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管理組合総会で民泊を可能にしたリゾートマンションの稼ぎっぷり

賃貸経営/民泊・旅館業 ニュース

2019/12/09 配信

新潟県の湯沢といえばバブル期にタワーのリゾートマンションが林立。一時期は華やかにもてはやされたが、バブル崩壊とともに価格も大幅に下落。今では10万円でも買い手がつかないほどとされる。

そんな湯沢のマンションに今、注目が集まっている。民泊を可能にし、それによってこれまで払う一方だった部屋が稼ぐ部屋に変身、価格も大幅にアップしているからである。事情を聞いてきた。

民泊新法施行前に総会で民泊を承認

マンション全体の説明
マンション全体の説明

その物件は上越新幹線の越後湯沢駅から車で8分。1989年に建てられた全130戸のエンゼルリゾート湯沢である。

サウナの付いた大浴場があり、すぐ近くに岩原スキー場があるというスキーヤーにとっては悪くない物件だが、民泊開始以前は他の物件同様、見捨てられた感があった。

「定住している方は1割以下、それ以外はリゾート利用で年末年始、スキーシーズンなどにはいらっしゃるものの、そうした利用をする方も半分以下。あまり使われておらず、28㎡の1Kが10万円まで下がっていました」(株式会社エンゼル リゾートシェアリング事業部統括責任者・富士岡翔太氏)。

エンゼルはリゾートマンション専門の管理会社で、かつ湯沢ではホテルを経営している。同物件を所有していることもあり、リゾートマンションの資産価値向上・活性化のモデルケースとなるべく、それを利用すれば民泊ができるのではないかと考えた。

ホテル経営、マンション管理のノウハウを重ねれば物件所有者にとっても、民泊利用者にとっても良いサービスが提供できるというわけだ。

そこで民泊新法施行の2018年6月15日の3カ月前にあたる3月14日に総会を召集、そこで民泊可の承認を得た。もちろん、反対の声はあった。

「セキュリティ、海外旅行者のマナーを心配する声がありました。ですが、弊社は近くでホテルを経営しているという強みがあります。民泊導入を機にこのマンションのフロントの営業時間を延長、対面で必ずチェックインする、その折に大浴場の使い方などをきちんと伝えるなどと説明、最終的には承認が得られました」。

運用当初は大浴場の使い方などで多少のトラブルはあったそうだが、多言語での掲示、使い方を伝える動画の導入などで改善。また、クレームがあってもフロントがすぐに対応できるという強みもある。

加えて、同社はフロントの営業時間が伸びることに加え、特定日に限り温泉を24時間使えるようにするなどオーナーへのメリットも説いた。収益が入るようになることで、それがオーナーにもマンションサービス向上という形で還元されるというのだ。

もうひとつ、このマンションでは管理規約に民泊禁止が入っていなかった点もプラスに働いた。使用細則を変更するには半数の賛成で済む。管理規約の改正となると禁止した時同様の4分の3の賛成が必要になるため、ハードルが高くなるのである。

上限180日のうち、137日が稼働

新法施行時には登録物件2室でスタート、開始8日目には初の宿泊者が訪れた。それから1年半。現在は届け出中も含め、40戸が民泊として運用されている。テレビや新聞に取り上げられたこともあり、買いたい人からの反響も大きいという。現状はどうなっているのか。まずは宿泊状況から見ていこう。

民泊運用であるため、年間180日が上限になるが、現在の稼働日数は平均で137日ほど。1K28㎡の部屋の年間の宿泊代金は約170万円となっており、そのうち、3割をオーナーが賃料として受け取る。50万円強というところだろうか。

活用されている部屋の例
活用されている部屋の例

「管理費や固定資産税などで20数万円かかっていたものが、持ち出しで払わずに済むようになり、20数万円は手元に残る。これまで払う一方だった部屋が稼ぐようになったわけです」。

湯沢の場合、一番の稼ぎ時はスキーシーズンで、部屋の広さにもよるが12月~3月は毎月20~30万円の売上になる。もうひとつ、例年7月末に4日間にわたって行われるフジロックフェスティバルも稼ぎ時である。この間だけで30万円近く稼ぐ部屋もあるほどなのだ。

フジロックフェスティバル時の収益
フジロックフェスティバル時の収益

投資用に分譲した部屋はいずれも即日完売

次に価格。民泊開始前は1K28㎡で10万円が現在は190~210万円ほどと大幅にアップ。周囲のマンションが以前同様に低迷している中、この物件のみが突出しているのである。

「社有していた寮の部屋を民泊用に分譲したのですが、2019年9月にMXTVで取り上げられたため、同日に販売した第一期5室は完売でした。その後、第二期10戸、第三期5戸も同様の売れ行きでした」。

収益を挙げられる物件、そうでない物件の違いは明らか
収益を挙げられる物件、そうでない物件の違いは明らか

上がったとはいえ、100~200万円(1K28㎡の場合。広めの400万円ほどの部屋もある)ならキャッシュでも買える、プチ投資として買っておこうと判断した人が多かったのではないかと富士岡氏。200万円で買って年間25万円稼いでくれれば8年間で回収できる。利回りは表面で25%。管理費、固定資産税などを引くと12.5%ほどで、手軽に確実にという意味では面白いだろう。

ただ、問題もある。民泊運用は180日だけ。自己使用をする人でも残り180日も使うことはあるまいと考えると、他の使い方も考えたいところ。実際、同社では家具付きのマンスリーとしての運用を考えているという。

もうひとつ、現在のところ、湯沢で民泊が可能なリゾートマンションは同物件のみ。買う立場からすると同様に運用され、比較的安価に購入できる物件が他にもあればと思うところである。それについては同物件の成功に刺激され、民泊を可能にできないか、検討をしている物件が複数出てきているらしい。

湯沢に限らず、管理費滞納や所有者の高齢化などで価格が下落、あまり利用されなくなっているリゾートマンションは全国に多数ある。それが新たな所有者の手に渡り、運用されるようになれば、これまでとは違う市場が生まれる。

「バブル期のリゾート購入には見栄による部分もありましたが、これからは実需で、かつシェアすることを前提にした購入、使い方が中心になっていくと考えています。買って自分で使うだけでなく、使わない時は他人に貸すことで負担を減らし、上手に活用するというやり方です。

今の70代、80代のオーナーの中にはこの考え方が理解できない人も少なくなりませんが、今後、所有者が世代交替していけば民泊で稼ぎ、それによって継承できるマンションに変えていくという考えも広まっていくのではないでしょうか」。

続くマンションが出ることを期待したいところだ。

健美家編集部(協力:中川寛子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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