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築50年のボロマンションを、努力とアイデアでフルリノベ! 目から鱗の経費節約術!

賃貸経営/リノベ・修繕 ニュース

2020/04/18 配信

築年数が古い1棟マンションをリノベーションすると、工事が大掛かりになってしまい、安く仕上げるのはなかなか難しい。もし築50年の鉄骨造マンションがボロボロで、ほぼ全空状態であれば、普通の大家さんなら取り壊して新築マンションを建てるだろう。仮に再生できたとしても、入居者募集時には「築50年」と表記され、物件競争力は低いままだからだ。

ところが、そんなボロの築50年鉄骨造マンションを、努力とアイデアで経費を抑え、見事に蘇らせた女性大家さんがいる。DIYが大好きな、大阪の兼業大家ひなたさんだ。そのユニークな取り組みについて、取材した。

フルリノベーションした築50年鉄骨造のマンション
フルリノベーションした築50年鉄骨造のマンション

昨年11月、ひなたさんは3階建て12戸、築50年鉄骨造のマンションを購入。しかしその物件は、大工さんも他の職人さん達も購入を反対するほどのボロで、ほぼ全空のマンションだった。

それでも彼女がこの物件を購入したかった理由は「接道」だ。2年前、「再建築不可」の木造アパートを安く購入した。隣接する鉄骨造マンションは「建築基準法上の道路」に接道している。このマンションを買うと、2棟合わせた敷地が「接道した150坪」となって出口戦略が有利になるからだ。

物件の位置関係。最初に購入していた木造アパートは、建築基準法上の道路に接道していない。
物件の位置関係。最初に購入していた木造アパートは、建築基準法上の道路に接道していない。

ほぼ全空状態だったが、ベランダの天井がこんな状態でも住んでた人がいた。
ほぼ全空状態だったが、ベランダの天井がこんな状態でも住んでた人がいた。
リノベ前。畳の部屋の掃き出し窓に、ガラス飛散防止のためかガムテープでバッテンしている。
リノベ前。畳の部屋の掃き出し窓に、ガラス飛散防止のためかガムテープでバッテンしている。

■大家業を始めてからDIYにハマり
第二種電気工事士にも1発合格!

ひなたさんは子供の時からものづくりが好きで、大家業を始めてからはDIYの魅力に目覚めた。自営業の合間を縫って、最初は大工さんが作業してる横でペンキを塗ったり、壁紙を貼ったりする程度だったが、徐々に職人さん達から修理の方法や技術を教えてもらう。

そのうち、築古戸建ての間取りを変更するために自分で壁をぶち壊したり、和室から洋室に変更する際は、プロに床のコンパネまで施工してもらった後に、自分でフロアー材を貼ったり、洗面台を設置したりできるようになった。

先輩大家さんの勧めで第二種電気工事士の試験勉強をしたところ、一発で合格。この資格のおかげで、コンセントの増設や配線などの電気工事を自分一人でできるようになった。その他にも、DIYがプロ級の先輩大家さん達から、水道管の配管や給湯器の付け方、外壁やベランダに設置する平型アンテナの設置方法なども教えてもらい、DIYでできることが増えていった。

今は趣味と実益を兼ねて、戸建て物件のリフォームを楽しんでいる。自分がやってみたい部分だけDIYで挑戦し、難しくてできなかった部分は大工さんにお願いすることができるからだ。

戸建ての場合、多少貸し出すまでの期間が長くなったとしても、収益に大きな影響がない。
しかし、1棟物の場合はそうはいかない。融資の返済が始まるため、早く仕上げて貸しださなければならない。

鉄骨造なのに、タイル貼りの風呂場を撤去した後の床には大きな穴が開いていた。
鉄骨造なのに、タイル貼りの風呂場を撤去した後の床には大きな穴が開いていた。
リノベ工事中も、バルコニーの天井や壁が突然落ちてきたことも。
リノベ工事中も、バルコニーの天井や壁が突然落ちてきたことも。

■工事は分離発注と笑顔?で経費節約
現場監督もひなたさん自身

解体で出た大量の廃棄物。
解体で出た大量の廃棄物。
大工さんの作業中
大工さんの作業中

1棟物のリノベーション工事費を節約するため、ひなたさんは独自の工夫をした。大規模工事にもかかわらず、すべてを分離発注する。

解体屋さん、大工さん、塗装屋さん、左官屋さん、それぞれから見積書をもらい、ひなたさんが工程表を作った上で、各業者と契約した。現場監督もひなたさんだ。トイレやキッチン、扉などの設備品もなるべく施主支給した。設備屋さんの余りモノを安く譲ってもらったり、ヤフオクで取り寄せたり。

部屋によって間取りが違う。こちらは、一番奥の扉が風呂と洗面台スペース、真ん中がキッチンエリア、手前のドアが寝室。
部屋によって間取りが違う。こちらは、一番奥の扉が風呂と洗面台スペース、真ん中がキッチンエリア、手前のドアが寝室。
手前が対面キッチンスペース、奥がベランダへと続く間取り。
手前が対面キッチンスペース、奥がベランダへと続く間取り。

写真をよく見ると、途中で床のフロアー材の色が変わっているのに気付いただろうか? 3坪分や4坪分だけ余った特価品のフロアー材を購入し、組み合わせて使用しているからだ。場所によっては、木目の流れも縦や横にバラバラに貼ってあるところもある。

木目の流れが、手前は縦に、奥は横に流れている。
木目の流れが、手前は縦に、奥は横に流れている。
奥の木目の色違い
クローゼットの左横の小さなスペースの木目の色も違う。

