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築41年の団地大刷新。駐車場を潰して庭に。人気を勝ち得た全体構想とは?

賃貸経営/リノベ ニュース

東急田園都市線鷺沼駅から歩いて6分。駅からは近く、交通の利便性は高いものの、築32年と古い団地タイプで、だんだんと選ばれにくくなっていた賃貸住宅があった。建替えも検討されたそうだが、入居者がいる状況での建替えはコストが嵩む上、建替えても建物が大きくなるわけではない。古い擁壁に手を入れる必要が生じたらさらに費用がかかる。

■敷地全体を再考、駐車場を廃して庭に

敷地入口の物件ロゴ。こうした部分のデザインも入居者を惹きつけるためには重要
敷地入口の物件ロゴ。こうした部分のデザインも入居者を惹きつけるためには重要

そこで選択されたのが入居者がいるままでの内外装のリノベーション。それ自体はよく思いつく手だが、同物件「GREEN BASKET」の場合には非常に大胆な手が取られた。特に驚いたのは敷地の使い方である。

西側から敷地全体を見下ろしたところ。もともとはフラットな駐車場になっていたところに起伏をつけ、植栽を配してある。階段室の色は少しずつ微妙に変えられている
西側から敷地全体を見下ろしたところ。もともとはフラットな駐車場になっていたところに起伏をつけ、植栽を配してある。階段室の色は少しずつ微妙に変えられている

同物件は東西南北に高低差のある土地に立っており、東側、西側の2面で道路に接している。そのうち、既存の敷地入口があったのは低い、駅からは遠い東側。建物は敷地の南側に建ち、北側は広い駐車場になっていた。駅から近く、高台にあたる西側には敷地内に下りる階段はあるものの、それ以外はフェンスがあるだけ。東側から敷地を見ると擁壁が突き当りになっていた。

敷地東側から。写真中央に屋根のあるスペースが見えているが、その部分が新設された
敷地東側から。写真中央に屋根のあるスペースが見えているが、その部分が新設された

東西それぞれの道は通る人、速度が異なる。東側は車やバスの通行が多く、通過速度が速いのだが、西側は歩行者、自転車が多く、通過速度が遅い。立ち止まったりするような場合も多く、だとしたら、こちらの側に近隣の人が気軽に立ち寄れるような新しい顔を作ったらどうかとリノベーションを担当したブルースタジオ・大島芳彦氏は考えた。

左側の階段は既存のもの。その右手の屋根、建物の階下の倉庫、階段が新設された
左側の階段は既存のもの。その右手の屋根、建物の階下の倉庫、階段が新設された
外から見た様子。かつてはいかにも団地然としたグレーの建物で道路沿いにはフェンスだけがあった。そこに通りに開かれた場が作られた
外から見た様子。かつてはいかにも団地然としたグレーの建物で道路沿いにはフェンスだけがあった。そこに通りに開かれた場が作られた

そこで西側に1階が倉庫となった建物を増設、公道に面して屋根、一部に壁、水道のあるちょっとした広場的な空間、CABINを設け、そこから敷地内に下りる幅の広い階段を増設した。

庭で遊び子どもを見守れるようにとベンチも新設された
庭で遊び子どもを見守れるようにとベンチも新設された

さらに平坦だった敷地内の駐車場を廃し、そこに緩やかな起伏を作って庭とした。多摩丘陵を思わせる植栽で彩られた、子ども達が安心して遊べる空間である。まだ、造成されたばかりなので芝など根づいていない印象があるが、少し時間が経てば楽しい場所になるだろう。

当日は3代目の経営するショップの商品なども置かれていた
当日は3代目の経営するショップの商品なども置かれていた

植栽にポイントを置いた場合、手入れが問題になるが、この物件の場合、オーナー一家は農家。特に今後、この物件を引き継ぐ3代目は植物や野菜、果物などを扱う店を営んでおり、CABINを利用してポップアップショップを出す予定も。それゆえ、手入れにも理解がある。同物件は緑をコンセプトにしているが、その背景にはこうした関係者の事情があるというわけである。

駐車場は東側の入り口近くに2台分、用意はされているが、入居者専用のものではなく、カーシェアリング用。駅からの距離を考えると必ずしも車は必要ではなく、使いたい時に使いやすいものがあれば良いということだろう。

■周囲をリサーチ、最低限の駐輪場を用意

駐輪場は場所だけ用意されている。周辺の駐輪場の使われ方をリサーチしてみたところ、意外に使われていなかったそうで、今の時点ではとりあえず、スペースだけが用意されている。駅に近く、周辺は高低差、坂の多い土地のため、自転車は意外に使い勝手が悪いのかもしれない。現在は全30室に対し、14台を置けるようにしてあるが、全戸申し込みが入っている現状で利用は12台。ラックを用意する、屋根を付けるなどは今後、様子を見ながら考えるそうである。

