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「3階建て戸建てをホテルにしたい」問い合わせが2023年から激増の理由

賃貸経営/民泊・旅館業 ニュース

2023/04/15 配信

「コロナ禍の始まった2020年から2022年まで全く寄せられなかった旅館業法に関する問い合わせが2023年からは月10件ほど寄せられています」。

こう話すのは、民泊や旅館業法を専門にコンサルティングを手掛ける日本橋くるみ行政書士事務所(東京都中央区)の石井くるみ行政書士だ。問い合わせの中でも半数を占めるのが3階建ての戸建住宅を転用した旅館業の許可取得の相談だという。

都心の場合は土地が狭く3階建の戸建が多く見られる
都心の場合は土地が狭く3階建の戸建が多く見られる

現在のホテル宿泊費の高騰と
大人数で泊まれる部屋のニーズの高さが要因

現在問い合わせが増えている主な要因は2つ挙げられる。

1点目は、ホテル・旅館等の宿泊料金が高騰しているためだ。

新型コロナウイルス禍により制限されていた外国人観光客の入国緩和と、個人旅行を解禁する「全国旅行支援」が2022年10月11日から開始したことで宿泊料金が値上がり。実需向けに販売されている戸建を賃貸住宅で運営するとキャッシュフローは出にくいが、今ならホテルとして運営すれば高い収益が期待できる。

2点目は、戸建てをホテルに転用した場合の通常のホテルに対する優位性だ。

建物の規模によって5~15人同じ拠点に寝泊まりできるため、グループで訪日し一人当たりの宿泊費用を抑えたいと考える外国人をターゲットにしやすく、定員の上限が2~3人である一般的な通常のホテルとは差別化を図れるメリットがある。

このような理由から、土地の狭い都内に多い3階建て戸建てのホテル転用に注目が集まったようだ。

ハードルを下げた2つの規制緩和
「耐火建築物への改修」「建築確認申請」が不要に

そんな需要を後押ししたのが、2019年6月25日に施行された改正建築基準法だ。延べ床面積200㎡未満で3階建て戸建のホテル転用でハードルとなっていた「耐火建築物への改修」と「建築確認申請」の基準が緩和されたのだ。

通常の宿泊施設は3階建以上の建物の場合、耐火建築物であることが求められる。一方で、住宅である3階建ての戸建はその制限がなく、宿泊施設に転用する場合は耐火建築物に改修しなければならなかった。

さらに、改正前の建築基準法では住宅を宿泊施設に変更する場合、対象の建物の延べ床面積が100㎡を超えると「建築確認申請」が必要だった。用途変更後の建築物が建築基準法令に適合することを確認するためだ。建築確認申請の際、調査・図面作成をする建築士や、検査をする指定検査機関等に依頼するため、多大なコストがかかった。

改正建築基準法では耐火建築物への改修が不要になり、建築確認申請を要する用途変更の対象面積はそれまでの100㎡から200㎡に引き上げる規制緩和が行われた。

「民泊ビジネスが日本で流行り出した2018年前後から、住宅をホテル(宿泊施設)に用途変更しようとするケースが増加しました。ですが、既存建築物では従来の耐火建築物要求への対応が難しく、建築基準法の一部が改正される前は用途変更を断念せざるを得ませんでした」と石井行政書士は振り返る。

不燃材の扉や間仕切り壁などで炎や煙を塞ぐ
「竪穴区画」問題さえクリアすれば開始は容易

都心の3階建て戸建では、1階から3階まで扉がなくつながっている構造のものが多く、空間を広く見せるために吹き抜けになっているケースもある。そうした階段や吹き抜けなどで火災時の炎や煙が階をまたいで拡がるのを防ぐために「竪穴区画」を防がなければならない。屋内階段や屋外階段、ダクトスペースなどを不燃材の扉や間仕切り壁などで塞ぐ必要がある。

石井行政書士は、「竪穴区画の点さえクリアできれば、後は消防法を遵守した設備投資と旅館業法の許認可取得をすることでホテル運営を開始できます。消防法の遵守については大規模な改修は必要がなく、旅館業法の遵守については、ビデオ通話での本人確認や緊急駆けつけができればよく、民泊運営会社に運営を依頼することも可能です」と語る。

テレワークの普及や物価・エネルギー価格の上昇を背景に、都心から郊外へ引っ越す世帯もある。そこで、元々所有し住んでいた戸建てをホテルに転用し副業するケースも出てくるかもしれない。

石井くるみ行政書士
石井くるみ行政書士

取材・文:土田絵理(つちだえり)

土田絵理

■ 主な経歴

取材記者、クリエイター、アーティストなど様々な肩書きを持つ。
アメリカ・ニューヨークでの広告営業経験をきっかけにライター業を開始。投資家向け(IR)資料作成業務や不動産専門の新聞社でのデスク経験等を経てフリーの取材記者へ転身。不動産業界の取材数が多く、業界に太いパイプを持つ。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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