■「東京ルール」(賃貸住宅紛争防止条例)ってなんだろう?
「東京ルール」の正式名称は「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」(平成16年10月1日施行)で、「賃貸住宅紛争防止条例」とも呼ばれる。賃貸住宅の退去時における原状回復や入居中の修繕をめぐるトラブルを防止するために東京都がつくった条例だ。
東京ルールでは、宅地建物取引業者が借主に書面を交付し、契約の前に次の内容を説明することが義務付けられている。
- 退去時の原状回復費用、入居中の修繕費用負担の原則
- 契約の中で貸主・借主の負担としている具体的な内容
原状回復とは賃貸物件の契約が終了した際に、借主に対して元の状態に戻してから返すことをいう。かつては借主が原状回復することが一般的だったが、東京ルールが誕生して以来、「貸主・借主双方の費用分担があり、さらに東京都ではある一定のガイドライン(賃貸住宅紛争防止条例)に沿って行われる」ことになった。
なお、対象は東京都内にある居住用の賃貸住宅となり、テナント・オフィス等の事業用賃貸は対象外となる。
なお、東京以外の地方に「〇〇ルール」といった条例があるかといえば、現時点では東京以外にはなく、実情として東京ルールのガイドラインに合わせた原状回復を行っているケースが多い。とはいえ、賃貸不動産は地方による慣習の違いもある。
■原状回復費用の基本的な考え方

東京ルールの内容を簡単に説明すれば、建物の設備や価値は年数の経過や使用に伴って減少していく。そのため、自然損耗(通常使用の際に汚れる・劣化する箇所)については貸主負担、故意・過失による損耗は借主負担で修繕する。その詳細について、東京都によるガイドラインが定められている。
過去に貸主と借主間の認識の違いで「退去時の敷金精算」のトラブルがたくさん起きていた。ご存じの通り、敷金は借主への預り金で未収家賃、退去時の修繕費、クリーニング費を差し引いた残りを借主に返金される。ほぼ返金されないケース、中には追加の費用請求が行われるケースもあったが、現状では、クリーニング費用を引いてほとんど返すケースが多い。
長い期間の入居では、原状回復費はほぼ貸主負担となるため、思わぬ出費に収益を圧迫されるリスクがある。とくにオーナーチェンジ物件では部屋の状態を確認できないだけに、この分の費用を織り込んでおくべきだろう。
健美家編集部