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築古物件なら必ず確認!資産価値向上につながる排水管メンテナンス

賃貸経営/管理・管理会社 ニュース

2018/05/02 配信

建築物の評価の1つに良好な管理体制が挙げられるが、「良好」とは何を指すのだろうか?

アパートやマンションであれば、共用部の清掃や設備の定期検査など、目に見える部分の管理がきちんと行われていることが求められる。防犯上の観点からも、エントランスや郵便受けの管理は欠かせない。

では“見えない”部分の管理はどうだろうか?

給排水設備は専有部と共用部がつながっているため、なかなか管理しづらい部分だが、給水管と排水管は人間でいえば“動脈と静脈”と同じで、どちらも正常に機能していないとトラブルにつながってしまう。

特に排水管は詰まってしまうと居住階だけでなく、その上下階にまで影響が及ぶため、きちんとした管理が必要になる。

小規模な集合住宅は要注意

マンションやアパートなどの共同住宅は、建築基準法で「特殊建築物」(第2条)と位置づけられており、「法定建築設備点検」(同法第12条)が義務付けられている。

この点検については、市や都道府県によって階数(3階~5階以上)やその用途での床面積合計(1,000㎡以上など)が定められており、建築設備については年1回、建築物については3年に1回の実施・報告が定められている。

また商業施設や事務所ビルなど(延べ床面積3,000㎡を超えるもの)の管理については、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(以下、建築物衛生法)に定める「特定建築物」として、空気・水質・衛生(清掃や害虫駆除など)について定期的なメンテナンスを行うことになっており、排水に関する設備の点検及び清掃は6カ月に1回となっている。

しかし、これら法律は上記に挙げた規模の比較的大規模な建築物が対象で、給排水設備については、水質管理や貯水槽や排水槽などの維持管理に重点が置かれており、排水管の清掃は義務付けられているが現実的に大半で行われていない。

また中小規模の共同住宅については適用外となっているため、管理会社の判断に委ねられているのが現状だ。貯水槽の清掃については水道法に基づき年1回実施することが多いが、排水管の清掃については不定期的に3~5年に1回、またはトラブルが発生してから動く、ということも現場では多い。

図表1
建物の排水系統図(提供:全国管洗浄協会)

台所系統が汚れやすい

ビルやマンションの排水管清掃を手がける事業者組織「一般社団法人全国管洗浄協会」では、他の設備と比べトラブルが多いという排水設備の特性を考慮し、建築物衛生法で定められている特定建築物以外の一般ビルや住宅、ホテルなどについても6カ月に1回の点検清掃が必要としており、特に集合住宅の台所排水系統などの雑排水管系統の清掃は重要だと指摘している。

また、同協会の齊藤将一常務理事(兼技術委員会委員長)は、「アパートや小規模マンションでは、管理会社が入っていても排水管の定期清掃は行われていないことも多いので、オーナー自身も確認したほうがいい」と話す。

集合住宅における排水設備のポイントとしては、

◆キッチン

居住世帯の年齢層によって異なるが、食品残渣物が流されるため排水管内部の汚れが多い。ディスポーザが設置されている場合は、半年に1回の定期清掃を推奨

◆浴室

排水器具(排水トラップ周辺など)周辺に髪の毛などのゴミが溜まりやすい

◆洗濯防水パン

排水器具(排水トラップ周辺など)内に糸クズなどが溜まりやすい。狭小タイプの洗濯パンと大型ドラム式洗濯機の普及で清掃時に排水口に高圧洗浄ホ-ス・ノズルが挿入できないトラブルも増加している

◆洗面所

髪の毛などによる詰まりが発生しやすい。また近年ではマウスウォッシュの利用に起因する管内閉塞も多く見受けられる

◆トイレ

構造上、または性質上、排水物による汚れの付着は少ないが、接続する汚水管の勾配が突然の閉塞に関係する。排水管の定期清掃工程に入っていないため、日常的に排水のスムーズさや異音に注意すべき

排水管の系統と清掃の様子(提供:全国管洗浄協会、さいたまプリロ㈱)
排水管の系統と清掃の様子(提供:全国管洗浄協会、さいたまプリロ㈱)

築古物件はしっかり点検を

特に築30年以上経過している集合住宅については注意が必要だ。排水管の材質が鋳鉄製であれば確実に老朽化が進んでいるため、漏水トラブルが発生しやすく、横枝管が床下ではなく下階天上に配管されている「天井配管」もあるため、居室に加え下階にも漏水被害が及んでしまう。

もし1棟オーナーであれば、早いうちに居室床下に排水管を配管する「床下配管」に変更することが望ましい。すでに「床下配管」であれば、既存管を生かす「更生工事」を導入するのも1つの手だろう。

ただ排水管の更新工事は、専有部内枝管更新工事で1戸当たり30万円以上(内装工事別)かかるといわれ、また居室内工事となるため入居者の在宅あるいは管理人の立会いが必要となるため、賃貸物件では対応が難しい。

そのため新たに建物外部に排水立て管を設置することが可能であれば、その後のメンテナンスもしやすくなるという。

外壁などの大規模改修工事に合わせ付帯工事として検討すれば、足場を流用できるため工事費も軽減することができる。また居室内の排水横引管の敷設替え工事は、入居者が退去したタイミングで行うことで、順次切り替えも進められる。

図表3
大規模改修工事に合わせて外付けされた排水立て管の例

築浅物件でも要注意

築20年未満の築浅物件や3階建て程度の賃貸アパートなどについては、排水管の材質は塩ビ製が多く、大半が床下配管になっているため漏水などの危険性は低い。

しかし、特に最近目立つのが、「勾配不良」(排水がスムーズに流れるために必要な管の傾斜がないこと)によるトラブル。「塩ビ管であっても、油汚れなどが堆積してしまい、詰まりの原因になっていることも多い」(齊藤氏)という。やはり年1回程度の定期清掃は、トラブルを未然に防ぐという意味で必須といえる。

地道な管理が資産価値向上に

もちろん、管理会社に物件管理を委託していれば、定期的な設備点検は行われるし、アパート系のデベロッパーの中には清掃の利便性を考慮し外付け配管仕様を採用している会社もある。

一方で、排水関連のトラブルは発生しないと事の重要性が伝わりにくいため、清掃頻度を落とし管理料を軽減するような管理会社もある。

齊藤氏は「たとえ特定建築物の対象外であっても、定期清掃後には管理会社やオーナーに対して必ず実施報告書を提出している。見えない部分だからこそ定期清掃を通じて現状を把握すれば、トラブルの未然防止だけでなく、将来を見据えた改修計画にもつなげられ、結果として資産価値を高めることにつながる」と指摘する。

人口減少・少子高齢化を背景に住宅政策も量から質へと転換し、住宅ストックの有効活用への取り組みが本格化する中、建築物の維持管理への関心も高まってきている。

実際に、同協会にも建築会社やマンション管理会社だけでなく、不動産会社やオーナーからの問い合わせが増え始めているという。

協会としても、“人の健康は腸内環境の改善”になぞらえ「建築物の維持管理は『排水設備の保全』が重要」という考えの下、2013年からスタートしている独自資格「建築物排水管清掃技士」制度と合わせ、今年4月には新たに「優良事業者認定制度」を立ち上げ、適正・良好な維持管理を支えるための排水管清掃事業者のサービス品質向上を推進しているとのこと。

入居者へのアピールというよりも、資産価値向上の観点から、改めて排水管清掃の意義を見直してほしい。

健美家編集部(協力:玉城麻子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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