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溝の口BOIL。NTTグループ保有の通信ビルを地域の賑わいに資する複合施設にリノベーション

賃貸経営/リノベ・修繕 ニュース

2021/07/26 配信

技術の進展や業務内容の変化等で使われなくなる建物が出始めている。身近なところでは銀行の支店が統合されるなどであちこちで閉鎖されているのが分かりやすいところ。

タイル張りのクラシカルな外観にオレンジ色がアクセントとなるBOIL外観
タイル張りのクラシカルな外観にオレンジ色がアクセントとなるBOIL外観

2021年7月3日にオープニングイベントが行われた川崎市高津区・溝の口にあるNTT溝ノ口ビルもそのひとつ。元々は通信基地局として使われていたが、今後はBOILという愛称のもと、従前とは全く異なる用途でまちに賑わいをもたらす場として再生されることになった。

得意分野を持ち寄って2社が連携

BOILが立地するのは東急田園都市線、大井町線「溝の口駅」、JR南武線「武蔵溝ノ口駅」の駅から商店街を抜けた少し先。歩いて数分というところだろうか。元々はNTT東日本の通信基地局、オフィスなどとして40年以上使われてきた建物で、窓口業務の縮小などの行効率化により施設内に余白が生まれ ていた。

同物件に限らず、NTT東日本は同様の物件を全国に抱えており、今後、それらの建物をどう活用していくかは課題のひとつ。その課題解決のため、同社がビジネスパートナーとして選んだのが今回のビルの企画、デザイン、設計、施工、運営マネジメントを担当したリノべる株式会社

個人宅のリノベーション事業から遊休不動産の再生まで幅広く、不動産を生きるものとする事業を展開している会社で、業務提携が行われたのは1年半前のことである。

地元企業との協業として、リノべるが組んだのは溝の口に本社を置き、長らく川崎市でさまざまな活動を行ってきた株式会社NENGO。本施設では運営企画・リーシングを担当した。

同社は断熱、耐火被覆の工事から不動産取引、リノベーション、エリアブランディング、宿泊施設の運営など街の読み込みを生かした地域密着型の幅広い事業を営んでおり、ソフト面でのノウハウも幅広い。両社が得意分野を持ち寄って課題に挑んだというわけである。

1階にはシェアキッチン、ブルワリー

建物は地上4階建ての鉄筋コンクリート造。そのうち、改修したのは1〜3階までの3フロアで改修面積は1フロア400u ほどである。順にみていこう。

建物1階を入ったところ。正面になるのがシェアキッチン。左手側にブルワリーが作られる予定だ
建物1階を入ったところ。正面になるのがシェアキッチン。左手側にブルワリーが作られる予定だ

1階はエントランスを入った正面にシェアキッチン「BOIL table」が設けられている。設備、備品は備え付けられており、もちろん、営業許可付(営業利用の場合は、食品衛生責任者資格と生産物賠償責任保険の加入要)。一日単位で借りられるため、いずれ店を持ちたい人がお試しとして営業する、勤めている店とは別に副業として営業するなどの利用が想定されるほか、料理教室を開いたり、個人が貸し切ってパーティーその他で利用することもできる。

エントランスから見て左側には溝の口初のブルワリー(ビール醸造所)が入る予定。地元で複数店を展開する飲食店が経営するもので、年内あるいは年明けに開業する。窓際に醸造用のタンクが並ぶ計画になっており、完成の暁には建物の変化が外からもよく見えるようになるだろう。

待望のダンススタジオが登場

世の中で求められるスペースのひとつ、ダンススタジオ。天井が一部高くなっているのはダブルダッチのためとか
世の中で求められるスペースのひとつ、ダンススタジオ。天井が一部高くなっているのはダブルダッチのためとか

シェアキッチンの背後にはダンススタジオ「BOIL studio」が作られている。中学校では2012年にダンスが必修となっており、それもあって最近は小学生くらいからダンスを習う子どもも増えている。ところが、練習をする場所がないというのが子どもたちも含め、多くのダンス好きの 悩み。公共施設の建物のガラスを鏡に見立てて練習する姿を見かけるが、それは鏡のあるダンススタジオが少ないためだ。

オープニングイベントで披露されたダブルダッチを取り入れたパフォーマンス風景
オープニングイベントで披露されたダブルダッチを取り入れたパフォーマンス風景

特に川崎市は溝の口を中心に「ブレイクダンスの聖地」とも言われており、世界レベルの選手を輩出してきてもいる。このスタジオからそれに続く選手が出ることを期待したいものである。また、防音施設であるため、楽器その他音楽の練習にも利用できる。

