問う問題が多く、会計事務所の勤務経験があっても高得点は難しいという印象であった。特に、金融商品や生命保険の種類、仕組みを問う問題には学習段階から苦戦し、試験結果もよくなかった。

不動産投資家がFP資格を目指すことの意義

不動産投資家にとって、FP資格を目指して学習し、資格を取得することはどのような意義があるだろうか。

FP資格の学習では、不動産投資や不動産に関連する法制度についての知識が得られるから、それらが実際の物件購入に役立つことは疑いがない。その他にも、FP資格を学習することには大きな意義があるといえる。

FPのメイン業務であるライフプランニングでは、ライフプランに合わせた資金計画を策定する。その際には、経過年数ごとの収入支出を一覧表にして、年間収支と金融資産を見積っていく「キャッシュフロー表」を作成する。

この「キャッシュフロー表」の作成方法は、不動産賃貸業でも同様である。家賃収入と、管理費、修繕費、ローン返済などの支出を一覧表にして、年間収支とキャッシュ残高の推移を見積る。

FPの学習をすることで、「キャッシュフロー表」の作成をすることができるようになれば、物件購入前の資金計画が容易になり、不動産投資の失敗を防ぐことにもつながる。

キャッシュフロー表。日本FP協会ホームページ参照。
キャッシュフロー表。出典:日本FP協会ホームページ

不動産投資では、物件購入の判断基準の一つとして「利回り」が非常に重要である。

「利回り」を、物件が安いか高いかという観点から利用しがちであるが、「利回り」の本当の重要性は、資金運用の目標値の設定という観点にあるといえるだろう。

FPのライフプランニングでは、資金計画を立てる際のツールとして様々な係数を用いる。最も分かりやすいのが、一定期間複利で運用して言った場合、いくらになっているかを示す終価係数である。

次に利用価値のあるのは、現価係数だろう。現価係数は、一定期間後に一定金額を得るには、いくらの元本があればよいかを示す。たとえば、年利10%の場合の現価係数表と元利合計10,000,000円を目標値とした場合の必要な元金は、以下のようになる。

期間現価係数元金
1年0.9099,090,000円
2年0.8268,260,000円
3年0.7517,510,000円
4年0.6836,830,000円
5年0.6216,210,000円
6年0.5645,640,000円
7年0.5135,130,000円
8年0.4674,670,000円
9年0.4244,240,000円
10年0.3863,860,000円
11年0.3503,500,000円
12年0.3193,190,000円
13年0.2902,900,000円
14年0.2632,630,000円
15年0.2392,390,000円
16年0.2182,180,000円
17年0.1981,980,000円
18年0.1801,800,000円
19年0.1641,640,000円
20年0.1491,490,000円

現価係数表を用いると、たとえば利回り10%(経費を考慮しない)の物件を運用して20年後に1千万円の手元資金を得たい場合、149万円を投資すればよいことがわかる。

このように、FPの学習は、不動産投資の物件選びの際、資金運用という視点が重要であることに気付かせてくれるといえるだろう。

また、FP資格を取得すれば、対外的な信用も増すだろう。物件購入の際、物件の「キャッシュフロー表」を自分でシミュレーションして作成し、金融機関に持参すれば、好条件での融資獲得に向けてのアピールにもなりうるだろう。

取材・文 佐藤永一郎

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