敷地内の使い方同様、大きく見た目が変わったのは建物の色。建物は落ち着いたグレーで塗られており、階段室は少しずつ色目の違うベージュ。さらに東西の公道に面した側には山、樹木をイメージした同じ色目の絵が描かれている。派手さはないが、画一的な白い建物が多い周辺の中では目を惹く存在になっており、それに目を止めて近寄ると敷地内の緑がさらに印象を強くする。周辺の人たちからすると、全く違った住宅が立ちあがったかのように思えることだろう。

1階住戸のウッドテラス。緑の中の庭という雰囲気である
1階住戸のウッドテラス。緑の中の庭という雰囲気である

外から見える変化で言えば1階のウッドテラスのある住戸もある。植栽ごしにしか見えないが、従来のコンクリートのバルコニーに比べるとはるかに使いたくなるスペースだ。

左側が階段室前に増設された壁。郵便受けと宅配ロッカーが仕込まれており、階段下がベビーカー置き場。雨に濡れる心配がなく、外から見えることもない
左側が階段室前に増設された壁。郵便受けと宅配ロッカーが仕込まれており、階段下がベビーカー置き場。雨に濡れる心配がなく、外から見えることもない

もうひとつ、従前の建物を知らないと分からないのが階段室前に新たに設置された壁。これは内部に郵便受け、宅配ボックスが仕込まれており、実用的な意味もあるが、もうひとつ、背後にベビーカー置き場を設けるための目隠しという役割もある。

この建物は5階建てでエレベーターがない。入居者にはカップル、カップル+小さな子どものいる世帯を想定している。だが、5階までベビーカーを上げるのは大変だ。そこで作られたのが階段前のベビーカー置き場というわけである。置き場は必要だが、それが外に見えていると乱雑に見える。そこで他にも用途のある壁を配した。うまい方法である。

■シンプルな内装、DIY可の2面の壁

続いて内部を見ていこう。間取りは51uの2LDKで、1階だけは前述した通りテラス付き。LDK11.2畳に4.5畳、6.2畳の洋室が2室となっており、リビングと6.2畳との間はカーテン用パイプが設置されており、開いても、仕切っても使える。

緑を飾るようにと用意されたのが右側、上部の黒いパイプ。最近の新築でよく見かける室内洗濯物干しのカッコ悪さに比べると、こちらのほうがはるかに良い
緑を飾るようにと用意されたのが右側、上部の黒いパイプ。最近の新築でよく見かける室内洗濯物干しのカッコ悪さに比べると、こちらのほうがはるかに良い
リビングと隣接する洋室との境はカーテンで仕切れるようになっている
リビングと隣接する洋室との境はカーテンで仕切れるようになっている

室内も緑と暮らすことをテーマとしており、リビングには緑を掛けて使えるように黒いバーが用意されている。それ以外の内装はシンプルで、ちょっと他と違うのはリビング、隣接する洋室の壁2面についてはDIYが可能になっていること。塗装、棚の設置ができることになっており、どのようなことが可能かについては室内にルールを書いた紙が用意されていた。ルールについては、設計者・施工者・建物管理者が協議の上で決定。施工前には管理会社に相談するべしともあり、こうしたルールがきちんと決められていれば、DIY可はさほど高いハードルのようには思えない。

洗面所の鏡の枠に注目。また、右手の棚など使える部分はフルに使って収納に
洗面所の鏡の枠に注目。また、右手の棚など使える部分はフルに使って収納に

また、窓、洗面所の鏡の枠などが敢えて広めにとられており、そこにモノが飾れるようになっているのも面白いところ。ちょっとした工夫だが、インテリアにこだわりたい入居者には楽しい空間となるはずだ。

最近よく見かける、扉のない収納。部屋が広く見える上、収納部も専有面積に参入できるのがポイント
最近よく見かける、扉のない収納。部屋が広く見える上、収納部も専有面積に参入できるのがポイント

■外構工事中に8割の申込み。中心は都内から

最後に入居申し込みの状況について。今回のリノベーションでは30世帯中26世帯を改修、昨年10月の、まだ、外構などが全くできていない段階でモデルルーム一戸を作り、募集を開始した。建物そのものの魅力が訴求できない状況だったそうだが、建物外観のカラーリングその他を手がけたと同じデザイン事務所にホームページや紙媒体のデザインなどを統一して作ってもらうことで建物の、世界観を伝えたそうで、その効果が大きかったのではと大島氏。1月時点で8割ほどの申し込みがあり、2月に外構が完成したところでは9割、そして3月19日のプレス向け内覧会の時点では全戸に申込みがあったという。

入居者の一部は鷺沼周辺からの引っ越しで、中には近隣からの住替えもあったとか。明らかにこれまでのこのまちにはなかった建物ということで工事中から注目を集めていただろうことが推察される。年代としては30〜40代の子どもがいる家庭、新婚家庭や結婚前のカップルなど。

賃料は周辺の新築相場並みとのことで、建替えほどの費用を掛けずに古い建物再生でそこまで持っていければ収益としても満足行くものになるはず。同沿線では同じような古い団地が多数あるだけに、そうしたオーナーにとっては注目すべき事例。チャンスがあれば外構だけでも見に行ってみてはどうだろう。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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