2階は多少の音も許容するコワーキング

2階、エントランスから見た全景。床はOAフロアの現し
2階、エントランスから見た全景。床は途中までがOAフロアの現し

続いては2階。こちらはコワーキングスペース「BOIL work」となっており、ソファ席、テーブル席、カウンター席、ブース席と様々なタイプの席が約60席用意されている。カウンター席は近くを走る東急田園都市線を望む立地で、そのため利用者には多少音がすることを前提にしてほしいという。全席でウェブ会議が可能で、珍しいことに子ども同伴プランもあるとのこと。

吸音材の貼られた個人ブースも。シンプルながら入るとすっと音が小さくなる
吸音材の貼られた個人ブースも。シンプルながら入るとすっと音が小さくなる

子ども同伴についてはどのコワーキング、シェアオフィスでもニーズはある。ただ、小さな子どもに仕事中だから静かにしていなさいというのは難しい話。保育スペースを設けるとなるとそのためのスペースも人員も必要になる。BOILでは子育て世代にも使ってほしいという思いから年齢制限を設け、10歳以上の子ども達は同伴可能にしている。

その時の仕事の内容によってスペースを使い分けられるようになっている
その時の仕事の内容によってスペースを使い分けられるようになっている

コワーキングの営業時間は朝8時〜夜9時(受付時間は朝9時〜夜6時)で月額利用料金は利用頻度によって異なるが最大で1万8000円(税別)。ドロップインも可能で、1時間500円。 お試しとしてまずは1時間無料で使ってもらい、それから会員へという形で利用者を募集する予定だ。

3階はNTTグループ社員の人たちのサテライトオフィスとなっており、こちらは一般の利用はできない。

既存建物を開放的、印象的にリノベーション

しっかりした建物躯体。過去の建物でもきちんと建てられたものならそれを評価、上手に生かしていきたいものだ
しっかりした建物躯体。過去の建物でもきちんと建てられたものならそれを評価、上手に生かしていきたいものだ

インフラを担う通信基地局という用途の ため、建物は非常に堅牢にできており、むき出しになった天井のコンクリートの厚みは近年の新築には見られないほど。リノベーションでは天井を現しにし、2階のOAフロアそのものを一部の床として使うなど、素材感を活かす内装にするのと同時に、この建物の魅力を上手に活用している。

効果的にオレンジが使われている2階のカウンター
効果的にオレンジが使われている2階のカウンター

色使いも同様。建物全体のキーカラーは解体で天井を取り外した際に現れたカーテンボックスのさび止め塗装に使われていたオレンジ色で、これが非常に印象的。建物内外の随所にあしらわれ、建物の歴史を伝えると同時に、明るくパワフルな空間作りに寄与しているのである。

特にエントランスの庇のオレンジ色はレトロな雰囲気の外観のアクセントとなっており、見た目から変化を認識させてくれる。

コワーキングスペースの傍らに設けられたキッチンスペース。奥はロッカーになっている
コワーキングスペースの傍らに設けられたキッチンスペース。奥はロッカーになっている。注目は右の出入り口

個人的には2階のクロークとパントリー間の出入り口の、コンクリートの一部を現しにした表現に惹かれた。楽しんで作られた空間は人を惹きつけるのだと思う。

アプローチを大幅に改変

広く、明るい雰囲気のエントランス。入ってみようと思わせることがこうした施設では大事
広く、明るい雰囲気のエントランス。入ってみようと思わせることがこうした施設では大事。右側がキッチンカー。こちらも明るい色

建物内部だけでなく、建物のアプローチ部分も大きく改装されている。近年は多くの人が集まる場所として利用されていなかったため、クローズドな印象があったが、階段を2mから7mに広げ、使いやすい位置にスロープを移動するなどで開かれた空間としたのである。

また、駐車場になっていた部分は広場とし、キッチンカー【Izzy’s Cafe】が常駐、テーブルと椅子を配してアウトドアなカフェ空間として使えるようになっている。

道を挟んで向かいには帝京大学医学部付属溝口病院があるため、病院を訪れる人たちの利用も見込めそうである。病院内には喫茶店はあるそうだが、今の時代、建物内で過ごすよりアウトドアが快適と感じる人は少なくはいはずだ。

オープニング時の賑わい。地元の有名寿司店が提供するカレー(!)が人気を呼んだ
オープニング時の賑わい。地元の有名寿司店が提供するカレー(!)が人気を呼んだ

このところ、新しい施設等が増え、街として勢いを感じる溝の口。地域の人にとって心が沸き上がる場になることを意図したというBOILがその名の通り、新しい文化の発信拠点になることを期待したい。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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