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マンション管理に関する2つの新制度開始から1年。どんな変化が?二極化進み資産価値に影響か

賃貸経営/管理・管理会社 ニュース

2023/06/02 配信

2022年4月にマンション管理に関する新制度「マンション管理計画認定制度」と「マンション管理適正評価制度」が始まり1年が過ぎた。健美家ニュースでも制度開始に先立ち、両新制度について取り上げ、多くの関心を集めていた。

施行から1年経ち、どのよう変化がみられるのか? マンション管理に詳しい専門家の考察を交え、区分マンション投資をするうえで知っておきたい、マンション管理の最前線について解説する。

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マンション管理を左右する「大規模修繕」。昨今、修繕費が上がり、区分所有者からの相談が増えている(写真はイメージ)

制度の認定数は限定的ではあるが、
大手ディベロッパーを中心に管理改善に意欲的

改めて2つの制度の概要を振り返りたい。「管理計画認定制度」は、国土交通省が大きな指針を決めて、計画の詳細や認定は各自治体にゆだねられている。

もう一方の「管理評価制度」は一般社団法人マンション管理業協会が行うもので、それぞれ大規模修繕計画をはじめ、管理が適正に行われているかなど、評価する項目が定められている。

●マンション管理計画認定制度

制度創設:国土交通省
認定主体:地方公共団体
評価項目:16項目
有効期間:5年
認定数:36件(2023年3月末時点)

●マンション管理評価制度

制度創設:一般社団法人マンション管理業協会
認定主体:同上
評価項目:30項目
有効期間:1年
認定数:1000件(2023年3月末時点)

まずは、国の「マンション管理計画認定制度」の認定数を見ていきたい。2023年3月末時点で認定数は36件と数だけを見ると少ない印象だ。

「実際には認定を担う自治体の対応が追い付いておらず、認定を受けたくても受けられない状態です。今年7月末頃をめどに、全政令指定都市で準備が整うことで本格的に広がると予想されます」

こう話すのは、総合不動産コンサルティング会社 さくら事務所のマンション管理コンサルタント 山本直彌氏だ。山本氏は各自治体で準備が整うことで、2023年から2024年にかけ急速に認定数が増えると考える。

「認定を受けることでマンション購入希望者にプラスの印象を与えることから大手ディベロッパーなどは認定を受けることに意欲的です。今後、マンションの管理はさらによくなり、その分、価格がつり上がるケースとそうでないケースの二極化が顕著になると考えられます」

もう1つの「マンション管理評価制度」はマンション管理業協会の発表によると、2023年3月末で認定数は1000件を超え、★5を獲得したマンションが全国で 232 件、★4が 396 件、★3がもっとも多く 412 件となっている。今後、2025年には1万組の登録を目標にしている。

両制度が浸透していくことで中古市場の流通にも影響を及ぼす可能性があり、なかでもマンションの資産性を左右する項目が「長期修繕計画」だと山本氏は考える。

「マンションの高齢化が進むなかで、今後、長期修繕計画の対応に苦慮する管理組合の増加が懸念されます」

現にここ3~4ケ月、さくら事務所では修繕積立金の大幅な値上げに関する相談が多く寄せられているそうだ。

「相談内容は修繕積立金がこれまで1㎡あたり150~200円程度だったものが400~500円の水準に上げなくてはならないといった内容が主です。区分所有者には両制度の理解が進んでおらず、そのなかで、制度の認定受けるためには、長期修繕計画の見直しに向け、所有者の合意形成を進める必要があるため、管理組合の取り組みが今後の大きな課題となりそうです」

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マンション管理コンサルタント 山本直彌氏

大規模修繕工事を12年周期から15年周期へ
高耐久の資材を採用し、大規模修繕の長周期化が進む

昨今では、大手ディベロッパーが新規で分譲するマンションは、大規模修繕サイクルを伸ばすために、外壁材などに高耐久の部材を採用し始めている。国土交通省のガイドラインでは60年のうち、12年に1度の大規模修繕を推奨しているが、高耐久の部材を利用することで、15年に1回の周期に、大規模改修の周期を伸ばすことができる。

「仮に100戸のマンションがあるとして、1戸あたり大規模改修費が150万かかるとすると、1棟で約1億5000万円の工事費がかかることになります。60年のスパンで考えると、12年に1度の周期から15年に1度の周期に伸ばすことで、60年間で1回分、1億5000万円の工事を減らせることになり、非常に大きなインパクトがあります」

大手のマンション管理会社にも同様の傾向が見られ、4~5年前からマンションの大規模改修の周期を伸ばす動きが見られる。

築年数の古いマンションでは、住人の高齢化が進む。
外部に管理を委託する「第三者管理」が増える可能性も

さくら事務所のマンション管理コンサルタントの土屋 輝之氏によると、大手のマンションでは区分所有者で管理組合を形成するのではなく、外部に委託する「第三者管理」を導入するケースが増えているという。

「区分所有者が輪番制で管理組合を形成することが時間的・精神的負担になっていました。これをプロに任せることで、管理組合運営の適正化が図れ、意思決定が迅速化するメリットがあります。ただし外部の専門家に支払う費用負担が必要で、利益相反行為がないように監査する必要があります」

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マンション管理コンサルタント 土屋 輝之氏

「住人が高齢化したマンションでは特に第三者管理が有効です。大規模マンションでは新築時から第三者管理を採用しているケースもあります。分譲マンションを買うということは、建物や設備を維持管理する義務がつきまとうということを、改めてよく念頭に置く必要があります」と土屋氏。

マンションの高齢化が進むなかで、マンションを取り巻く環境は年々厳しいものになっている。一部では、古いマンションを維持していくのではなく、建て替えに舵をきるケースもある。

たとえば築56年が経ち、設備配管の劣化や漏水などから「秀和レジデンス」の第一号物件「秀和青山レジデンス」は地下1階~地上8階建てであった建物を、「容積率の特例緩和制度」を利用し、地下2階~地上26階建てに新築する計画だ。

このように都心部で容積率の緩和を受けられ、戸数を大幅に増やせる可能性があれば、資金的に余裕をもって建て替えできる場合もあるだろう。

健美家コラムでもおなじみ不動産コンサルタントの長嶋修氏は、「空き家問題の本質は、マンションにあるのではないか。マンションに持続可能性があるものとないものとあるが、それはベールにつつまれていて判断が難しい」と指摘する。

持続可能なマンションとなるかどうか、区分マンション投資をするうえで管理の状態や大規模改修計画について、これまで以上に慎重な見極めが必要になりそうだ。

健美家編集部(協力:高橋洋子(たかはしようこ))

高橋洋子

https://yo-coo.wixsite.com/home

■ 主な経歴

暮らしのジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、情報誌などの編集を経てライターに。価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、おトクなマネー情報の研究に目覚め、FP資格を取得。住宅、マネー関連の執筆活動を行う。

■ 主な著書

  • 『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)
  • 『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)
  • 『最新保険業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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