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コロナ禍でも稼働率8割!都心では民泊をうまく利用した企業が儲かっていた

賃貸経営/民泊・旅館業 ニュース

2023/05/24 配信

年間180日以下なら住宅での宿泊業を運営できる許認可制度、住宅宿泊事業法(民泊新法)。民泊として貸し出す180日以外の残りの185日を貸し出す場合は、最低1ヶ月以上の賃貸借契約をすることが前提になる。そんな民泊新法を利用して、新型コロナウイルス禍でも8割の稼働率を実現させていたのがmatsuri technologies株式会社(マツリテクノロジーズ:東京都新宿区)だ。民泊新法の許認可が取れる東京11区で1000室弱を運営し、通常の賃貸として貸し出すよりも1.5倍売り上げることに成功した。なお、コロナ禍前の売上は2倍だったという。

渋谷駅徒歩10分の1LDKの民泊物件。琉球畳を敷いて和室風なリビングを演出することで外国人観光客の需要も掴みにいっている
同社が運営する渋谷駅徒歩10分の1LDKの民泊物件。琉球畳を敷いて和室風なリビングを演出することで外国人観光客の需要も掴みにいっている

緊急事態宣言の最中では、訪日外国人が街から消え、日本人でも国内の移動が制限された。さらに、リモートワークやオンライン授業が推奨されたことにより、家賃の高い都心に住んでいるメリットを感じなくなった入居者が郊外や地方へ引っ越すケースも起こっていた。そんな中で、どうして8割の稼働率を確保することができたのか。

「帰国者の一時滞在用や、お試しで同棲したいカップルなど、コロナ禍でどんな人が都心の賃貸住宅を必要としたのかを考え新しいサービスを開始しました」。“コロナ禍だからこそ短期滞在先を必要とするニーズ”を捉え、受け入れたのだと吉田圭汰社長は話す。

「誰にどんな需要があるか」に目を向けたらヒットした

コロナ禍での水際対策では、海外から帰国した日本人や再入国する在留資格保持者の入国時に 14 日間の公共交通機関不使用と14 日間の自宅又は宿泊施設での待機などが求められた。そこで、同社は「一時帰国.com(ドットコム)」というサイトをいち早く立ち上げ、滞在先に困っていた入国者を受け入れた。空港から民泊物件までの道のりはサービス提供が可能なハイヤーを紹介し、出歩くことができない利用者のために食料を差し入れるプランも設けた。

「空港でダンボールにくるまって寝なければならないというお客さまの声をいただいたことがきっかけです。サービス提供を始めたばかりの頃はどのホテルも宿泊拒否を繰り返していたため、ほとんどの需要が当社に集まっておりました」と吉田社長は振り返る。なお、入居者を選ぶことができる賃貸住宅とは違い、ホテル業の宿泊拒否は旅館業法違反とされる。それでも受け入れ体制が整っていないことを理由に頻発していたのだという。

また、試しに同棲したいカップル向けに、「おためし同棲」というサービスも立ち上げていた。こちらは、1ヶ月未満の短期滞在ではなく、1ヶ月以上の賃貸借契約を前提としたサービスだ。敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用がかからず、家具・家電も揃っている賃貸住宅は決して珍しいサービスではなかったが、対象者を絞ったことが奏功した。

緊急事態宣言下では、気軽に外出ができなかったため、会う頻度が激減してしまったカップルにとっては非常に辛い期間だった。「会いたいのに会えない」「人が恋しい」という状況に苦しんでいた利用者の琴線に触れたようだ。「ユニークなサービスとしてメディアが大きく取り上げてくれたおかげで、1時間で300件の問い合わせが来たこともありました」(吉田社長)。

民泊新法を利用した「一時帰国.com」と賃貸借契約を利用した「おためし同棲」のサービスサイトイメージ。
民泊新法を利用した「一時帰国.com」と賃貸借契約を利用した「おためし同棲」のサービスサイトイメージ。

入居者ニーズを掴むことが賃貸経営の必勝法の一つ

matsuri technologiesは法人として民泊を手がけており、5月16日には東急不動産ホールディングス(東京都渋谷区)が資本参画実施を発表した企業だ。そのため、個人のオーナーは「法人だからこそできることで自分には関係がない」と考えるかもしれない。だが、満室経営を維持している不動産投資家は、いつも入居者のニーズを考えて実践しているという共通点がある。賃貸経営にはそれだけの覚悟と真剣に向き合う姿勢が必要だということが、同社の経営方法からも学ぶことができるだろう。

なお、同社では民泊新法の許認可を取ることができる東京の11区内の賃貸住宅を棟単位で借り上げるサービスも行っている。一般の賃貸より高い賃料での借上げとなり、利回り3%台の地域の物件なら4%台での査定が出てくることも。「それでもやっぱり楽をしたい」と考えるオーナーにとっては一考の価値がありそうだ。

取材・文:土田絵理(つちだえり)

土田絵理

■ 主な経歴

取材記者、クリエイター、アーティストなど様々な肩書きを持つ。
アメリカ・ニューヨークでの広告営業経験をきっかけにライター業を開始。投資家向け(IR)資料作成業務や不動産専門の新聞社でのデスク経験等を経てフリーの取材記者へ転身。不動産業界の取材数が多く、業界に太いパイプを持つ。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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