「内覧に来て入居を決めてくれた人達は、床の色が違うことについてあまり気にしてなかったです(笑)」とひなたさん。

フロアー材が同じ色で木目の流れも統一されている方が美しいに決まっているが、「そうでなければいけない」というのは、大家側の思い込みかもしれない。

家賃帯にもよるが、入居者はキレイに施工されていれば、床の色が途中で変わっていても案外気にしないのだろう。実際に、12戸の入居予定者のほとんどが単身女性だという。

また、各部屋の仕切りとして取り付けるドアも、余った扉をかき集めてきているのでそれぞれサイズや本来の用途と違うものばかり。大工さんが一つ一つ細工をして、設置してくれている。

普通は、職人さんたちはこんな手間ばかりかかる仕事を引き受けてはくれない。そこは、ひなたさんの明るい人柄が大きく影響している。彼女の性格やこだわりを知っていて、今まで協力してくれた職人さん達だからこそ引き受けてくれるのだ。

キッチンと洗面台の間仕切りドアの上部の工夫。ドアノブも木片だ。
キッチンと洗面台の間仕切りドアの上部の工夫。ドアノブも木片だ。
別の部屋のドアノブ。引戸のドアノブが格納されるように、四角に削ってある。
別の部屋のドアノブ。引戸のドアノブが格納されるように、四角に削ってある。

壁紙も、戸建て物件ならいつもひなたさん自身が貼るのだが、今回は12室と多いため、クロス屋さんに「おまかせ」したという。

1戸40㎡のすべての壁紙を、1戸あたり10万円で貼ってもらった。天井40㎡、壁周りが120㎡とざっくり計算すると、普通に頼んだ場合の4~5割引きぐらいだろうか。

クロス屋さんにとっては壁紙の在庫整理も兼ねての値段設定だったと思うが、ひなたさんが「うーん、この柄はイマイチかな」とニコッと笑って職人さんに伝えると、文句も言わずに別の柄に貼り替えてくれたという。ひなたさんのキャラクターゆえだろう(笑)。

「おまかせ」で貼ってもらった壁紙。
「おまかせ」で貼ってもらった壁紙。

ひなたさん自身は第二種電気工事士の資格を生かして、鉄骨むき出しのスケルトン状態の各部屋に配線を仕込んだり、一部の床材を貼った。

ヤフオクでレンジフードやトイレなどの設備品を12戸分落札し、工事でいつでも使えるようマンション内で受け取った。「コロナウイルスの影響で在庫が逼迫するかもしれない」と職人さんからアドバイスをもらっていたおかげで、早めに数を揃えることができた。

天井の鉄骨がむき出しの状態の時に、電気ケーブルを仕込む。
天井の鉄骨がむき出しの状態の時に、電気ケーブルを仕込む。
新しいブレーカーの設置前。どの配線を引いたかをケーブルに書き込んである。
新しいブレーカーの設置前。どの配線を引いたかをケーブルに書き込んである。

ところが、大量に届くヤフオク落札品の中身を確認する時間がなくて積み上げていたところ、業者さんが使おうとしたら不良品だったり、間違った種類を購入していたことに気づかなかったりと、施主支給ゆえのミスや無駄も多々あった。

また、スイッチを入れても電気がつかない箇所もあり、原因を究明して配線のやり直しも。新品のユニットバスやキッチンセットの場合でも、施工中に傷がついたことに気づかず、入居者からクレームを受けたこともあった。

これらは、もし工務店に一括でリノベーション工事を依頼していれば、各工程で確認され、引き渡し前に入念なチェックも行われて発生しなかった出来事とはいえるだろう。

しかし、「分離発注」と半端モノを含めた徹底的な「施主支給」、自身のDIYなどの工夫で、リノベーション費用の総額は約3,000万円。当初の想定より高くなったのは、雨漏り修理や下水配管排水工事、ポンプモーター修理、電気容量アップ、防災・防犯関係や外壁工事などが高額になってしまったから。

また、ひなたさんの経験則から「部屋が寒いと長期入居にならない」ため、入居者からは見えない部分の断熱や防火を新築レベルまで行ったためもある。

マンション購入費については、売買前から所有者の地主さんと仲良くなり、解体費用にあたる金額分の減額などを粘り強く交渉した結果、近隣相場(更地の場合の土地値)のほぼ半額の1,720万円で購入できた。仲介手数料(賃貸分等も含む)など諸経費120万円を足すと、経費合計は約4,840万円。

家賃収入は、家賃5.5万円~5.8万円(水道代とWI-FI使用料を含む)と駐車場3台分を含めて、年間想定で約840万円。つまり、作り上げた利回りは17%だ!

そして、大規模な工事中にもかかわらず、完成前にほぼ全室に入居申込みが入った。

ひなたさんが入居希望者の内覧時になるべく同席し、最終的にどんな風に部屋が仕上がるか、駅から近いこの地域の住みやすさなどを自ら説明したからだ。

その際に住む側からの要望も聞き取り、1戸40㎡の空間を小さく仕切るよりも、単身者は広い間取りを好むと知って、まだ工事に着手していなかった部屋の間取り変更をした。大家の人間力と柔軟な対応力で、入居者を惹きつけたと言える。

リノベ工事前
リノベ工事前
外壁塗装が終わった後
外壁塗装が終わった後

築古の1棟リノベーションでひなたさんが取った方法は、自身のDIYも含めて非常にユニークだ。失敗や苦労も多い。しかし、努力と知恵、圧倒的な行動力で、ボロマンションを見事に再生し、満室に導いた。

コミュニケーション能力の高さといった「強み」も生かしながら、自分の信じる道を貫く「折れないココロ」が成功の要因といえる。

健美家編集部(取材協力:野原ともみ)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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